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【開催レポート】365日江戸暮らし:うすいはなこの日常見聞食【朝顔市編】
7月8日に、おいしい学校の講義として、「365日江戸暮らし:うすいはなこの日常見聞食【朝顔市編】」を開催しました。
江戸時代に生まれた狂歌ブームの立て役者・大田南畝(おおた なんぼ)が詠んだ、「恐れ入りやの鬼子母神」で有名な入谷鬼子母神とその周辺で開催される「入谷の朝顔まつり」。
この講義では、朝顔市を散策し、入谷鬼子母神でのフィールドワークと徳川家が眠る谷中霊園でのお参りを体験したのち、うすいさんがいつも食べている季節のお食事をつくっていただきます。
365日江戸暮らし
江戸の食文化を伝える、江戸料理研究家のうすいはなこさん。彼女の暮らしには、1年を通じて季節行事や神事、商いごとの習わしなど、江戸の生活に根ざした知恵が凝縮されています。今なお、江戸が受け継がれる彼女の1年365日のハレとケを覗き、「江戸を今に生かす」をテーマに食べて学びます。
【朝顔市編】
もともと朝顔は、奈良時代末期~平安時代に遣唐使が下剤用の漢方薬として伝えたと言われ、薬用植物として珍重されました。その後江戸時代には観賞用として栽培されるようになり、「変わり咲き」と呼ばれる花びらや葉、茎の形を変化させた朝顔が大流行。大名や武士、庶民の間で朝顔の品種改良が盛んに行われました。
入谷が朝顔で有名になったのは、明治時代初期。入谷の十数件の植木屋が朝顔を作りを始め、年々大輪や珍花を咲かせ、評判になりました。明治時代に始まった朝顔市ですが、大正初期に一度途絶えてしまいました。それでも戦後、世の中を少しでも明るくしようという思いで、復活。下町情緒豊かな夏の風物詩として今なお親しまれています。現在、入谷の朝顔市には60軒の朝顔業者が並び、40万人の人出で賑わっています。
講師
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当日のスケジュール・講義内容
10:00 集合・朝顔市散策
毎年7月の6日から8日までの3日間開催される、入谷の朝顔市。入谷鬼子母神を中心として、言問通り沿いに朝顔業者と露店が並びます。
この時期、朝顔が開花するのは早朝。よい朝顔を選ぶためには早い時間がおすすめということです。うすいさんは例年8時頃には来ているそうです。
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きちんと手入れされていることがわかると言います。
朝顔市で驚いたのは、すべてのお店で同じ値段で販売されていること。うすいさん曰く、「市では人間力でものを売っている。いいものも悪いものも買った人の自業自得」。七夕という節句に縁起物の朝顔を買ってお金を落とすことで、得を積んでお金を浄化する意味も込めているのだそうです。
また、去年無事に過ごせたのはこのおかげかもしれない。毎年粛々と同じように繰り返しているのは、同じことをしなければ不安という精神が背景にあるのだと、うすいさんから教えていただきました。
11:00 入谷鬼子母神をお参り
入谷鬼子母神の名称で有名な「真源寺」。鬼子母神が祀られており、安産・子育ての守護神として信仰されています。朝顔市にあわせてお守りも朝顔のモチーフがあります。
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よく見ると確かに、ツノがありません。
悪神から改心し、子どもを守る善神となったことがその由来だそうです。
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11:30 谷中霊園を経由して移動
朝顔市をあとにして、谷中霊園に行きました。徳川家のお墓に立ち寄らせていただきました。
12:00 季節のお食事
散策を終えて、うすいさんのご自宅で季節のお食事をいただきました。この日の献立は七夕そうめん。朝顔市に行き、昼食に七夕そうめんを食べるのがうすいさんの行事のひとつです。
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短冊きゅうり・錦糸卵・蒸し鶏・トマト・わかめ・ネギ・ウリ。
飾り切りのきゅうり、錦糸卵などがハレの日仕様。具材を5−7種類揃える。
必ず食べる宮中のお祝い事には錦糸卵。錦糸卵・鯛のそぼろ・紅生姜を、そうめんに合わせて食べやすいように蒸した鶏を細かく割いたもの、トマトにアレンジ。
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最後に
最後までお読みいただきありがとうございました。
365日江戸暮らしの講義では、1年間のうすいさんの生活を通して、江戸に根付く知恵や精神性を探求します。講義の開催予定は随時お知らせしていきます。
また、おいしい学校では、さまざまな特集テーマで講義を開催しています。おいしい学校のサイトをご覧ください!