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船の甲板に出ると、空が青かった。雲ひとつない。しかし、その船が接地しているのは赤い地面のようで、皺のあるそれが、蠢きながら波打っている。隣にいる人にこれは何かと聞くと、これは元々人間だったんだと明るく答える。

私は甲板で人を抱き抱え、先生を呼んでいた。私の手の中にいる人は、私より体が大きく、私は彼の上半身を後ろから抱きとめる形で、地べたに座り込んでいた。彼はぐったりとしていて、足も地面に投げ出されていた。
先生!先生!と叫ぶ。しばらくして、先生からメールが来て、頼りすぎもどうかなぁというような文面が書いてあるのを見る。愕然として、途方に暮れる。手の中の男性は依然として重く、動かない。



私の大好きなアイドルが、私の出したファンレターに返事を書いてくれたようだ。私は横で見ているが、彼はそれには気づいていない。彼が私宛ての封筒にキスをすると、可愛らしいピンクのキスマークが付く。その後「これだと分かんないかな?」と言って、小指で唇を触り、そのまま封筒にスタンプする。封筒には大小2つの印がついて、横で見ている私はとても嬉しくなる。


朝起きて、いつものように洗面台の前に立つ。
鏡を見ると、自分の右眉の上に血がついている。そのまま顔を洗おうとして前に傾くと、赤い血と紫の雫がぽたぽたっと落ちた。
もう一度鏡を見ると、右眉の上に500円玉くらいの穴が空いていることに気づいた。中にうっすら白いものが見えていた。多分脳だった。

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