薬局スタッフも頭をかかえる…選定療養制度とは？
こんにちは！
大井田薬局です！
今日は、薬局スタッフも頭を悩ませる【選定療養制度】についてお伝えさせていただければと思います。
選定療養制度…？そういえば、こないだ薬局で先発医薬品のままだと負担金額が増えるといわれたかも。
といった方もいらっしゃるかもしれません。
そこで、少しでも理解を得られるようにお伝えできればと思い記事を記載させていただきます！
一人の薬剤師としての主観もかなり入りそうな内容ですので、ご了承いただければ幸いです。
調剤薬局の選定療養って何？
「調剤薬局の選定療養」って聞くと、なんだか難しそうに感じるかもしれませんが、実はそんなに複雑な話ではありません。
簡単に言えば、選定療養は「一部の後発医薬品(ジェネリック医薬品)があるお薬で、先発医薬品の処方を希望される場合は、支払いの金額が高くなりますよ。」ということ。
通常、病院で処方箋をもらったら、近所の調剤薬局で薬を受け取りますよね。
いつもの病院で、いつもの薬をもらうだけなのに…どうして支払い金額が高くなるのでしょうか？
どうして選定療養が始まったの？
そもそもこの選定療養というシステム、実は今回初めて採用されたものでもないんですよね！
以前より、紹介状のない大病院の初診、個室ベッドの差額…など、特別なサービスを受ける際に発生していました。
では、今回なぜ調剤薬局でこの制度が採用されたのか…？
理由を説明できればと思います。
年々増加する医療費の対策
年々医療費は右肩上がりで増えており、現在年間45兆円を越えているようです。
原因はさまざまあると思いますが…結局のところそれを負担するのは私たち国民ですよね。
対策は必要不可欠！ということで、薬剤費にメスが入ったようです。
ジェネリック医薬品の推進
医療費の対策に通じるとこですが、以前より国はジェネリック医薬品の普及を進めています。
この2点が大きな理由といわれています。
選定療養のデメリットは？（患者側）
もちろん、選定療養にはデメリットもありますので、それも理解しておきましょう。
費用がかかる
先ほどからご紹介しているように、選定療養を利用するには、選定療養費がかかります。これが少しネックになるかもしれませんね。
費用に関しては、薬剤によってさまざま。
計算に関しては、非常に複雑になっています。
私たちも、すべての医薬品についてパッと差額を返答することはできませんが…システムを使用し差額を計算することは可能です。
変更するといくらになるの…？と、気になる方はぜひご相談くださいね。
後発品へ変更するのが不安な方もいる
もともと、先発医薬品を継続している患者様は、ジェネリック？ちょっと不安だな…なんて思われる方もいるかもしれません。
特にここ数年は、ジェネリックメーカーの不祥事のニュースや、医薬品の供給不足などなど、不安を感じるには十分すぎるほどの情報があふれています。
今回の選定療養制度では、基本的にジェネリック医薬品の使用を推奨していますが、医療上必要な理由がある場合は、選定療養の対象とならずに先発品の使用が可能な場合もあります。
薬局や、病院でご相談ください。
選定療養のデメリットは？（薬局側）
患者のデメリットと同様に、実は薬局にもデメリットがあります。
ちょっとだけ現場の本音を記載してみようかと思います。
薬局が儲かるわけではない
私の理解不足でしたら申し訳ありませんが、この選定療養制度では患者様から見た目上多くのお金をいただきますが、薬局の利益には関係ありません。
「サービスが変わったわけじゃないのに値上げできてよかったね」
…なんて、言わないでいただきたいところです。
患者へ理解してもらうのが難しい（場合もある）
ジェネリック医薬品、保険制度の説明、用法の説明、医薬品の使用方法、注意点…
薬剤師のみならず薬局のスタッフは、日々患者様に沢山の説明をさせていだたいています。
沢山の情報を正しく理解していただけるように奮闘しているところですが、また一つ増えてしまった…と、ため息の出る調剤薬局の方も多いのではないかと思います。
しかも、聞きなじみのない【選定療養】という言葉…皆様から理解を得られるのには骨が折れそうです。
薬局によって金額は変わってくる？
同じ処方せんでも、受付する薬局によって負担金額が多少異なる…というのは、案外知られた情報かもしれません。
ただし、今回のこの選定療養制度に関しては、全国の調剤薬局一律で適応となっている制度なので、
【ほぼ、どこの薬局でも負担金額は変わらない】
というのが、答えになると思います。
この【ほぼ】というのがつく理由としては、【薬局に対象のジェネリック医薬品の在庫がなかった場合、選定療養を算定しない】というルールがあるからです。
しかし、リアルタイムにどこの薬局にどの医薬品の在庫がある…というのを患者様が把握するのは現実的ではありません。
なので、基本はどの薬局でも平等に選定療養制度は行われていて、金額の差異がでるかはその時による…ということになります。
まとめ
ここまで選定療養について説明してきましたがいかがだったでしょうか？
また大変な制度が始まってしまったな…という気持ちと、医療費も高くなってるし仕方ないのかな？という気持ちで複雑な思いです。
これは一人の薬剤師の意見ですが、
医療費の削減ももちろん大事ですが、製薬会社の利益が減ってしまい、医薬品の供給がますます不安定になってしまう。
特に内資企業が開発費を賄えなくなり競争力が低下し、良い新薬が生まれなくなってしまう…。
なんてことにならないといいな、という気持ちもあります。
以上、10月より開始になった調剤薬局の選定療養制度についてでした！
情報については、日々更新されることもあるので、随時厚生労働省のHPなどで確認していただけると幸いです！
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