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【第2期_第10回講義 最終発表会】

Oita Innovators Collegio 2期生で、大分県の高校に通っている赤峯 渉(あかみね わたる)です。2021年3月13日(土曜日)に行われた第10回講義についてレポートします。

今回は、ソフトバンク株式会社 人事総務総括人事本部 副部長の 源田泰之 さんと、株式会社Funleash CEO 兼 代表取締役の 志水静香 さんを講師としてお迎えしました。

1、講師紹介

源田泰之さん
ソフトバンク株式会社 人事総務総括人事本部 副部長、SBイノベンチャー株式会社取締役、公益財団法人孫正義育英財団事務局長など、様々な肩書を持つ。また、プロ・リクルーターアワード2018最優秀賞、HRアワード2019 企業人事部門 個人の部 最優秀賞を受賞している。

志水静香さん
2018年に株式会社Funleashを設立。元ランスタッド取締役・最高人材開発責任者(CPO)。2016年、職場においてインクルージョンを推進した画期的な企業のイニシアチブを表彰するカタリスト・アワード受賞。

2、基調講演①

『SoftBankの成長を加速させる施策から学ぶ 社会変革をリードするイノベーターとは』

・人の成長ための「7・2・1経験則」

経験をすることが非常に大切。

例)SoftBankでは“ジョブコスティング”や“FA”などの制度があり、だいたい年間300~500人異動している。

・多様な人との繋がりによって新たな価値観を知る

意思決定の質を高める要素が“内省”と“対話”。内省とは、自分を知ることで、内省はやろうと思えばできるが、対話は意識してその場を持たないとできない。また、色々な立場や、職種、年代の人がいる対話が大切。

・自主性とコミュニティ

これはソフトバンクの人事制度の特徴。社内の人数が増え、同じ部署やその周辺の人との対話になってしまうから、それを超えたコミュニティを大切にしている。

① SoftBank University(全社員向け研修制度)

講師の約95%が社員。社内講師認定制度があり、講師が社内にいるため、何か質問があったらすぐに聞ける。また、講師は受講者の質問を聞くことで、自分の課題を認識できる。だから、外注した講義よりも、講師がしたほうが満足度が高い。

② SoftBank Academia(グループを担う後継者育成)

孫さんの後継者を探すもの。様々な立場や職種の人がいるところが魅力。それを目当てに参加する人も多い。

③ SoftBank InnoVenture(新規事業提案制度)

事業創造を担うもの。“Innoventure Lab”が社員向けのIncubation(直訳すると孵化)を担当し、ここでチームアップしたり、スタートアップを学んだりする。主な活動としては、講演会・チームアップ・勉強会・メンタリングが挙げられる。
その後の審査を通過した人用に、“Innoventure Studio”というAcceleration(直訳すると加速)プログラムが用意されていて、経営・実務・ノウハウ・資金、その他の4つの側面から支援する。

・孫正義育英財団(孫正義氏の個人資産で行っている活動)

未来を創る人材の支援をすることで、人類の未来に貢献することが目的。
多様な年代、ジャンルの人が関わり、イノベーションに繋がるように、渋谷に“Infinity”という場を設けている。

[まとめ]
・経験が1番大切。
・対話の質をどうあげるか、ということも大切。

3、基調講演② 

『大分から変革を起こすためにまずあなたから変わる “Be Original”』

Q、あなたは何のために働いていますか?
A、お金のため(私はこれです)、楽しく生きるため、生きがいのため、自己成長(実現)など

政府の調査によると、「生きがいのため」「社会のため」「実力を発揮するため」という項目と、「お金を得るため」という項目が乖離してしまっている。この傾向が約20年変化していない。

また、働く環境は改善されているが、働く人の意識は変化していない。

Q. 1番大切なものが置き去りになっていないだろうか?

・経営者の認識の変化

Q. これから私たちは「予測できない変化」に対応するためにどうしたらよいか?

・天職=幻想と認識する
・逆境や修羅場が自分を変える
・隣の芝生は青く見えるもの
・今日の常識は明日の常識(何にも慣れない)
・人と違うことは快感である(自分の頭で考えるクセをつける)
・空気を過度に読みすぎない
・世界を自分がどう見るか(世間からどう見られるかではない)

[まとめ]

