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【WTI・Brent・Dubai】 原油価格の3大指標とは
こんばんは、本日もお疲れさまです。
石油エンジニアの「オイルくん」と申します。現在は、石油メジャーの製油所にて、プロセスエンジニアとして働いています。
先日、『原油価格の3大指標(ベンチマーク)』について、 𝕏 でこんな投稿をしました。
ニュースでは WTI がよく取り上げられますが、
— オイルくん ✏︎ 石油エンジニア (@Oil_kun_Eng) December 10, 2023
「世界には原油価格の3大指標」があります
・WTI Crude: アメリカ産
・Brent Crude: ヨーロッパ産(北海)
・Dubai Crude: 中東産(OPECの影響)
それぞれ採れる原油の産出量や種類、特色が異なります
また、地域ごとの経済情勢も、価格に影響します
この記事では、地域ごとの特色や、原油の産出量や種類なども踏まえながら、もう一歩踏み込んだお話をしていきます。
原油先物が経済情勢に影響を出すように、投資にも役立つ知識もあるかもしれません。
さっそく見ていきましょう。
原油価格の3大指標とは
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世界の原油価格の3大指標(ベンチマーク)には、
West Texas Intermediate (WTI):アメリカ産
North Sea Brent Crude:ヨーロッパ産
Dubai Crude:中東産(ドバイ産・オマーン産)
異なる地域から採れる原油について、それぞれ簡単にご紹介します。
メインの参考文献は、Investopedia「Benchmark Crude Oil」になります。
さっそく見ていきましょう。
WTI Crude (アメリカ)
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WTI Crude は、アメリカとカナダでの石油取引に使用される指標です。
この原油の特色は、低硫黄(Sweet)かつ 軽質油(Light)であることです。
低硫黄・軽質油であると、製油所において硫黄の抽出・除去にかかるコストを削減できます。
硫黄が残ったままで、ガソリンやディーゼル燃料、ジェット燃料などを燃焼すると、金属部品の腐食などを引き起こしてしまいます(参考記事)。
なので、石油燃料を多く生産する製油所は、スイートな軽質油を好みます。
Brent Crude (ヨーロッパ)
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Brent Crude(ブレント原油)は、北海で採れるヨーロッパ産の原油のベンチーマークです。
こちらも、WTI Crude と同じく、低硫黄(Sweet)かつ 軽質油(Light)です。
WTI とブレント原油の性質は似ていますが、シェール革命以降のアメリカの原油生産が増えた影響で、WTI の方が割安で取引されています(引用元)。
Dubai Crude (ドバイ・オマーン)
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最後に、Dubai Crude(ドバイ原油)は、ドバイやオマーンをはじめとした、中東で採れる原油のベンチマークです。
とくにアジア圏に輸出されている原油になります。
ドバイ原油は、高硫黄(Medium sour)かつ重質油(Heavy)という特徴があります。
高硫黄であるため除去するコストは上がってしまいます。
ですが、重質油だからこそ、潤滑油や重油、アスファルトなどを生産する製油所には好まれます(参考記事)。
なぜ原油価格の指標が大切なのか?
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世界には、200種類を超える原油の種類があるとされています(引用元)。
それらの値付けの基礎になるのが、これら原油指標(ベンチマーク)です。
特に、これら3大原油指標は、原油を安定的に取引するマーケットに欠かせないのです。
また、これらの原油指標も、日々の取引における需給を反映する形で値段が決まっています。
ちなみに、国際的に原油マーケットの価格に影響力がとくに大きいのが、取引量や市場参加者の多い WTI になります(引用元)。
原油価格のベンチマークを駆使して
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この記事では、国際的に有名な3大原油指標(ベンチマーク)を紹介してきました。
原油指標を知らなかった方も、WTI しか知らなかった人も、他のベンチマークについて学べたかと思います。
世界情勢を語る上で、一つの指標だけでは読み取れない事象も多いです。
だからこそ、それぞれの原油の違いや特色を踏まえた上で、原油価格を見てみると、違った景色が見えるかもしれませんね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
ぜひ下記の参考文献も、読んでみたください。