川烏の営巣 その1
昨日の記事でミソサザイという野鳥の巣づくりの様子をご紹介しましたが、この時期の奥入瀬渓流にはもう1種類、一生懸命巣づくりに励んでいる野鳥がいるんです。
冒頭の写真は川中にある苔岩を写したものですが、実は野鳥の巣が隠れています。
何も言わなければ巣が隠れているなんて、まず気付くことはできないんじゃないでしょうか?
よ〜く見ると、一部だけキレイに丸みを帯びている所があるんですが…
私はなぜ気付くことができたかというと、
その瞬間を目撃したからです(^^)
この冬の間、この場所には幾度となく足を運んでいたはずなんですが、ステキな苔ハウスが作られていたなんて全く気付けませんでした。
この巣を作っているのはカワガラスという野鳥。
苔の生育が豊かな奥入瀬渓流の環境を代表する野鳥といえば、このカワガラスと昨日ご紹介したミソサザイが2トップでしょう。
どちらも巣材にたくさんの苔を使用します。
奥入瀬渓流の自然の保護に多大なる貢献をしてくれた、大町桂月(1869-1925)という詩人の方がいらっしゃるんですが、彼が詠んだ歌の中にカワガラスが登場します。
「巌(いわ)ごとに苔あり木ある川中の千島かすめて川烏とぶ」
奥入瀬渓流の景観の最大の魅力が的確に捉えられています。
苔むした岩に木が生えている島がたくさん浮かぶ川の中をカワガラスが飛んでいく
現代の奥入瀬渓流で見られる景色と同じです。
昔と同じ景色が変わらずに残されているのは、奥入瀬渓流の自然の価値に気付いてくれた彼らが、大事に守るべきだと奔走してくれたおかげです。
もしかしたら桂月が見ていた千島の中にも、カワガラスの巣があったかもしれませんね。
明日に続く(^^)