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おいしい文章講座:食を味わうためのライティング、ライティングを味わうための食#2【開催レポート】

5月14日に、おいしい学校の講義「おいしい文章講座:食を味わうためのライティング、ライティングを味わうための食」第2回を開催。

この講義では、食の文筆家・マッキー牧元さんを講師に迎えて、「おいしいの言語化」を通じて、自分の感じている「おいしい」を深く味わうことがテーマです。

人間がおいしさ感じるメカニズムを学んだ第1回の講義に引き続き、第2回となる今回は読者が読んで思わず「おいしそう!」と思ってしまう「おいしい文章」を書くための実践的なノウハウを学びました。

文章の書き方の基礎を教える優れた講座や書籍は世の中に多くありますが、「おいしい文章」を書くための実践的なコツを教えるのはこの講座だけ。

おいしい文章を書くためには何が大切なのか、マッキー牧元さんから教えていただきました。

▼第1回のレポートはこちらから!


第2回:おいしい文章講座【座学回】

私たちが普段、何気なく使っている「おいしい」という言葉。和食、中華、イタリアン、フレンチなど、どんな食べものでも「おいしい」と言えば、食べた喜びは伝わります。

でも、よくよく観察すると「おいしい」の四文字を発する手前で、僕たちはさまざまなものを受けとっていることに気づきます。

食べたときの空気、温度
一緒に食べた人の声、会話
料理をつくっている音や匂い
人生の思い出に作り手の想い
そして、もちろん味。

いろいろな関係が絡まり合って、「おいしい」という感動は生まれます。マッキーさんの文章を読むといつも、「こんなふうに食を楽しみ、おいしさを言語化できたらな」と思うのです。

そんなマッキーさんに文章の書き方を教わりたい。そんな思いで、マッキーさんに食の文章を書く仕事をするようになったきっかけ、そしておいしい文章を書く実践的なノウハウについて語ってもらいました。

文章表現で大切なことは?

マッキーさんは「書くことは、著名な人や文才のある人だけがするものではない」と言います。

そもそもマッキーさんが文筆家として活動する第一歩となったのは、『東京・味のグランプリ』や『東京ポケット・グルメ』など、多くの著書を執筆している料理評論家・山本益博さんとの出会いだったそう。

山本さんの著書を愛読し、付箋をびっしりと貼りつけ、ボロボロになるまで読み込んでいたマッキーさん。2人が対面した際、そのボロボロの本を見た山本さんが「使い込んでくれてうれしいよ。そんなに食べるのが好きなの?」と感心したことがきっかけで、グルメ本の執筆の手伝いを依頼されたそうです。

その出会いがきっかけで『ガストン』『味の手帳』『東京千円グランプリ』の執筆に携わり、食の文筆家として活動することに

また、小学生の頃を振り返り、日記に対しての先生からのフィードバックで「たまには食事以外のことも書きましょう」とコメントをもらうほどの食いしん坊だったというマッキーさん。食べることが大好きで、食べることしか書いていなかった幼少期がいまの仕事につながっているエピソードを紹介。

そういった自身の経験からも、文才以上に、食べることへの興味と好奇心が、文章を書くうえで重要だと実感しているそうです。

おいしい文章の心得

まず、マッキーさんが教えてくれた、文章を書くための基本となる10カ条がこちら。

1.まず書いてみる。たくさん書く
2.推敲をする
3.リズムを大切にする
4.伝わる文章の型をつくる
5.文章の見た目を整える
6.簡単な言葉、普遍的な言葉に疑問を持つ
7.接続詞の3つのルール
8.主語と述語をセットにする
9.段落はこまめに変える
10.名文にあたる

この10カ条に関する丁寧な説明があったうえで、とにかく「まず書く、たくさん書く」ことが文章がうまくなるうえで最重要だというアドバイスがありました。質にこだわるよりも、まずは量をこなすことが上達への道。

他にも、さまざまなおいしい文章を書くため実践ノウハウを伝授してくださったのですが、その中でも初心者が挑戦できそうな文章のコツを4つご紹介します。

  • 時間経過に着目する
    おいしさを表現するとき、口に入れたときの感覚だけを書くのでは不十分。食べるというのは、食べる前・食べる寸前・食べる間際・口に入った瞬間・口中での経過・食後と、このように一連の流れがあるので、その時間経過に着目して、自分の感覚を丁寧に観察することが重要なんだとか。

  • 感覚総動員
    視覚・嗅覚・聴覚・味覚・運動・経験といった、感覚を総動員して料理を味わうのがポイント。(このお話はおいしい文章講座第1回で詳しく教えていただいたので、ぜひ第1回レポートをご覧ください!!)

  • グルマトペ
    グルメとオノマトペをかけ合わせた擬音語「グルマトペ」。例えば、ハマグリが口に入った感覚を「つるん」「ぬるり」「ねろり」と表現するなど、使うグルマトペを工夫することで、受け手の印象が変わり、食欲をそそる文章になるそうです。

  • 形容詞
    「おいしい」の言葉だけで表現しても、そのおいしさは何も伝わりません。どうおいしいのか?をさまざまな形容詞を駆使して表現します。

以下、Before/Afterの文章は、マッキーさんが食べていないけれど、どう美味しかったのか(または微妙だったのか)を想像して書いたものです。

「豚の赤ワイン煮」
「ワカサギのフリット」

文章を書くということ

マッキーさんは文章を書くことについて、「とても恥ずかしい、誇り高き独裁君主の仕事だ」と表現されました。

そして、食べることはとてもクリエイティブ。だからこそ味わうことへのセンスを身につける必要があるのだと言います。

「味わうことのセンスとは身体能力。気づきをどれだけ重ねられるか」

文章を書くこと以上に、「感覚を研ぎ澄ませて味わい尽くす」という食への向き合い方をマッキーさんが大切にしていることに気づけたことが大きな学びとなりました。

このレポートでは、講義の一部を抜粋して紹介しましたが、1時間たっぷりとおいしい文章を書くための実践的なノウハウを教えていただけるので、興味がある方はぜひ次回講義へのご参加をおすすめします!

最後に

今回の講義で、マッキーさんは「文才よりも、味わう姿勢と味わったことを思うままにまず書いてみること」とお話ししてくれました。そして、文章がうまくなるために重要なのは、「まず書く、たくさん書く」ということ。

第2回となる今回、文章の書き方のノウハウを教わったことを受けて、第3回からいよいよ、マッキーさんおすすめのレストランに行って実際に料理を味わい、文章を書いてみる実践編がスタートします!

参加者の方が執筆した文章が、講義を経てどう変化していくのか、気になる方は次のレポートもどうぞお楽しみに!


最後までお読みいただきありがとうございます。

おいしい学校では、さまざまな特集テーマで講義を開催しています。ぜひ、おいしい学校のサイトも覗いてみてください!


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