Q、未来を変えるには何が必要か?
A、謙虚さ、素直さ、学ぼうとする姿勢が必要。

まずは、

① 自分の頭で考えた自分の意見を持つ(他に流されない)
② 自分の得意を使って役に立つ(どんな人も得意なことはあり、突破口になるかもしれない)
③ 人との出会いは新しい世界の扉(扉を開けてくださった人に感謝する)

から始めてみたらどうだろうか。

4、発表会

フィードバックも含めて1チーム約20分で、大分を変革するプロジェクトの発表が8チームから行われました。

①チームI「地元民の生活を豊かに」

スマホで育てる、育てたもの&美味しい食べ方を提供するアプリ「OITY!」

源田さん:プロモーションのあたりはできそう。また、おもしろい着眼点だと思うし、技術的に可能ではないか。物流の仕組みは奥深くて、アイデアを実行するのは難しい。しかし、これからはまた変わってくると思うから、マッチングもできると思う。

志水さん:ネーミングが最高。「雇用が増える」というイメージがあまり湧かなかった。今、若者の農業への関心は高いが、ハードルが高く、参入しにくい現状がある。だから、やり方などを教えるスクールのようなものを併設している人がいる。そのスクールは現地にあるため、必然的にその場所へ行かないといけない。そういう形で、大分で学べる体験、得られるものを組み込むと、もっといいと思う。

②チームA「学びのスパイラル!わくわくアカデミー!」

学びのインプットとアウトプットができるオンライン自習室

源田さん:大学から見た景色、会社から見た景色は違う。産学一体となって学生の時から社会人経験をどうするかという議論がある。世の中でも、探究型の学習がトレンドになっている。これまでの学習スタイルと変わるだろう。自習空間+アウトプットの組み合わせがいい。オンラインだと、日本だけでなく、海外の人も対話に入ってこれる。大分県外の人が、大分に行かなくても、大分の良さを知れるのはいいと思う。

志水さん:年齢関係なく、どこまで学び続けることができるか、が鍵。地元の人(大分県民)は「大分はポテンシャルが高い」ということに気づいていなかったり、慣れたりしている。だから、県内企業だけではなく、他県の関わりのない企業(例えば外資系)を取り込んでいくことで、よりイノベーションが起こりやすくなるのではないか。

③チームD「見切り商品のデリバリー~食品ロスwith大学生~」

見切り商品を大学生に安く提供するサービス Mikily

源田さん:社会課題を解決しようという、問題の置き方がいい。見切り品の扱いは難しいと思っていて、過去SoftBankイノベンチャーで取り組んだ時も難しかった。(コストやマッチング時間など)収支面を考えなければならない。

志水さん:このプレゼンの方式が素晴らしく、効果的だと思う。また、小さなところから始めてみるのもいいと思う。「誰に対して、どんなサービスをするのか」というかけ算を考えなければならない。必要な人 と 余っているもの をどう効果的に繋げるか、という視点がいい。(参考になりそうなもの:クックパッド)

④チームE「”愛love大分♡” 大分で働きたいと思うために」

地域の総合コンサルティングファーム 地域に隣区(株)

源田さん:プレゼンの手法が凝っていておもしろい。王道的にいい取り組み。今起業して波に乗っている人は、結構学生の時に起業している。一方で、情報等少なくて、学生に起業する自信が無いというのは実際そうだと思うから、そこをマッチングするのはいいと思う。社会人の副業として、その学生にアドバイスをする、みたいな。(参考になりそうなもの:アソビュー、おてつたび)

志水さん:Q、マッチングは個人がターゲットか?企業がターゲットか?
A、主に県外で働いている法人をターゲットにしている。企業を誘致。

⑤チームH「ONE会員が巻き起こす、大分のAPU化」

NPO法人 ONE が仕掛けるグローバルストリート・360度レストラン

源田さん:おもしろい。可能性がある。意識していれば、実現性はあると思う。(可能性の話だが)インターナショナルスクールを大分に作るといいのかもしれない。主に富裕層がインターに入るから、大分に素晴らしいインターナショナルスクールがあれば、子と母で移住することもあるかもしれない。経営者を口説いて、大分にも作ってみたら?コワーキングスペースに外国籍の方がいるのは、強みになると思う。(参考になりそうなもの:ケイ・インターナショナルスクール)

志水さん:大分やAPUは、まだまだ一般的に知られていない。学校ができると、コミュニティができるから、インターや質の高い学校ができるのはいいと思う。「大分にいても海外を感じられる」を逆転の発想で、「海外にいても大分を感じられる」というのも有りだと思う。

