蚊の観察レポート
今、
目の前の壁に一匹の蚊が止まっている。
しばらく眺めていたのだが、不思議とまったく飛び立つ気配はない。
貴重な機会なので、少し観察してみることにする。
種はおそらくヒトスジシマカ。われわれが頻繁に目にする白と黒のコントラストが特徴的な「THE・蚊」を感じる彼・彼女である。
残念ながら、オスかメスかの判別はできない。…が、写真を調べてみる限りおそらくメスだろう。(蚊のことをなんて呼べばいいかイマイチわからないので、以下"彼女"と呼ばせてください)
少し調べてみたのだが、オスとメスではどうやら触角の形状、あごひげ、腹部先端にある交尾器の形状が異なるらしい。いや、蚊にあごひげなんてあったんかい。
そして今、壁に止まって翅を休めている彼女は、後脚をゆるやかにこすり合わせているように見える。どんな意味があるんだろう。
ハエが前脚をこすり合わせるのは足の先で味覚を感じ取る(!)ためだと聞いたことがあるが、蚊については聞いたことがない。
うーん、考えてみてもそれらしいアイデアは浮かばない。他に似た行動をとる虫がいたらまた考えてみよう。
彼女を一目見て気づいたのは、その模様が見事なまでに美しい左右対称であることだ。よく観察したら僅かな差はあったのだが、基本的に左右同じ部位に白い模様が浮かび上がっている。
個体差はどのくらいあるのだろうか。非常に気になるので、また機会があれば観察してみることにする。
しかし、彼女は悠長に一体何をしているのだろう。さっきまでこすり合わせているように見えた後脚を、いまはストレッチをしているかのように大きく回しているように見える。
虫もストレッチが必要なのかな。いや、でもあなた普段飛んでるから脚動かしてませんやん。いや、逆に動かしてないから凝り固まってる説はあるか。そもそも虫の身体って凝るのか?
そもそも人体にすら詳しくない自分が考えるのには難しすぎる疑問だからこのくらいにしておこう。
君のおかげで、また今日も未知の世界を感じることができた。ありがとう。人口物だらけのビルに迷い込んでしまって辛い状況だとは思うが、強く生きてくれることを願って。