これまでの1年半、そしてこれからのこと
「Sodaを立ち上げるまでの過程を残しておこう」という思いではじまったこのマガジンは、7月いっぱいで役割を終えます。そして、立ち上げメンバーとしてのぼくの役割も7月いっぱいでひと区切りになります。
8月1日以降、しゅうへいとちかの2人はSodaの運営に携わっていきますが、ぼくはパートナーとして企画やデザインなどに京都から携わる形になります。
ぼくがこのマガジンを担当するのは今回が最後。約1年半、毎週欠かさずに続けてきただけあって少し寂しい気もします。
Sodaに関わってきた1年半の振り返りと、これからのことについて書いてみようと思います。
Sodaの立ち上げに関わるまで
しゅうへい、ちかと立ち上げに関わるようになったのは約1年半前の27歳になったばかりのころ。すでにデイサービスの立ち上げに向けて動き出していた2人に入れてもらう形でスタートしました。
大学卒業後はそれほど頻繁に会うことはなかったけれど、3人とも社会人経験を重ねて、その中で感じた解決したいこと・やりたいことが偶然重なったタイミングでした。
合理的でかならず有言実行をする真面目さがありつつ、義理深く思いやりの深いしゅうへい。人のペースと自分のペースの穏やかさを守りながらも、ぶれない熱い芯のあるちか。
大学のころから比べると、2人とも表面的には大きく変わっているけれど、土台にある人間性はたぶん3人とも大きく変わっていません。だからこそきっとここまで一緒にやってこれたのかなと思います。
学生のころの話や、それぞれが社会人経験でどんなことを感じてきたかという話は、KAIGO READERSさんに取材していただいた記事にまとまっているので、よければそちらも覗いてみてください。
この1年半を振りかえって
「どんな状況の人でも、自分らしくいられる場所を増やしたい」という個人的なモチベーションでこのデイサービスの立ち上げに関わり出して1年半。知り合いや親戚からリアルな介護の話を聞く機会も増えました。
自分自身もまだ慣れない子育てに奮闘する中で、ケアを受ける本人はもちろん、ケアする人たちも自分らしい時間がもてるような場所やサービスをつくっていきたいという思いはますます強くなっています。
この1年半の間、3人で長い時間をかけてたくさんのことを話してきました。その中でも、とくに印象深いのは「だれに向けたサービスをつくりたいのか」を考えていた昨年の春ごろ。
身近にいる人を思い浮かべて、どんなサービスにしたいのかを何度も話し合いを重ねていました。下のメモは、ある日の話し合いのごく一部分です。リアルな誰かを思い浮かべることでサービスの骨格だけじゃなく、その場にどんな空気感が流れているのか、3人の微妙な認識の違いはなんなのかといったことまで深く対話をしてきました。
この時間は、利用者さんに対してサービスの骨格を考えるのはもちろん、自分たち自身の価値観を共有するとても大切な時間だったと思います。
たとえば、「あいさつ」ひとつとってもどんなボリュームで挨拶するのがいいのかなど、一見すると取るに足りないような内容の会話をこれまでの経験を共有しながら話していました。
立ち上げ直前の今、3人で話す内容は具体的で直近で必要なことがほとんどですが、このときの土台があったからこそ大きく意識がずれることなくやってこれたのだと思います。
チームプレーで難所を乗り切る
立ち上げが進むにつれて、越えないといけない具体的な壁もいくつもありました。その中でも大きかったのが資金面です。
まだ融資でいくら借りれるかがわからないころから始めた建築プランは、自分たちのやりたいことをふんだんに盛り込んでいました。その結果、800万円近く削らなければいけないという結果に。追加で融資をしてもらうためにいろいろな人に話を聞いて自分たちの強みを考えなおしたり、脩平は夜行バスで愛知から岡山に通ったりとハードな時期もありました。
それでもやはり資金繰りが厳しいということで、クラウドファンディングへの挑戦を決めた今年の3月。6月末まで続いたクラファンでは大変なことだけではなく、たくさんの人にご支援していただきあたたかな言葉をかけていただきました。
