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すきすきすきすきすきやきんぐ / 短編小説その6

私には、大好きな人がいる。

職場の5つ歳上の先輩、加藤勇さん。
仕事もでき、後輩にも優しくて職場でも人気の先輩だ。

彼は結婚もして、子供もいて暖かい家庭を築いてる。
だから、私は告白することもなく、ただ勝手に好きでいるだけ。
それだけで十分。

しんどい仕事も、美容の為に通ってる週3のヨガも、お昼に持ってくるお弁当つくりも
彼のことが好きで、頑張れてる糧になる。

ただただ、好きという気持ちだけで。

だけど、昨日は仕事でも失敗し怒られ、
モヤモヤの気持ちのままお弁当のたまご焼をつくてたら
丸焦げにしてしまった。
もったいないから、このまま夕飯のお酒のあてにしよう。。。

「まずい、、、苦い、、、」

すぐ箸をおき、丸焦げのたまご焼を睨みつける。

キミに罪はない。
私が、あなたを焦がしてしまったから。

全部、私が加藤先輩のことを好きだから悪いの。
今日の仕事のミスも、卵焼を焦がしたのも、全部加藤先輩のことを好きな私のせい。。。

そう、加藤先輩のせいなの。

勝手に想って、頑張って空回りしてるのは、全部、あの人のせい。
あの人さえいなければ、この卵焼きも焦げずにすんだの。

何であの人は、「私の中」の好きなあの人のままでいてくれないの?

内容が入ってこないつけてるTVから、バラエティー番組の乾いた笑い声が聞こえてくる。

「世の中から、自分以外いなくなればいいのに」

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