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RADWIMPS【カイコ】の歌詞の意味の解釈

個人的にとっても好きな歌なので、独自解釈していこうと思います。

*作者の意図と異なる解釈をしている可能性が盛大にあります(というかしています)
*すべての創作はそれも含めての創作である、ということで許してニャーン

まず前提ですが、この歌は”神視点”で作られたものだと考えましょう。そうするとスッと腑に落ちます。
Radの他の曲で言うと実況中継とかもそうですね。

では見ていきましょう。
( 冒頭部分の逆再生に関しては最後に言及 )

『すべての者に神は 等しく在らせるのだ』と
心の首もとに ぎゅっと 手がまわる

あなたは神様です。
宇宙の片隅から地球をそっと覗いてみると、人間が「神は平等だ」とかなんとか言っています。

いやいや、何をおっしゃいますか。
平等じゃない事なんてあなた方人間もとうにお気づきでしょう?

どれだけ誠実に生きていても、理不尽につぶされる。
おだやかに過ごしていても、ある日急にテロや津波で死んでしまう。
容姿も知能も生まれた時点である程度決まってしまっているし、凡人の一縷の望みだと思われた努力でさえ、大半は遺伝で決まってしまう。

神様であるあなたは、自分の作った世界の ”理不尽” と ”不平等” に自覚的なんですね。
それゆえに、こんなことを思います。

明らかならなぜに わざわざ唱えるのでしょう
満杯の胃袋に なおも生肉を詰め込むように

明らかなのに、なぜわざわざ唱えるのでしょう?

本当は違うと知っていて、それを隠すために大声で宣伝しているのでしょうか。
それともこの不平等な世界を作った神に皮肉を垂れているのでしょうか。


まるで僕へのあてつけのようで
なんだかなぁ イラっとくんな
「君はどっちの味方なの?」 疑われているような

「君はどっちの味方なの?」
ここは解釈が難しいですね、パスです、パス。
敢えて言うなら
「世界が平等だと信じ夢を見る」派閥と
「不平等な現実を直視する」派閥のうちどっち? ってことかな。


世界は疲れたって
僕にはもう無理だって
宇宙の寂しさを一人で背負い
創りあげてはみたが

世界は疲れたって
人々のため息だけでも
ゆうに銀河一個は埋まるほどと
今ごろ愚痴こぼしてら

神様が地球を作る前は、宇宙は静かで退屈な場所だったことでしょう。
それで神様は地球を作った。
でも、そこに根差した人類は互いに恨み合って傷つけ合って、欲望のままに地球を汚して。

神様はもううんざりだったのでしょう。
人類に深く失望している様子が伺えます。


ここからは2番。

彼らのため息と 悲鳴と 喘ぎ声とを
すべて吸って綺麗な明日を吐きだす

そんな木に生えるは 人の姿形した
何とお呼びしましょう この癌を この菌を

ちょっと脱線します。
カイコ(蚕) の吐く糸って、まっ白でとても美しいですよね。
でも彼ら、成虫になってからは一切食事をしないみたいですよ。
それってなんか物理法則とか平衡状態とかに逆らってておかしい気がしませんか?
きっとなにかを食べているから、あの美しい糸が紡がれるのです。
目に見えないなにかを、必死に食べているんです。

そしてカイコには、”カイコノウジバエ” と呼ばれる寄生虫がつくことが多々あるそうです。
カイコがまゆで体を覆ってさなぎになると、それを内側から食い破ってダメにするのです。
可哀そうですね。Googleで画像検索してみてください。

おっと、話がそれましたね(それてない)。


孤独をどうぞ 欲望をもっと
七色に千変万化
お口にあった 人生謳歌 よだれだけふきな

ここは人類に対する皮肉パートだと思われます。
「目の前の欲望におぼれてどうぞ楽しい人生を歩んでくださいな」
という感じでしょうか。
「七色に千変万化」の部分は、あれやこれやと尽きることのない人間の欲望を表してる気がします。

しかし 「よだれだけふきな」 がとっってもかっくいい。
人類が根本的に変わることは諦めていて、人間に期待などしていなくて、でも
「せめて自分のケツぐらい自分で拭いてくれ。」 ってことなのでしょう。

個人的にはここの伴奏(?) がめちゃ好きです。
身体をリズムに合わせて  ぐっぐっ ぐっぐっ って動かしたくなる。


世界は疲れたって 僕にはもう無理だって
宇宙の寂しさの方がマシと
その手を振りかざしてら

世界は疲れたって あとはもう壊れるだけ
親が子を殺める時の作法を
お目に入れてあげましょう

もう神様は諦めたんですね、人類に期待するのを。
こんな悲劇を見続けるくらいなら、孤独な宇宙で1人過ごす方がマシだ、と。
そして今まさに壊そうと、その手を振り上げている訳です。


でも、最後に、壊す前に、自分の作ったものが無駄じゃなかったと信じたい。
地球を、人類を生み出してよかったと思いたい。

そして神様は地球の一生をカイコ(懐古 / 回顧)します。


一日くらいはあったかな この世の誰一人 泣かなかった日は
一日くらいはあったかな この世の誰一人 叫ばなかった日は


どうだったんでしょうか。
神様は、人類が存在していてよかったと思えたのでしょうか。

この歌詞に続く洋次郎さんの言葉にならない声を聞けば、なんとなく想像できるでしょう。
やり切れませんね。

(ここから先の歌詞は省略。)


では冒頭の逆再生に少し触れてみます。
「世界はt…..てら…..あとはもう壊れるだ…け…け……」と聞こえますね。

色んな解釈が可能ですが、私は「この曲全体を巻き戻したことを意味してるんだろうな」と思いました。
ラジカセ巻き戻してる時もあんな感じになりますよね。

じゃあなぜ曲全体の逆再生を冒頭に付けたのでしょう。
それは「人類繁栄→汚染→神様落胆→世界破壊→巻き戻し」のループになってる世界観を創りたかったのでしょう。

ここまではわかります。
でも、そしたらなんであんなに逆再生が不安定で飛び飛びなんでしょうか。
「てら…」 とか 「け…け…」 とか。

これは普通に「逆再生した時に音楽的に美しい箇所を切り取ったから」なのでしょう。
んが! そんな解釈つまらない。そしてなによりロマンがない。

なのでちょっと面白い解釈をします。
逆再生が不完全なのは「逆再生しても元に戻らないほどの何かおぞましいものが残ってしまうから」ってのはどうでしょう。

ループしたら綺麗さっぱり元に戻る。本当でしょうか?
汚染の限りを尽くしてきた人間の業も、目も当てられない凄惨な歴史も、心に刻まれた痛みも、全部ぜんぶ無くなってしまうのでしょうか。

私は、ほんのちょびっと残ると思います。
それに気付けるほど大きくはないけれど、かすかな無数の残滓となって空中を漂っている気がするのです。

なんでしょう、ループを繰り返すたびに世界のトーンがひとつ暗くなる感じでしょうか、、、

それら目に見えない怨念のようなものが、逆再生をする際にジャミングしてしまうからあのような不完全さになっているのだとしたら。

非常に面白いですね。



どうでしたでしょうか。
なんか、洋次郎さんの作る曲には根底に ”優しさ” と ”孤独” が横たわってますよね。
とっても好きです。


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