心の機微を感じとるのが得意なちかが個別のメッセージを考え、しゅうへいは総社を駆け回って繋がりを広げ、ぼくはやりたいことがちゃんと伝わるようにページの構成などをつくっていました。このクラファンはとくに、3人の得意なことが違うからこそ乗り切ることができた大きな経験でした。
これからのSodaのこと
これからのSodaは、しゅうへいとちか、そして新しく加わるチームメンバーと一緒にいよいよスタートを切ります。集まったみなさんは、年代も背景もバラバラでさらに面白いチームになりそう。
実際に運営がはじまると、なかなかゆっくりと話し合うための時間をとることは難しくなってくるのかもしれません。けれど、特に最初のころは日々のもやっと感をフラットに共有していきたい。
利用者の方に気持ちよく過ごしていただくのはもちろん、自分たち自身もSodaという場をつかってやりたいことに挑戦していけたらと考えています。
その第一号でもあるちかが店主を務めるSodaの本屋さん。どんなラインナップになるのかももちろん楽しみですが、近隣の方が学校や仕事帰りに、お休みの日に実際に足を運んでくれる場になっていくのかなと思うと、なんだかドキドキします。ぼく自身も本が好きなのでSodaにいくたびについ買っちゃいそう。楽しみ!
きっと運営に携わるひとが気持ちよく働けることで、利用者さんひとりひとりの思いを察知できたり、場全体として心地よくも刺激的な雰囲気になっていくはず。しゅうへいとちかなら、きっとメンバーのみなさんの思いと利用者さんの思いを引き出しながらSodaをつくっていくと思います。
これからの自分自身のこと
Sodaに関わり出したころ「デザインの考え方やアプローチは、ケアの場づくりにきっと役立つんじゃないか?」というテーマを持っていました。
この1年半の間に、いま所属している会社の代表であるデザイナーの西濱愛乃さん、ディレクター/プランナーの西濱萌根さんにも何度も相談を重ねながら、このテーマはより鮮明になっていきました。
「いまの時代に必要なケアの場って?」「自分たちだからできるサービスの特徴は?」「想いを実現するための空間や体験の在り方は?」といったコンセプトになる部分からデザインの視点からアプローチを重ねてきました。その想いがきちんと第三者にも伝わるよう、その結果を空間づくりやツール制作、情報発信、イベントなどの企画に落とし込んできました。
このプロセスの中で「デザインの視点からケアの場づくりにできること」の大切さをひしひしと感じてきました。ほかの業界と比べると、まだまだデザイン的なアプローチが少ない介護業界。ケアを受ける人もケアする人も気持ちよく過ごせる場をつくるため、そしていいサービスを広げていくために「ケアの場づくり」と「デザイン」の接点を増やしていけたらと思います。
オープンまであと2週間
Sodaは、いよいよあと2週間後に歩みはじめます。
来週末の7月20日(土)には、地域の方や応援してくださった方に一足早くSodaをお披露目するイベントをする予定です。
総社や岡山にゆかりのある方をお招きして、おもしろいコンテンツを用意していますのでぜひお越しください!
ありがとうございました!そして、よろしくお願いします
Sodaの立ち上げに関わる中で、こんなにもたくさんの人が本気で応援してくれるのか…!!という場面に何度も出会いました。
立ち上げ当初から親身になって相談に乗ってくださる介護業界を牽引している先輩経営者のみなさん。新参者である自分たちをあたたかく受け入れ、一緒に盛り上げてくださっている地域のみなさん。チームとして、一緒にいい場所をつくろうと奮闘してくださっているみなさん。応援の言葉をかけてくれたり楽しみにしてくれている友達や家族。直接の繋がりはなくともnoteやインスタをみて応援してくださる方々。
本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
心から、ありがとうございます。
そして、これからのSodaをどうぞよろしくお願いします!