見出し画像

オチ / 短編小説その10

「ピンポーーーン!」
甲高く、やや大きめの音が
駅の改札口で響く。

戸惑いうろたえる男子高校生を
怪訝そうにOLが跳ね除けるかのように改札に定期が入った財布をかざす。

「ピンポーーーン!」

さっきと一寸のブレもない音が
僕の目の前で鳴り響く。

OLは頭を下げ
横の改札に足早に移動する。

次は僕の番だ。
2人連続で通れないとなると
もはやこの改札機の故障ではないのか?

恐る恐る僕は、定期入れをかざす。
改札はほんの数秒前まで騒いでたことがなかったかのように、
どうぞ、お通り下さい。
と言わんばかりのジェントルマンのような静かで正確なエスコートで扉を開けた。

僕は
ほっとしてそのまま改札を後にした。

いや待てよ。
コレでいいのか?

普通に
改札を通るサラリーマンとしては
大正解だ。

しかし、、、

芸人だったらどうだろうか?
2人が完璧なパスをしてくれたにも関わらず、スルーしてしまってる。

ここは僕も

「ピンポーーーン!」

と改札を鳴らして、

「3人連続!スクラッチクジなら当たりやさかい!」

と言って周りを
多少笑わすことぐらいできたのだろう。

笑いとしては、最悪な結果だ。

しかし、改札機を相方としたとき
相方は僕を通すいうことで
笑いをとろうとしたとも考えれる。

そうなると、
笑いの方向性が違うので
コンビ解散になる。

毎日、相方を通らなければならない
僕にとっては気まずくなる。

どのパターンのオチが、
正解だったのだろうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?