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【開催レポート】生活観光:この街に住んだらどんな暮らしをするだろう 〜小田原編〜

おいしい学校で2024年4月13日に開催した、「生活観光:この街に住んだらどんな暮らしをするだろう【小田原編】」のイベントレポートをお届けします。

ある土地に住む1人の生活者の暮らしを観光の対象にし、観光客では踏み込めない土地の魅力を覗いてみたい。そんな思いではじめたのが、生活覗見型カルチャーツーリズム「生活観光」。

第1回は、小田原でゲストハウス「Tipy records inn」を営むコアゼユウスケさんの生活を観光しました!

今回、生活観光のガイド役を引き受けてくださったのが、小田原でゲストハウス「Tipy records inn」を営むコアゼユウスケさん。

コアゼさんは小田原の地で生まれ、小田原中のさまざまな場所に足を運び続け、宿泊者に向けて小田原の魅力を紹介しています。

今回、コアゼさんに企画の意図をお伝えし、観光客が初見ではタッチできない小田原のスポットを街歩きしながら体験できるツアープランを作ってもらいました。誰よりも小田原の生活を楽しむコアゼさんの生活を覗きみる、生活観光のスタートです。

スケジュール・生活観光ルート

【当日のスケジュール】
13:00 Tipy records house 集合
13:30 炊飯器のスイッチオン
13:35 裏町〜ダイヤ街
14:00 銀座通り
14:20 国際通り〜宮小路
14:30 かまぼこ通り
15:00 海
15:30 かまぼこ通り〜国道1号線沿い
16:00 小田原城
16:30 小田原駅前
17:30 Tipy records house 到着
18:00 宴会
20:00 終了

今回の生活観光で訪れたスポットはGoogleマップにまとめたので、小田原にきた際はぜひこのマップを使って生活観光を追体験してみてください!(その際はぜひTipyに宿泊を!)

13:00 Tipy records house 集合

参加者が集合すると、コアゼさんのオリエンテーションが開始。

街歩きをはじめる前に、小田原という街の特徴について聞いていきます。

都会と自然とのバランスがよく、都心へのアクセス、生活環境のよさもあって、小田原は移住者が増加中とのこと。
海の幸・山の幸に恵まれ、日常生活のなかで新鮮な食材を安価に楽しむことができるという。


そんな小田原の食を存分に楽しむために、コアゼさんから参加者に当日のミッションが言い渡されます。


ミッション①:ごはんのおとも(もしくは、お酒のアテ)を探す

小田原産のブランド米「はるみ」をセットした炊飯器の予約スイッチを押して、お米の炊き上がりまでに、小田原中を巡ってごはんのおとも、お酒のアテを探すツアーへと出発します!

地元小田原で獲れたお米をはじめ、全国各地から集めた無農薬米、玄米、雑穀等のごはんを販売する「志村屋米穀店」のはるみ米。
炊き上がりは、宴会開始の18:00!


ミッション②:お味噌汁の具材を探す

参加者が1人1つ、小田原で買える地元の食材で、味噌汁に入っていたらうれしいものを買ってくるというミッション。ツアー中にそれぞれの参加者が探してきた小田原の食材を使って、小田原ならではのお味噌汁をつくります。

この2つのミッションを抱えて、生活観光へ出発!

ティピースタッフの麻美さんと、あいかさんがお見送り。
いざ、生活観光へ!

