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好きを拗らせた
恋をする
誰かを好きになる
私が人生で苦手だと思うものは、「運転・料理・恋愛」だ。
失恋をした。人生で2回目の失恋だった。
人の気持ちが冷めていく様子をここまで細く見るのは初めてのことだった。冷める対象が自分だったこと以外、興味深く非常に面白い様だった。
あの人は素直な人だった。今ならそう思える。
あまり話したこともない後輩から「宅飲みをしましょう!紹介したい男の子がいるんです!」と、突然の連絡が来た。もちろん丁重にお断りをした。
その頃の私は、数日後に誕生日を迎えてしまう焦りで気持ちが乗らない、諦めの境地をなんとかやり過ごしていた。
しかし、その後輩は諦めずに誘ってくる。「絶対に良い!!」何を根拠に言ってるんだ?と思いつつも真っ直ぐ向けられる人の熱量に弱い私は参加することにした。
初めて彼に出会ったのは、彼のマンションのエントランスだった。
自己紹介をするときの彼のお辞儀が私は今でも忘れられない。今まで見たお辞儀の中で一番美しいお辞儀だった。世界一と言っても過言ではない。正直なところ、この時既に私は心が弾んでしまっていた。単純なヤツだ。
ドミノピザをUberして、みんなでマリオパーティーをしながら、よく分からない理由でたくさんのお酒を飲まされ、緊張をしていた私はすぐに記憶を失ってしまった…
朝、知らない天井、知らないベッド、横に眠る知らない男、裸の自分。
誕生日3日前にして、どうやら私は大やらかしを犯したようだ。「こんなの初めて…」をネガティブな感情で発するのは人生で初めての事だった。
目を覚ました隣の男の顔を見ても全く思い出せない。しかも、よく見るとなぜか隣の男の顔が傷だらけだ。私もなぜか傷だらけだ。こんなとき、二日酔いの頭は全く使い物にならない。ただただ頭が痛い。
水を飲んで、ほんの少し落ち着いてから男に話を聞いた。あの時の、お辞儀の綺麗な男だった。私はいつも人の顔を忘れるし名前も忘れる。初対面だから尚更だ。いっそ何かの病気だったらいいのに。
更に話を聞くと、彼の顔の傷は私が噛んだらしい。どうやら私は噛み癖のある女だったようだ。なんて野性味のある性癖なんだ…!と落ち込む暇もないうちになぜかまた彼に抱かれた。
1度抱かれりゃ、2度目も同じだ。。
そのあと散々酔った私を彼が介抱してくれた旨を聞き申し訳なくなるなどし、彼のTシャツを借りて家を出た。彼はこれから飛行機に乗って実家に帰省すると言っていた。
タフで優しい青年と最悪な初対面を終えた。
私、本当はもっと貴方に思ったことを言葉にして伝えたかった。何も話せなくてごめんね。
忘れたくないあの日の思い出だけをここに綴る