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【第17回】県有施設の将来像は?
こんばんは。大池こういちです。
今回は、2024年の県議会11月定例会の予算特別委員会総括質疑で取り上げた、県有施設の将来像について書きたいと思います。
県有施設の老朽化対策!大きな課題
地方自治体にとって、公共施設の老朽化対策は大きな課題です。宮城県は「公共施設等整備基金積立金」という基金を設置し、将来的な県有施設のあり方について計画的に検討を進めています。
11月の定例会では決算余剰分を上記基金に積み立てる議案が提出されます。今後の県有施設のあり方に関することなので、以下、特に2つのケースについて県当局と質疑を行いました。
<ケース①>複数団体が複合的に運営
仙台市宮城野区幸町には障がい者の支援を目的とした、以下の施設が複合的に整備・運用されています。
(1)宮城県障害者福祉センター(県管理)
障がいのある方や家族からの相談に応じて、支援や助言、関係諸機関への連絡・紹介などを行い、社会生活上のスキルを身に付ける機会や、研修会等の障がい者福祉関係者の研鑽の場を提供します。また、スポーツ・レクリエーション等の開催や地域社会への啓発活動も行います。
(2)宮城障害者職業センター(国管理)
厚生労働省が所管する独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が運営し、就業を希望する障がい者、在職中の障がい者が抱える課題に応じて関係機関との連携を図り、就業面および生活面における一体的かつ総合的な支援を行います。
(3)宮城県身体障がい者福祉協会(社会福祉法人)
障がいを持つ方々が自立した生活を地域で営むことができるよう、障がい者支援施設の経営や指定管理施設の管理等の社会福祉事業及び公益事業を行います。
上記のように、宮城野区幸町では宮城県だけでなく国、社会福祉法人と複数の組織が一体的に運用しています。
仮に老朽化対策など、将来的な施設の整備を検討する場合、各組織が協議しながら進める必要があります。今回の質疑では、上記の点に対して、宮城県はどのように連携を図るのか聞きました。
県当局の答弁は
「個々の施設の将来的な在り方や方針等を策定する場合において、指定管理者や施設の入居団体など、関わりを持つ法人あるいは団体の方とも十分協議をしながら、望ましい方向性を見いだすように努めています。」
との回答でした。
つまり、将来的な方向性を検討する場合、関連する法人や団体と一体的に話し合っていきたいとのことでした。今後、県がリーダーシップを発揮して協議を進めことも期待されます。
幸町地域の方々にお聞きすると、特に宮城県障がい者福祉協会が運営する「幸町ウェルフェア温水プール(現在、工事中のため営業再開は2025年3月13日予定)」は、地域の方々も利用する必要な施設になっています。
県が管理する施設であれば、単独で方針を決定できますが、複数の法人・団体と連携する場合は丁寧な協議が求められます。今後も地域の皆様の声を大事にしながら、県当局と議論していきたいと思います。
<ケース②>移転の方針が示された施設
令和10年に新・宮城県民会館が完成予定で、同時に「みやぎNPOプラザ」の移転も決定していますが、現在、入居する榴ヶ岡分室庁舎について、利用者や近隣住民などから、移転後の方針について関心が寄せられています。
県有施設の移転が決まると、将来的に建物や土地はどう活用されるのか、地域の街づくりにも関わるため、近隣住民にとっては気になるテーマです。
そこで、既に移転が決定している県有施設は、地元自治体との連携や地域住民への説明など、今後どのような方針で進めるのか質疑を行いました。
県当局の答弁は
「公共施設の用途廃止後の跡地については、県庁内の他部局で利用する予定がない場合、所在市町村(この場合は仙台市)に対して公的利用の確認を行った上で、必要に応じて近隣住民など関係する方々に対して説明し意見や要望も伺います。榴ケ岡分室庁舎については、みやぎNPOプラザ等が移転した後、解体する方向で検討を行っており、跡地の利活用につきましては、有効な活用策を探ってまいりたいと考えています。」
とのことでした。
みやぎNPOプラザが移転後、榴ヶ岡分庁舎は解体され、地元の仙台市や地域住民の意見を聞きながら、最適な利用方法を検討していきたいとの回答でした。
まさに、私も地元住民の一人として、跡地利用について沢山の意見を頂きます。特に子育て世代が増加する榴岡地域のニーズを踏まえ、例えば「屋内の遊び場」や「放課後の居場所づくり」など、子育てを支援する拠点にとの声も多くあります。
近隣には榴岡公園、楽天モバイルパーク、弘進ゴムアスリートパークがあり、新県民会館(令和10年完成予定)、広域防災拠点(JR貨物跡地)が整備される予定で、仙台駅東口エリアの一体的な街づくりを考えながら、地域の魅力を高めていくべきと感じています。
今後、榴ヶ岡分庁舎の将来構想についても、宮城県、地元自治体の仙台市、まちづくり協議会や地域住民の皆様と連携しながら取り組んでいきたいと思います。
まとめ
県有施設は県民の大切な財産であるため、大前提としてですが、老朽化対策して再利用する場合も、民間等に土地や建物を売却するにしても、県民にとって一番効果的な判断がされるべきです。
その上で、地域の街づくりに直結しているため、地元自治体や近隣住民とも丁寧に議論しながら、県有施設の在り方や方針については、積極的に情報提供を行っていく必要があります。
皆様が何を望んでいるのか、御意見をお聞きしながら、県当局と連携し将来ビジョンを描いていきたと考えています。