⑥チームB「50歳からのインターンシップ~かっこよかったパパ&ママをふたたび~」

社会とつながり、よりワクワク、健康で充実した時間を過ごせて、ピンピンコロリな老後

源田さん:転職後の満足度は、転職前の満足度よりも低い。会社の文化に合う・合わないがある。一方、新卒は離職率が低い。副業的にするインターンはやりやすいかもしれない。社会人インターンシップは需要がある。

志水さん:事業でやろうかと思っている。(大企業から発注がきている)
シニア層にもう一度活躍してもらおうと思っている会社もある。一方、似たようなサービスを行っている会社もあり、そこはマッチングとスキルを重視している。しかし、人格や行動特性はとても大切だと思う。これは、マッチングの要素として必要。アンラーニングができるかも大切。

Q、個人に対してサービスを提供するのか?組織?
A、両方をターゲットにしたい。

必要としているところに届けて欲しいと思う。

(参考になりそうなもの:コンフェリー)(参考になりそうなもの:コンフェリー)

⑦チームF「宇宙が恋する♡みんなのOITA おとなもこどもも、うちゅーじんも。」

源田さん:完璧じゃないか。控えめに言って最高。テンションが上がった。

志水さん:大人はもちろん、子どもも引きつけると思う。ソフトバンクから投資してもらうといいかもしれない。(参考になりそうなもの:絵本のリレー)

⑧チームC「Lifework Lab. 働き方改革による地方創生のアイディア」

源田さん:ドラマ仕立てのプレゼンが分かりやすかった。寮のように一緒に住むということは、いいコミュニティが生まれそう。寮仕立ては初に近い感じでおもしろそう。インキュベーション施設はお金がかかる。→自治体が介入すると、継続しやすくなると思う。

志水さん:Q、年代を越えたサポートは視野に入っているか?
A、将来的には、様々な人が集まる仕組みを作りたいと思っている。
年齢や国籍を越えた方がインパクトがあると思う。(参考になりそうなもの:下北カレッジ)

最後に、柳井電機工業株式会社の代表取締役社長である柳井さんからコメントをいただいた。

ビジネスを考えるとなると、「こんな技術があるからこれをしよう」となりがちだが、どのチームも「社会課題をどうやって解決するか」から始まっているから、いいと思う。ただ、1期は実行まで持っていきにくかったから、2期はビジネスモデルに近いし、持っていきやすいと思うから、ぜひ実行して欲しい。

5、総括

源田さん:社会的意義のある設定だった。プレゼンが本当に良くて、思いの入ったプレゼンを久しぶりに見た。

①アイデアを出すことと実行することは全く違う。まず、小さなことからでもやっていく、一歩踏み出すことをしてみてほしい。

②この仲間はなかなか出会えない。このコミュニティを大切にして欲しい

志水さん:すごくいい時間だった。プロジェクトベースでやっている。実行に移す段階で障害はあると思うが、まず仲間とやってみるということに、すごく価値があるのではないかと思う。そこから始めてみてほしい。

6、感想

どのチームも、発表内容はもちろん、発表形態も進化していて、何回聞いても楽しく、そしておもしろかったです。私は今高校生で、これからプレゼンをする機会は何度もあると思います。その時に使えるようなテクニックを学ばせていただきました。
また、源田さんの講演では、歳が近い(もしくは自分よりも若い)人が、社会に貢献したり、何歩も先を行っていたりしていることを聞き、改めて自分も頑張ろうと奮い立ちました。また、「対話」の重要性を聞き、グループを作って話すことだけでなく、ちょっとした友達との会話も大切にしていこうと思います。
次に、志水さんの講演についてです。私は「お金のために働く」と思っていました。その気持ちは変わりませんが、「やりがい」や「社会貢献」というのも忘れずに仕事を選んで就きたいと思います。また、「素直さ」や「謙虚さ」、「学ぼうとする姿勢」は、どこに行っても大切なんだなと改めて感じました。どんな場所に行っても、これらの事を根底に置きながらイノベーションに近づいていきたいです。

最後に、OICの活動を通して、高校に通うだけでは触れることができなかった知識や考え方、知らなかった職種など、様々なことを吸収しました。しかし、それらをまだ消化しきれていないので、消化して使えるようにこれからしていこうと思います。
本当に10ヶ月間、ありがとうございました。これからも、知識を使いながら、目標に向かって頑張っていこうと思います!


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