Have a Nice Burn③
入場
8月26日。翌朝、早々に会場へ向けて出発。ながれてく景色が変わらないので進んでいるのかわからなくなる。途中、緑色の村人が印象的な村でタコスとガソリンを補給。
植物の緑が消え、あたり一面まっ白な砂のみになってきたところで入場ゲートが現れました。気温は40℃といったところ。湿度が無くカラッとしているので日陰に入れば意外と平気です。ぼくらはネットでWill Callチケット(入り口で発券してもらうタイプのチケット)を購入していたので、チケット発券場に並ばねばなりません。
並んでいる人の中には直射日光を避けるため頭に傘を装着している人、収まりきらない大量の髪を無数に穴の開いた麦わら帽子から解放している人などがいて、はやくも僕が今まで知っていた世界が軋み始めます。この人たちは一体?
旅路クイズ
「旅路クイズ」をしながらチケット発券場に並ぶこと2時間くらい。
あ、「旅路クイズ」というのはですね、当時の僕らの間だけで流行っていたゲームです。ジブリ映画「風立ちぬ」のサントラには10曲くらい「旅路」っていう曲が入っていて、基本同じ曲なんですが、旅路(イタリアの風)、旅路(カプローニの引退)、旅路(軽井沢の出会い)みたいな感じで、曲ごとに微妙にアレンジが異なります。
これらの「旅路」をランダムで再生しては、「うららかな春、楽しげに流れるせせらぎのような調べ、それでいて一抹の緊張も含んでいるこの旅路は...はい! 軽井沢の出会い!」なんて当てっこをするゲームです。たぶん世界でいちばん「旅路」の違いが判るのは僕ら。このスキルを活かす機会は無い。
耳が「旅路」に慣れてきたところでようやく、入場チケットとVehicle チケット(車の持ち込みをするならこちらも購入が必要です)をゲット。
Burning Manは毎年テーマが変わるのですが、今年のテーマは「Caravansary」。「隊商宿」という意味だそうです。つまり、ここにいる皆は一緒に旅をする仲間という訳ですね。なんて素敵なテーマなんだ。まわりには一緒に旅をしたくない見た目の人しかいません。
洗礼の儀
無事Black Rock City(会場の呼称)に入場し、心穏やかにドライブしていると、おやおや?おかしな人たちが現れましたよ。彼らはプラヤの案内人。
ぼくらの行く手を遮った彼らは、そのいでたち、さてはお主らプラヤ(Black rock 砂漠のこと)は初めてだな?いいか、黙って車を降りろ。言う事を聞け。そして服を脱いで地面の上でゴロゴロするんだ。わかるな?と言い放ちました。
正直、わかるところはひとつもありませんでしたが、ここでわからないと答えればワンダーランドに連行されることが頭ではなく心で理解できたので、すごくわかると答え、素直に従うことにしました。
ひとしきりゴロゴロして体をまんべんなく砂まみれにし、謎の鐘をハンマーで鳴らしたところで洗礼の儀は終了。
これでおまえらも我々の仲間だという感じで抱擁され、地図とイベントのスケジュールが書いてある冊子をもらいました。その後、砂だらけの体で車に乗り込んだので、レンタカーのシートが真っ白になりました。
住居の確保
Black rock cityは円形をしていて、中心から伸びるアナログ時計の時刻の道(北が12時、東が3時、南が6時、西が9時)と、中心から放射状に敷かれたアルファベットの道(A~Lまで)の交点で住所を表します。
円の中心にはバーニングマンの象徴「Man」がいて、そこから12時の方向に歩いていくと「Temple テンプル」と呼ばれる建造物があります。
Manの周りの砂漠とその北の広大な砂漠(10時~2時までの部分)が「Playa プラヤ」。おかしなオブジェがあったり、愉快なイベントが多数催されるエリアです。それ以外のエリア(東部、南部、西部)に人々はテントやキャンピングカーを陣取ります。
僕らは「8:15のI」の位置にテントを設営しました(地図の左の方)。衝動買いしたパラソルが日差し避けに抜群の効果を発揮。太陽の位置に合わせてパラソルを移動し日差しを除けていくぼくら。脳がとても賢い。
偵察
住居が確保できたので、残りの時間はひたすらドリブルの練習。
そーれ、そーれ、パスはどこの国の人ともつながります。人種の違いなど、ここでは些細な事。わたしもサザエさん、あなたもサザエさん。笑う声までおんなじです。
トイレや救急施設などのインフラは完備されているので、そのへんは安心です。ぼくはVバックというものをはじめて見ました。
プラヤの主役、Manのおひざもとに来てみましたよ。今年のManは近年まれにみる巨大なManだそうで、燃えっぷりに期待がかかります。それにしても頭部のこの障子感はなんなんでしょう。十中八九エントリープラグには千利休が入ってますね。
プラヤには下の写真ような巨大オブジェがたくさん点在しています。この二人が向き合ったような木製の像も、この地にやってきたアーティストがつくった作品のひとつ。この像のふもとでは結婚式をあげている方々がいて、とても盛り上がっていました。結婚式って、結婚の事実を伝えたい人たちがそこにいれば、もはや場所とかどこでもいい気がします。
あ、この像は中にも入れました。内部の階段を上がって、目の部分から外をのぞくとプラヤが遠くまで見渡せるのでおすすめです。とても凝っていて、内部では心臓のオブジェがドックンドックン拍動していました。
テントに戻る途中、プラヤ神を拝むことができたので、かるく子孫10世代分の繁栄が約束されました。明日に備え、餅米を水に浸けて就寝。
④へ続く...