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【第4期_第2回講義】ビジョンとミッションを軸として「0から1を生み出す」(中尾 太一氏 株式会社PLEIN 代表取締役)

皆様こんにちは。
7月9日に行なわれた第二回講義のレポートを学生受講生の清松が担当させて頂きます。
講義では「0から1を生み出す」革新的な事業アイデアの考え方と題して、中尾太一氏が18歳で飲食事業での起業を志してから現在へ至るまでの経験に基づく考え方を軸にしてお話しいただきました。
特に重要だと感じた点をまとめさせて頂きます。

1.講師紹介【中尾太一氏】

株式会社PLEIN (プラン)
代表取締役
1992年 1月30日生 料理人兼経営者
経済産業省選定2021年度 はばたく日本の中小企業300選定に外食産業の企業として唯一の認定を受ける。
18歳の時に将来フードビジネスで起業する事を決意する。
新卒で星野リゾートに入社25歳で独立を目標に資金を稼ぐ。
Smiles:に転職して新規開業室所属で商品開発店舗運営を行なう。
25歳で貯めた500万円と銀行融資1000万円を資本金に表参道でレストランを作る形で独立起業し、現在も自己資金と銀行融資のみを元手に6店舗展開し運営を行っている。

2.講演【「0から1を生み出す」革新的な事業アイデアの考え方】

会社紹介 【株式会社PLEIN】

講義では「0から1を生み出す」革新的な事業アイデアの考え方と題して、中尾太一氏が18歳で飲食事業での起業を志してから、現在へ至るまでの経験に基づく考え方について話して頂いた。

自分の手で起業して0から会社を作った中尾太一氏、そんな彼がまず語った事は仕事で一番自信があることは行動力と失敗数だった。
25歳で表参道にレストランを開いて現在、飲食店6店舗運営していると耳にすると一見順風満帆に成功しているように聞こえるが、中尾氏曰く成功できたのは運と周囲に恵まれたからだとおっしゃっていた。
周囲から「25歳で表参道にレストランを開くなど考えられない」「絶対に失敗する」と言われその反対を押し切る形でレストランを開いたそうだ。
すると周囲からの反対の通り3ヶ月で店は倒産危機に陥ってしまった。お金もない、人脈もない、お客も来ない、社員は辞める、売上は事業計画の3分の1にも届かず、中尾氏は資金を賄うためにアルバイトをしながら社長業を行ない、毎日終電を逃すほど働いてもレストラン店舗運営は好転しなかった。タクシー代もないので自宅まで5㎞歩いて帰っていたそうだ。
以上のような失敗談から講義は始まった。

今回の講義では「0から1を生み出す」ために「“やりたい事”よりも“役に立てる事”」と題して株式会社PLEINの三つの事業を事例に伝えて下さった。

①     コロナ過におけるEC事業の立ち上げ

コロナ過で飲食店が壊滅的な被害を受けて閉店や休業に追い込まれた事態は誰にとっても記憶に新しいことであると思う、そのような中で株式会社PLEINは成長を遂げる事に成功した。
「やりたい事よりも役に立つ事」という言葉の真意についてはドリルの話を例に解説がなされた。
セオドア・レビット著書『マーケティング発想法』(1971年/原著は1968年出版)より引用で「昨年、1/4インチ口径のドリルが100万個売れたのは、人びとが1/4インチのドリルを欲しかったからではない。1/4インチの穴が欲しかったのである」ドリルを買う人が本当に欲しがったのはドリルではなく「穴を開ける事」であったという。

コロナ過で多くのレストランが苦境に立たされた際にこぞってテイクアウトが行われた。
レストランにとってテイクアウトはとりあえず出来る事で、顧客にとってテイクアウトは外食できないから、好きな飲食店の応援という意味合いが強かった。
この場合、テイクアウトはレストランのやりたい事であり顧客が本当に求めているモノではなかった。平時からテイクアウトで顧客の役に立っていた企業はコロナ過でも業績を伸ばす事に成功しているが外食産業は大きな打撃を受けている。
そのようなコロナ過で、中尾太一氏はレストランが営業できない時に自分達が顧客の為に出来る事を考えた。そうして行われたのがコロナ過でのEC事業の立ち上げだ。
「自宅でも美味しいフレンチが食べたい」というニーズはニッチだが確かに存在し、それは大手テイクアウトチェーンでは満たせない。そのニーズを満たす為に出来ることを考えた結果、「食卓をフレンチビストロに」「全商品冷凍食品に特価」「ギフト対応にこだわる」「OEM(委託製造)にこだわる」をコンセプトとしてパテやソーセージなどの食肉加工品に特価して商品開発を行った。
その結果、2020年4月緊急事態宣言発令1回目初月から月商300万円、ピーク時には月商1500万円を達成している。
ECショップノウハウ0から広告宣伝費に一円も掛けずに1年で年商約8000万円規模に成長した。

