空気中からCO2を回収する算盤
二酸化炭素を空気中から回収するオキシデンタル(OXY)|オイルウォッチ|note
DACで二酸化炭素を回収して、どのように収益を上げるのか、オキシデンタルに着目して研究。
1.政府による支援策
2.二酸化炭素除去クレジットの販売
3.ネットゼロオイルの生産・販売
4.回収した二酸化炭素から化学品等を製造・販売
1.政府による支援策
米国には、内国歳入法45Qに基づくCCSタックス・クレジット(税額控除)がある。CCS(Carbon Capture and Storage)等を導入する企業に対し、その費用の一部を税額控除する。諸所の条件はあるが、DACを行う企業は、二酸化炭素を1トン回収するごとに、180ドル税額控除される。
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2.二酸化炭素除去クレジットの販売
【事例1】ヒューストン・アストロズ(メジャーリーグ球団)が、1PointFiveから二酸化炭素除去クレジットを購入する
オキシデンタル子会社の1PointFive社とヒューストン・アストロズは、テキサス州に建設中の1PointFive社のDACプラントから二酸化炭素除去クレジットを購入することに合意した。この先進的な契約は、環境投資を通じてファンの体験を継続的に向上させるというアストロズのコミットメントを証するものです。
今回のアストロズとの契約では、DACで回収したCO2を、石油・ガス生産とは関係のない塩水貯留層に貯留する予定。アストロズは、今後3年間にわたり、球場内のさまざまな活動で除去クレジットを活用し、カーボンニュートラルの足跡を残していく。
"我々は、ファンのためにスタジアムの継続的な改善に取り組んでおり、炭素除去クレジットの購入は、我々にとって重要な投資です。"(アストロズ社副社長)
【事例2】エアバスは、1PointFiveから炭素除去クレジットを購入する
1PointFive、エアバス社と40万トンの炭素除去クレジットの購入で合意したと発表
この契約により、エアバスは、毎年10万トンのDACと永久隔離を4年間にわたり行うことを事前に購入し、将来的にはさらに多くの量を確保するオプションが付いています。
3.ネットゼロオイルの生産・販売
オクシデンタルと石油ガス精製を担う韓国のSKイノベーションの子会社SKトレーディング・インターナショナルは、ネットゼロ石油(注1)の供給で合意した。
オクシデンタルの販売関連会社はSKトレーディングの関連会社に対し、5年間にわたり年間最大20万バレルのネットゼロ石油の購入機会を提供することが可能となる。
オクシデンタルは直接空気回収(DAC)設備を通じ、2024年後半から年間約100万トンの二酸化炭素を回収し、ネットゼロ石油を生産する予定だ。
(注1)大気中の二酸化炭素を回収し、EOR(注2)プロセスを通じて石油増産を図ることで、生産から配送、精製、製品使用で本来発生するCO2が相殺される石油のこと。
(注2)Enhanced Oil Recovery (CO2などを利用した石油増進回収)のこと。
4.回収した二酸化炭素から化学品等を製造・販売
回収された二酸化炭素は、炭化水素の生産に利用され、低炭素またはネットゼロの輸送用燃料や、化学製品、建築材料などの製品に利用することができる(二酸化炭素のリサイクル)。
カーボンリサイクル材料などと称して販売することで、化石燃料から製造した化学品よりも高く販売することが可能かもしれない。
以上