【第2期_第1回講義】学習学の提唱者が語る「コーチング」とは?2つのポイントと実践トレーニングをマスターしチームを強化しよう。
Oitaイノベーターズコレジオ第2期受講生の寺本聖(てらもと ひじり)です。
2020年6月21日に開催された第一回講義「グループコーチング」の内容をまとめました。
受講者の復習以外にもコーチングを勉強したい方は必見です。
講師の紹介
本間 正人氏
京都造形芸術大学の教授・副学長であり、学習学の提唱者 。
専門分野はコーチング、英語教育。その他にも77冊にわたる著者を発表している。
コーチングとは?
「言葉として知ってはいるが、具体的なプロセスや方法は知らない」
「教えること」
という回答が多いのではないだろうか。
コーチングとは、「可能性や自発性、潜在能力を引き出すのがコーチング」と本間氏は語る。
もともと、「コーチ」という語源は「馬車」のことを指し、「大切な人を望むところまで送り届ける」というのが由来である。
では、教える「ティーチング」とは何が違うのだろうか。
コーチングとティーチングの違い
先述した通り、コーチングとは自発性や潜在能力を引き出すプロセスに対し、ティーチングは教え込むという決定的な違い点がある。
つまり、何か問題に遭遇したときに自発的に解決させ成果をださせるプロセスが「コーチング」であり、アドバイスや答えを教えることは「ティーチング」なのである。
では、コーチングとはどうやって行うのか。
コーチングを行うにあたってコーチングを専門とする本間氏から実際に教わったポイントと具体的なスキルについて以下で解説していきたい。
コーチングのポイント①:コミュニケーションを引き出す
コーチングを行うにあたって、対象者のコミュニケーションを引き出す作業は重要であると本間氏は語る。
その理由は、コミュニケーションを引き出すことによって得られる信頼関係がコーチングの成功の鍵となっているからだ。
では、コミュニケーションを引き出すために具体的に何をすれば良いのか。
以下では本間氏が挙げたコミュニケーションを引き出すために必要な3つのスキルを紹介していきたい。
スキル1:傾聴
傾聴とは、耳を傾けて熱心に聴くこと。
具体的には、「あいずち、うなずき、くりかえし」を行うことで、共感欲求が満たされ、信頼関係が築かれる。
また、3つの中でこのスキルが1番重要であり、リーダになるにはこの能力が必須と本間氏は語る。
スキル2:質問
ここでの質問はコーチが現状把握するためではなく、「分かっていないことを気づかせてあげる」ために行うものである。
そのため、詰問にならないように注意する必要がある。
スキル3:承認
傾聴と質問を終えたコーチは、褒めたり、叱ったりし相手のモチベーションを高めるアクションをとる。
叱るとは叱るべきビジョンを示すことであるため、怒らないよう注意する必要がある。
以上「傾聴、質問、承認」を心掛けることでコミュニケーションを引き出せるようになり、コーチングの成功へ1歩近づくことができる。
では、次にコーチングの基本スキルとして挙げたGROWモデルについて解説していきたい。
コーチングのポイント②:”GROWモデル”を活用する
GROWモデルとは、
・Goal(現状の把握)
・Resource(資源の発見)
・Options(選択肢の創造)
・Will(行動計画化)
の頭文字をとった造語であり、コーチングの基本スキルと言われている。
行動フロー順にGROWモデルを解説していく。
G:Goal(現状の把握)
クライアントの目標の明確化を行う。
例えば、
「今、何が問題だと感じていますか?」
「このプロジェクトのが進まない原因は何ですか?」
などが有効だろう。
R:Resource(資源の発見)
目標を達成するためどのようなものがあるのか、人、モノ、金、情報、時間で考える。
例えば、
「問題や課題を解決するためにはどれぐらいの予算が必要になりますか?」
「過去のナレッジなどから応用できたりはしませんか?」
などが有効だろう。
O:Options(選択肢の創造)
クライアント自身で選択肢を洗い出し、その中から自己選択する。
例えば、
「他社・他者ではどいう方法を実践していますか?」
「他に新しい方法はありませんか?」
などが有効だろう。
選択肢がどうしても出ない場合は、選択肢をいくつか与えても問題はないが、最終の意思決定はクライアント側にさせる。
W:Will(行動計画化)
課題解決や目標達成のための具体的な計画を選定し、やる気を確認する。
例えば、
「直近のアクションとして何ができますか?」
「目標やプロジェクトを達成するために具体的な行動計画を立ててみませんか?」
などが有効だろう。
コーチングの実践トレーニング
良質なインプットを行ったあと、それらスキルを身に着けるためアウトプットする時間が設けられた。
具体的には以下の2つのトレーニングを行った。
①ヒーローインタビュー
②1対1で実際にGROWモデルを活用してコーチング
①ヒーローインタビュー
ヒーローインタビューの目的は、コミュニケーションを引き出すための、「傾聴、質問、承認」の実践トレーニングだ。
【ルール】
・2人1組でペアになる
・インタビュアーとヒーローを決める
・各4分ずつ行う
インタビューの議題は、ヒーロー担当者のやりがいや充実感、成功体験を利用する。
インタビュアー担当者は、傾聴と5W1H に気を使いながら質問を行う。
ヒーロー担当者は、答える際に、具体的に、細かく、映像的に伝えることを意識する。
実際に行ったところ、初対面の相手と傾聴しながら次の質問を考えるのが私にとって非常に難しいものであった。
しかし、このトレーニングを行うことで傾聴力の向上を実感することができた。
②1対1でGROWモデルを活用してコーチング
この目的は、実際にGROWモデルを活用するための実践トレーニングである。
【ルール】
・2人1組でペアになる
・クライアントとコーチを決める
・各10分ずつ行う
コーチングする議題は、クライアント側の解決したい問題や達成したことなど仕事上やプライベートのことなどを取り上げる。
コーチはGROWモデルを意識しながら、クライアントを行動計画まで導く。
注意点は、「アドバイス」しないことだ。
コーチングを実践したところ、現状の把握までは問題なくできたものの、その後私がクライアントに具体的なアドバイスをし、コーチングではなく、ティーチングを行ってしまった。
次回、コーチングの実践を行う際はこの失敗を生かし、相手を行動計画化させることに意識して取り組んだいきたい。
講師からのメッセージ:苦手は練習不足である
講義中に最も印象的であった本間氏のコメントを1つ紹介したい。
多くの人はできないことを苦手意識してしまうが、それはただの練習不足である。
できるまでのフェーズには4段階あり、
①できないことを意識しないフェーズ
②できないことを意識するフェース
③意識するとできるようになるフェーズ
④意識しなくてもできるようになるフェーズ
がある。
本日の講義を受けた私は少なからず①から②か③のフェーズへ移動することができた。
次の④の「意識しなくてもできるようになるフェーズ」へ進むには実践を何度も繰り返すことで習得できるようになると本間氏は語る。
感想
本間氏によるグループコーチングの講義は非常に効果的であった。
また、コーチングに関して知識を得られただけでなく、実践を通して課題が明確化した。
継続学習として、学んだコーチングを仕事上で意識して行い、パフォーマンスの向上につなげたい。
この記事を書いた人:寺本 聖(大分大学経済学部 学生)
大分大学3年生の寺本 聖です。現在は大学を休学しセブ島でマーケティングに従事しています。趣味は海外旅行と語学学習とお酒です。
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