13:30 裏町からダイヤ街へ


最初に到着したのが、魚屋の「魚國」。

魚種の豊富さで知られる小田原は、相模湾に面しています。この湾は、最深部で水深1000m以上にも達し、岸近くでも十分な水深があるのが特徴。そのため、港からわずか30〜40分ほどの距離で漁ができ、獲れた魚を新鮮なまま港に運ぶことができるのだそうです。

相模湾には、黒潮に乗ってアジやサバ、イワシ、カツオ、マグロなどの回遊魚が訪れるほか、深い水深を活かしてスミヤキ、アンコウ、オシツケ、キンメダイなどの珍しい深海魚も多く生息します。

魚國には、早川漁港から直送された鮮度ピチピチの魚がズラリと並んでいました。

この魚國では、1人500円ずつ出し合って、全員分の刺し身の盛り合わせ「盛り込み」を注文しました。

次に、コアゼさんが立ち止まったのがドン・キホーテの前。

そこにあったのが、「いいちみそ」という小田原民に親しまれる味噌をつくる「加藤兵太郎商店」のお味噌自販機。

加藤兵太郎商店は、木桶で熟成させる昔ながらの製法で、本格的なお味噌を作る味噌蔵。木桶で発酵・熟成させた味噌は、旨味が強く奥行きのある味わいが特徴。

街の中心部に味噌蔵などの作り手が軒を構え、都市と昔ながらの手仕事が共存しているのを見かけるのも小田原ならではのこと。

ここで購入したお味噌で、夕食にお味噌汁をつくります!

14:00 銀座通り

歩いていると、たけのこが入ったカゴが。お店や民家の軒先で、旬の食材が売られているのをよく見かけるのも小田原あるある。

オシャレな店構えの「十二庵キッチン」。

十二庵キッチンは。湯河原で評判のお豆腐屋さんの直営カフェ。お豆腐のおいしさはもちろん、豆乳ドーナツや黒豆クリームチーズなど、豆腐を使ったアレンジ商品がたくさん。

おすすめは豆乳ドーナツ!

十二庵キッチンには、小田原の良品を集めたセレクトショップもあるので、ぜひのぞいてみてください!

創業70年を超える「梅月食堂」。今回は休業でしたが、ここも行ってみてほしいスポットのひとつ。

実は小田原、飲食店でも土日定休だったり、営業時間が短かったり、自分の生活を重視してる店主さんが多いんだとか。お店の人が自分の暮らしを第一に考えていることが、居心地のよさにつながっているのかもしれません。

14:20 国際通りから宮小路へ

夜の歓楽街「宮小路」。昔ながらのディープな飲み屋に加えて、最近はおしゃれな個人店など新しいお店もどんどん増えてきています。


14:30 かまぼこ通り

小田原では、行楽シーズンになるとさまざまなイベントが開催され、イベント当日は「さくら新酒めぐり」という日本酒イベントがやっていたので、そこにも顔を出します。

神奈川にある全13蔵のお酒を楽しむことができるイベントだけあって、日本酒好きな参加者は昼から一杯!

お散歩しながら飲む酒、そりゃおいしいです。

そして、かまぼこ通りにお店を構える個人店がマルシェを営む「小さな軒先市」も。小田原では休日にはこうしたさまざまなイベントが実施されているそう。

小田原であんこを作り続けて80余年、 かまぼこ通りにあるあんこ屋「鈴木製餡所」。自家製あんこの特徴は鮮度。炊きたてのあずきに、砂糖と水のみを使って仕上げたあんこは、あずきの風味が濃厚でびっくりするほどおいしい!

創業110年以上の鰹節店「籠常商店」で削り節の違いについて教わります。鰹節ができるまでの製造工程を聞きながら、鰹節を食べ比べます!

削りたての鰹節が近所で買える小田原の食の豊かさを実感!

ここで、今回参加者として参加してくれたおいしい学校の講師でもある玉利さんから「関東と関西による出汁の違い」が生まれた理由についてプチ解説。

東西で出汁の違いが生まれた理由は、主に「水質」と「黒潮」にあるそうです。西は軟水で昆布だしが出やすく、東は硬水で昆布だしが出にくいことに加え、黒潮でカツオが回遊する地域だったため、カツオで出汁をとる文化が発展したとのこと。

続いて訪れたのは「早瀬のひもの」がオープンした「早瀬のひものスタンド」。

参加者が見つけた最高のおつまみが、揚げアジ。小アジの干物を素揚げにした「揚げアジ」がビールとの相性抜群!