② 幸せのキッシュ

「幸せのキッシュ」とは、新型コロナウイルスの収束に向けて最前線で働く医療従事者へのエールと実施されたプロジェクトだ。医療従事者へのエールをしたい人がキッシュ2ホール分の代金を支払うことで、1つは購入者の元へ、1つは医療従事者へのエールとして病院に届けられる仕組みである。
レストランの常連客が医療従事者であり、医療機関ではコロナへの対応で忙しく落ち着いて食事が取れないという実状を聞いたことがきっかけとなった。
緊急事態宣言発令で苦しんでいたのは医療機関だけでなく、レストランも食を通じて人に幸せを提供することが出来ず休業せざるを得ない。生産者は取引量減少により2,000kgの野菜が廃棄の危機に、顧客は社会に対して貢献したいという気持ちはあっても何を支援すべきか分からないという具合にそれぞれの悩みがあった。
これらの事象から着想に至り開始されたのが「幸せのキッシュ」であった。
2020年5月から2021年7月にわたり、1,786名の方に協賛、785万8,400円の支援を
頂戴し、14,288ピースのキッシュを毎週80ピースずつ医療従事者へ届ける事へ成功した。

③ コロナ禍の新規事業

コロナ過で出店した店舗はやりたい事よりも役に立てる事をより重視している。
恵比寿に出店したアフタヌーンティー専門店 Atelier pleinはアフタヌーンティー専門店だ。アフタヌーンティーが楽しめる店が存在しないという声を受けて業態開発された店舗であり、一軒家でシェフパティシエが手掛けるアフタヌーンティーを楽しむことが出来る。
渋谷駅中に出店したDELI by pleinは初の中食ビジネスだ。商業施設駅中店舗の出店で、幸せのキッシュを始めとした本格フレンチの味を気軽に楽しめるデリカテッセン(洋風のお惣菜)が魅力の店舗となっている。
ディナー営業のみの表参道のレストランを、デリカテッセンの製造に利用する事で緊急事態宣言発令中もレストランの有効活用、稼働率の維持を図った。

3.まとめ

上記3つの事業で「0から1生み出す」ために行ったことは視点を少しずらすことから生まれている。すでにあるものを組み合わせるなど、実はちょっとした工夫が源となってである。
世の中にあるサービスのほとんどがちょっとした気づき、やり方の工夫から生まれている。それに、自分がやりたい事に対して共感した方が顧客になる。
そして、顧客は誰なのかということを常に意識しないといけない。無意識に共感した顧客のために事業をする様になると、独自性が失われぶれる恐れがある
また、役に立てる事とは顧客志向を持つということだ。喜んでもらいたい相手が決まっていればやり方が変わってもぶれない。
喜んで頂きたい顧客像は変わらないので、どうすれば喜んで頂けるかのGOAL思考になる。
やりたい事から発想すると、施策先行の固定概念から外れる事が出来る。このプロセスを踏むことで、誰でもアイデアを出し、0から1のイノベーションを生むきっかけを作る事が出来る。

4.所感

今回の講義を通して自分が何をしたいのか、自分の活動が誰の役に立っているのか、誰の役に立つのかを見直すきっかけとなった。ワークの途中では、中尾太一氏に自分の活動を説明する機会があった。そのとき、具体的に誰の為に活動しているのか質問された時に咄嗟に答える事が出来なかった。
その際、活動についての本気度を問われて、本気であれば誰よりもその活動での知識を持つべきと助言を頂きました。
講義の中で既にレストランが繁盛していたにも関わらず、成果におごらず、常にアンテナを張る事でコロナという危機を逆に成長する機会に変えた危機管理能力がこれからの時代の経営者には必要であると感じました。
私も常に情報収集に勤めアンテナを強く張っていきたいと思います。
 
今回のレポートは以上です。最後まで読んで頂きありがとうございます。
第三回のレポートも読んで頂ければ幸いです。


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