【WTI・Brent・Dubai】 原油価格の3大指標とは
こんばんは、本日もお疲れさまです。
石油エンジニアの「オイルくん」と申します。現在は、石油メジャーの製油所にて、プロセスエンジニアとして働いています。
先日、『原油価格の3大指標(ベンチマーク)』について、 𝕏 でこんな投稿をしました。
この記事では、地域ごとの特色や、原油の産出量や種類なども踏まえながら、もう一歩踏み込んだお話をしていきます。
原油先物が経済情勢に影響を出すように、投資にも役立つ知識もあるかもしれません。
さっそく見ていきましょう。
原油価格の3大指標とは
世界の原油価格の3大指標(ベンチマーク)には、
West Texas Intermediate (WTI):アメリカ産
North Sea Brent Crude:ヨーロッパ産
Dubai Crude:中東産(ドバイ産・オマーン産)
異なる地域から採れる原油について、それぞれ簡単にご紹介します。
メインの参考文献は、Investopedia「Benchmark Crude Oil」になります。
さっそく見ていきましょう。
WTI Crude (アメリカ)
WTI Crude は、アメリカとカナダでの石油取引に使用される指標です。
この原油の特色は、低硫黄(Sweet)かつ 軽質油(Light)であることです。
低硫黄・軽質油であると、製油所において硫黄の抽出・除去にかかるコストを削減できます。
硫黄が残ったままで、ガソリンやディーゼル燃料、ジェット燃料などを燃焼すると、金属部品の腐食などを引き起こしてしまいます(参考記事)。
なので、石油燃料を多く生産する製油所は、スイートな軽質油を好みます。
Brent Crude (ヨーロッパ)
Brent Crude(ブレント原油)は、北海で採れるヨーロッパ産の原油のベンチーマークです。
こちらも、WTI Crude と同じく、低硫黄(Sweet)かつ 軽質油(Light)です。
WTI とブレント原油の性質は似ていますが、シェール革命以降のアメリカの原油生産が増えた影響で、WTI の方が割安で取引されています(引用元)。
Dubai Crude (ドバイ・オマーン)
最後に、Dubai Crude(ドバイ原油)は、ドバイやオマーンをはじめとした、中東で採れる原油のベンチマークです。
とくにアジア圏に輸出されている原油になります。
ドバイ原油は、高硫黄(Medium sour)かつ重質油(Heavy)という特徴があります。
高硫黄であるため除去するコストは上がってしまいます。
ですが、重質油だからこそ、潤滑油や重油、アスファルトなどを生産する製油所には好まれます(参考記事)。
なぜ原油価格の指標が大切なのか?
世界には、200種類を超える原油の種類があるとされています(引用元)。
それらの値付けの基礎になるのが、これら原油指標(ベンチマーク)です。
特に、これら3大原油指標は、原油を安定的に取引するマーケットに欠かせないのです。
また、これらの原油指標も、日々の取引における需給を反映する形で値段が決まっています。
ちなみに、国際的に原油マーケットの価格に影響力がとくに大きいのが、取引量や市場参加者の多い WTI になります(引用元)。
原油価格のベンチマークを駆使して
この記事では、国際的に有名な3大原油指標(ベンチマーク)を紹介してきました。
原油指標を知らなかった方も、WTI しか知らなかった人も、他のベンチマークについて学べたかと思います。
世界情勢を語る上で、一つの指標だけでは読み取れない事象も多いです。
だからこそ、それぞれの原油の違いや特色を踏まえた上で、原油価格を見てみると、違った景色が見えるかもしれませんね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
ぜひ下記の参考文献も、読んでみたください。