15:00 御幸の浜

かまぼこ通りを散策したら、小田原の海へ!

街から海に抜けるためのトンネルをくぐると……

海ぃぃぃ〜〜!!

地平線の先の先まで海。穏やかな海を前にのんびりできる最高のチルスポット!

15:30 かまぼこ通りから国道1号線へ

海でひと休憩したあとに、かまぼこ通りを抜けて、国道1号線へ。

かつて、国道1号線は東海道の宿場町。宿場町の名残のあるエリアを、歴史を聞きながら散策していきます。

箱根への山登りを控えた旅人たちが保存食として「梅干し」を求めたことから、小田原では梅干しが名産品になったそう。

その伝統を受け継ぐ明治4年創業の老舗「ちん里う」は、小田原のオリジナル梅「小田原十郎梅」の梅干しをはじめ、梅の商品や佃煮などを販売しています。

小田原産の品種「十郎梅」は、果肉が大きいのが特徴。店主こだわりの梅干しコレクションが並びます。

観賞用として、150年以上前に作られた梅干しまで店内には掲示されている

16:00 小田原城へ

小田原の街をぐるっと一周して、小田原の名所「小田原城」へ。

参加者みんなで記念撮影!

17:30 tipyに戻って大宴会

tipyに帰還して、今日のミッションだったお味噌汁の具材を紹介しあいます。

小田原産の磯のり!
小田原にある『もなか』専門店「種秀」のもなかの皮!
他にも、小田原の地元食材がズラッと!

参加者全員の食材を使って完成した、小田原オリジナルのお味噌汁がこちら!

野菜中心のお味噌汁ですが、いろいろな素材が入った絶品お味噌汁が完成しました。

最初に訪れた「魚國商店」で作ってもらったお刺身の盛り合わせ、小田原の名物かまぼこや練りものなど、地元の食材を囲んで大宴会を楽しみました。

これぞ、生活観光ならではの生活感あふれる食卓の光景!
参加者全員で乾杯〜!

旅を振り返った参加者の声には「小田原駅の近くに老舗の梅干屋や鰹節屋がある生活が羨ましい」「観光では絶対に行かないようなスポットに行けたので、知らない小田原の魅力に出会えた」などのコメントも。

小田原に住み、小田原の地をディグりまくっているコアゼさんだからこその生活観光の旅。観光客が初見ではタッチできない小田原の楽しさを存分に堪能しました。

最後に

今回の生活観光で実感したのが、案内役のコアゼさん自身が小田原での生活をとにかく目一杯に楽しんでいるということ。

小田原の住民でも知らない場所や人を知っていたり、お店の人との関係性が深いことで素敵なサービス(健全なえこひいき)を受けられたり、自分が住んでいるエリアは自分次第でもっと楽しくできるんだという発見がありました。一般的な観光の楽しさは誰かが教えてくれるかもしれませんが、生活の楽しさは自分で発見し、生み出していくとってもクリエイティブな営みなんだなと。

さらに、小田原には海・山・川という豊かな「自然」、城下町として栄えた「歴史・文化」、そしてそうした自然や歴史の中で育まれた美意識を大切にする「人」がたくさんいます。生活をクリエイティブに楽しむための余白を支えているのは、まさにこの環境なんだと感じました。

コアゼさんは、小田原について「全国1位といえるものはないけれど、小田原はすべてがちょうど良いまち」と評しています。その「ちょうど良さ」とは、完成されすぎていない絶妙な余白があり、自分の手で最後の仕上げを楽しめる点にあるのでは?などと思ったりした、今回の生活観光・小田原編でした。



最後までご覧いただきありがとうございました。

おいしい学校では、さまざまな特集テーマで講義を開催しています。ぜひおいしい学校のサイトもご覧ください!

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