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選ばなかった世界
10月ですね、ようやく秋めいてきました。
秋服がいちばん好きです、あおいです。
今日はわたしの所属している
「Webライターラボ」コラム企画としてnoteを書きます。
10月のコラムテーマは『お気に入りの本』
ちなみにわたしは
何より性格が出るのが本の嗜好だと思っています。
本を読む人に自分の本棚を見られたら、
「あ〜、そういう感じね」って
すべてを見透かされる気がする。
(ちなみにサムネが実家から持ってきた選ばれし本たち)
(本は文庫も漫画もすべて買った日に透明カバーを着ける派)
ということで、さっそくですが
わたしのお気に入りの1冊はこちらです。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/157113022/picture_pc_e1d12ebdfc529cf76a0ac445568c44a2.png?width=1200)
はい、児童書です!
こういう場(?)では、もしかすると
自己啓発本やビジネス書、泣ける小説を挙げたほうがいいのかも?
とも思いましたが、わたしが人生でいちばん印象に残った本はこれなので。
ここで、本の内容を紹介する前に、
この本との出会いについて少しお話させてください。
(興味ない方は「あらすじ」まで飛んでください!)
友達のいない夏休み
わたしがこの本に出会ったのは、
小学4年生の夏休み、2回目の転校のタイミング。
あおい父はゼネコン勤めの会社員で、
現場が終わるたびに転勤転勤のくり返し。
わたしは幼稚園は2つ、小学校は3つ通いました。
「そういうもの」と子どもながらに割り切っていたし
おかげさまで知らない人だらけのコミュニティにぶち込まれても
比較的早めに順応できるようになったのは思わぬ副産物かな、とすら思っています。
(あとコミュニティ内のカースト見極めスキルが異常に発達した)
が、この転校はちょっとだけ間が悪く
1学期が終わってすぐの引っ越しでした。
つまり、新学期がまだ始まっていない
友達ゼロの夏休みが幕を開けたんですね。
(もちろん母にもママ友がいるわけもなく)
約40日、
親子だけで過ごすにはさすがに長すぎる。
そこで母が連れて行ってくれたのが区の図書館。
本を読むのは、特別好きでも嫌いでもなかったけれど
あまりにも暇なので適当に上限の5冊を借りて帰ったはず。
そして、あまりにも暇なので1週間かそこらで読破し、
返却に行っては新しい本を借りる、を繰り返して出会ったのが
この『選ばなかった冒険 ─光の石の伝説─』というわけです。
あらすじ
この本は、いわゆる『異世界』系の物語。
(というかこの本の著者である岡田淳先生の作品は『子ども×異世界』系がわりと多い)
学とあかりが迷いこんだのはRPGゲームの世界。もとの世界にもどるために「光の石」をさがして兵士と戦う、ふたりの冒険物語。
いつも通りの学校生活を送っていたはずの小学6年生、学とあかりが、
突然ゲームの世界に迷い込んでしまう、といった展開から物語が始まります。
この本で面白いな〜と思うのが、
主人公たちが現実世界とゲームの世界を行き来するという設定。
現実世界で眠ればゲームの世界、ゲームの世界で眠れば現実世界で目覚めます。睡眠がセーブポイント(トリガー)というイメージ。
道中に頼もしい味方と出会ったり、アイテムを見つけたりしながら、ラスボス的存在・闇の王のもつ「光の石」を探しに行く、というのが大筋の流れです。
ゲームの世界は現実で学がプレイしていた「光の石の伝説」というゲームの光景によく似ている。ゲームの世界には倒すべき敵がいて、拳銃を使うシーンが出てくる。ゲーム世界のキャラからは「敵に見つかるから香りのあるシャンプーは使わない」なんて台詞が飛び出す。
現実とパラレルの境界が曖昧なこの本の世界観は、
「わたしも寝て起きたら光の石の世界にいるかもしれない」と
子どもだった当時の自分をとてつもなくワクワクさせてくれました。
大学生以降はまともに本を読めていないので
あまり説得力はないのですが、わたしは読書が好き。
(最近は読めてなさすぎて、好きでした、が正しいかも)
目の前にあるのはただの文字の羅列なのに、
読み手の想像力次第で色も、音も、匂いも温度も再現される。
たった数百ページの紙切れの向こうに無限に広がる世界を、確かに感じられていました。
そしてそれは、きっと子どもの頃のほうが強く。
「書く」が楽しくなった
たしか小学5年生の頃(6年生だったかも)
この本で夏休みの課題、読書感想文を書きました。
主人公たち以外の登場人物について触れるとキリがないので割愛しつつ、
盛大なネタバレをさせてもらうと、この本では敵も味方も、死にます。
あえて「死ぬ」という言葉を使いましたが、その表現が正しいでしょう。
児童書ではあるものの
命の重みや生きる意義について考えさせられる内容で、
そこに触れたのがいわゆる「大人ウケ」しただけかもしれない。
わたしの読書感想文は生徒代表としてコンクールに出され、何かしらの賞を取りました。
その頃のわたしはそれなりに読書が好きになっていて、
赤川次郎や江戸川乱歩、はやみねかおる、あさのあつこあたりを好んで読んでいましたが
「書く」ことにも興味を持ちはじめたのは、きっとこの読書感想文で大人に褒められたのがきっかけ。(子どもって単純だから……)
つまり、今はなんだかんだで
文章で伝えることを生業としているわたしですが
「読む」も「書く」も、思えば始まりはこの本でした。
当時のわたしはゲームといえば
ポケモンとテトリスくらいしか持っていませんでしたが、
デフォルメの程度こそあれ「敵を倒す」ゲームに溢れる現代を生きる子どもにこそ、読んでほしい。(もちろん大人が読んでも面白い本です!)
登場してくる「キャラクター」たちに何を思うのか、
キャラクターが「去ったあと」の世界がどう見えるのか。
もし、自分がその世界に迷い込んだら?
仲間を失い、敵を倒し、
その先でようやく手に入れた光の石に何を願うのか──
楽しみながら、時には苦しくなりながらも、
読み進めていける一冊だと、自信を持ってオススメできます。
あとがき
ちなみにこの本が好きすぎて、
たぶん図書館で通算20回以上借りました。(借りすぎ)
あまりに何度も何度も借りるので、
ゲームやおもちゃは誕生日やクリスマスにしか買ってくれない母親が、
なんでもない日に「そんなに好きなら買ってあげようか?」と言ってくれるほど。(笑)
(母は今でも、この本のタイトルが忘れられないと言っていました。)
でもなぜか、
わたしはこの本を買ってもらう気にはなれず、
図書館で初めて出会った『あの本』だけが本物で
お店に売ってるやつはコピーなんだ!みたいな謎の感覚で。
「大丈夫、図書館で借りるから」と断り続け、
こんなに好きなのに今も手元にはありません。
でもやっぱり、
ふとした時に読み返せるようにしたいかも。
さすがに忘れかけている、細かい描写をもう一度確かめたい。
そろそろ意地を張らずに、
コピーでいいからあの不思議で儚い世界を
本棚の片隅に迎え入れようかな、なんて。
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