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【第2期_第6回講義】一人でも多くの人が自分のVisionary Workを生きる世界をつくる
Oitaイノベーターズコレジオ2期生の廣瀬奈那(ひろせなな)です。今回は2020年11月14日土曜日に行われた第6回の様子をレポートします。
1、講師の紹介
鵜川洋明氏
17年間株式会社ファンケルに勤める。2013年に起業し、企業向けにキャリア支援、ブランドコンサルティング、ワークショップ型研修、ファシリテーター養成などを行う、株式会社ミラクルカンパニーを創業する。
2、Visionary Workについて
「Visionary Work」とは、鵜川さんの言葉。Visonを実現、体現するための行動という意味である。鵜川さんのVisionは「一人でも多くの人が自分のVisionary Workを生きる世界をつくる」ということだ。
3、5つの幹
プランを表現するとき、この5つの幹が自分の中でイメージできていることは重要である。
「誰の何を、何でどうする。そしてどうなる。」
①誰の→誰に価値を届けたい?
②何を→対象の悩み、望みは?
③何で→その悩み、望みは何によって解決される?
④どうする→具体的に、何をする?対話をしながらプランに具体性を。
⑤どうなる→その結果どんな状態になる?
5の幹を使って議論を進めていくときのポイントは、最初からまとめるのではなく、まずはそれぞれのパートでイメージを書き出してみることだ。展開はそれぞれのかたちで自由に。しかし立ち往生したり迷ったりしたら、「そもそも自分たちはこのプランを通して何を提供したかったのか」に立ち返って考えてみるとよい。
また、5つのうちどれかに独自性があるとプラン全体がユニークになる点もポイントだ。
さらにプラスワンのパートとして、プラン(ビジョン)にタイトル(キャッチフレーズ)を付けるなら、どんなものをつけるかということも考えてみるとよい。5つの幹をつなげた後、「つまりそれは一言で言うと?」と問うてみるのだ。コアがより明確になり、またキャッチー捉えることができて人に伝わりやすいものになる。
4、「問い」を使う
私たちが何かを実現したりプロデュースしたりするとき、「問い」が大変重要だと鵜川さんは語る。
一般に、良い「答え」を考えることより良い「問い」を考えることのほうが大事だと言われる。これは変化の激しい時代であること、いろいろな知恵や見方を結集できるということ、思考の質を向上させられることが関係している。
問われることで、普段言葉にしていない無意識の中にあるものに触れることができる。「問い」がそれを取り出すきっかけになるのである。よいビジネスを創ることは「よい問い」を立てて、それに答えをだしていくことである。
〇プランに独自性を出すため、「どのような問いを立てるのか」
アオヤマフラワーマーケットの例
アオヤマフラワーマーケット…駅前で気軽に花を買える、日常に花を添える習慣の走りとなった花屋。
問い)来店頻度の高い花屋にしたい。
↓
答え)ギフトではなく、日常生活で花を買っていただく。
問い)人はなぜ枯れてしまう花を買うのか。
↓
答え)顧客には花自体ではなく、花のある時間や空間を買っていただいている。
この問いが生まれた瞬間に行うビジネスの方向性が固まり、テーマである”Living with flower everyday”という言葉が生まれたそうだ。アオヤマフラワーマーケットが手掛けるフラワーアレンジメントスクール、花のある日常のためのインテリアなどの事業はこの言葉のもとで展開されたのである。
よい「問い」つくるために頭の中で何をしているのだろうか。
スタートは「そうあってほしい」というビジョンをもつこと。そしていろいろな問いを考えてプランを明確にしていくのである。
【参考】より問いを深堀りするために
①無意識にある“動機”に光を当てる問い
それをすることで得られることは?
⇕
しないことで得られることは?←ここが無意識の中にある“動機”にあたる
②“壁の先”に進ませる問い
重たい壁→一番ネックになっているのは?
抵抗の壁→その人がそれを拒む真の理由は?
常識の壁→本当にそうなの?
無理の壁→でももし出来たら?
思考停止の壁→どうしたらできる?
◎「問い」は切り口
いいプランを前提に、そのプランをどうブラッシュアップしていくか、がカギとなる。問いを出すことでプランの切り口が増え、いろんな角度でものを見ることができる。その中から取捨選択するとプランはより良くなるのである。
5、ビジョンフレームで構想をつくる
〇ビジョンフレームとは
①未来(vision)
創り出したい状況、望ましい未来
→5つの幹の「そしてどうなる」と重なる。
②今なぜ(Why)
そのビジョンを作り出したい理由、あなたが変えたい、変わってほしいと思う状況、そのビジョンを実現させる必然性
→本気度を相手に伝える。
◎Whyの点でのポイント
Outside-in (求められること・顕在化したニーズ)
ここにだけ焦点を当てていると誰かが行っていることと似通ってしまう。
⇕
Inside-out (内側から湧き出るもの・潜在的なニーズ)
一見ビジネス的にどうなのかというものでもその実現したいという思いを大事にする。
③価値(Happy)
そのビジョンが実現することによってハッピーになる人、会社、社会
→実現性より可能性を示す。
④どうする(Key-idea)
ビジョンが実現するためのカギとなるアイデア、方法や行動
→重要な要素を3つ出してみる。
これを使うことによって3つの力が育つ。1つ目はアイデアを構想として描くことができる「描く力」、2つ目は思いとロジックを両立させたプレゼンができる「語る力」、3つ目はビジョンフレームに沿って問うことで相手の中にあるイメージを引き出し整理する「問う力」。
組織にとって望ましい状態と、自分にとって望ましい状態の重なりの部分が自分にとって意味のあると思える部分なのである、と鵜川さんは語る。これを自分事化という。チームのみんなが自分事化された部分を持っていると良いプランが生まれやすくなるのだそうだ。
6、感想
今回の講義を通してプランの根幹を理解しておくこと、そしてそれを構想して描いてプランを発展させていくことの重要さがわかりました。一見順序がバラバラにみえるビジョンフレームの構造も、従ってしまえばしっくりくるもので興味深かったです。たくさんの切り口で自分たちのプランを深めていくために柔軟に頑張っていきたいです。