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イベントレポート:What’s the most important thing to you? そこから見えてくる自分

大分大学 経済学部 1年 土肥有貴


10月12日の土曜日に、ホルトホールで大分イノベーターズコレジオの第4回講義が開催された。今回は台風の影響で講師の方が来県出来なかった為、ファシリテーターの碇氏が、講師の方が行う予定だった内容を踏まえ講義を行った。テーマは「イノベーターのキャリア」である。


“キャリア”って何のこと?
キャリアと聞いて何を思い浮かべるだろうか?講義のスタートは、講師からのこのような問いかけから始まった。セミナーでは、参加者が自分で考え、答えを見つけることを援けるために、5~6人の班に分かれて行われた。それぞれの班で話し合ったところ、キャリアとは「経験」、「経歴」、「資格」などの考えがでた。
キャリアとは、ラテン語や古い英語の語源を紐解くと、スピード感を持って進んでいくように、仕事で何かを達成するというニュアンスを持つ言葉といえる。そのキャリアには、会社で出世するような外的な側面のほかに、自分が何をしたいのかといった価値観などの内的な側面という2つの性格を持つ概念だ。
イノベーターとしてのキャリアは内的キャリアであり、仕事生活において、最も大切な欲求、価値観、志向性ということができる。このような価値観は、目の前の仕事に追われているなど、日常生活の中では自覚することがなかなかできない。自分のキャリアはどのようなものかを考えるのならば、1度、立ち止まって考えてみることが肝要だ。例えば、あの世界的イノベーターであるスティーブ・ジョブズが最後に残した言葉に、「Treasure Love for your family, love for your spouse, love for your friends…あなたの家族のために愛情を大切にしてください。あなたのパートナーのために、あなたの友人のために。」というものがある。スティーブ・ジョブズでさえ、自分の大切な価値観がどのようなものか、完全に理解することは難しかった。イノベーターにとって、自分には何が一番大切か、何が優先か、一度立ち止まって考えることが重要である 。
このお話を聞いて、私もこれからイノベーターとなるために何が大切か考えてみたところ、ワクワクしながら、新しいなにかを考えることではないかと思った。イノベーションを起こそうとすると、社会にどう役に立つのか、需要はあるのかなど固く考えすぎてしまう。しかし、自分自身がワクワクしながら考えることで、思い描く未来が楽しみでどんどん良いアイディアを思いつく。そもそもイノベーションとはそういうものにしていきたいと感じた。そして、一人ではイノベーションは起こすことはできないので、このコレジオのような仲間も大切にしたいと思った。


講師からキャリアに関する基本的な理論や考え方について学んだあとはグループワーク中心のコンテンツへと変わった。グループワークでは、用意された働く価値観に関する複数の単語の中から「わくわくする」、「楽しそうだな」と感じる単語を3つ選び、その3つを組み合わせて、自分のキャッチコピーを作る取り組みをし、班で発表した。
私の班では 専門家×自主独立×臨機応変 が選ばれ、“静かだけどおいしい豆腐屋さん”というキャッチコピーの発想があった。
私も考えてはみたものの、意外と自分で考えるのは難しく、周りから提案をしていただいた。自分は負けず嫌いで実は誰も思いつかないようなアイディアを出したがる。と伝えると「触るな危険、意想外乙女」というユニークなキャッチコピーをつけていただいた。なんだか自分の正体が明らかになった気がして嬉しかった。
このように、イノベーターとしてどのような自分になりたいのか付加価値をつけることで、何を大切にしているのかよりわかりやすくなる。
 


内的キャリアを考える時の「問い」“自分の付加価値をどこで、どのように発揮しますか?”
ゼネラリストという名の何もないから卒業しよう。
人生100年時代となると、長い職業人生を1つの会社で終わらせることが困難であると予測されている。同時に、ビジネスに求められる専門性は高度化する一方で、ゼネラリストで賄うことのできる専門性では不足してきている。そのような中で、ゼネラリストとしていることはリスクが大きい。自分の人生や生活を守るために、働く人々は自分の市場価値を意識して、キャリアを構築していくことが求められる。
それでは、どのように自分の市場価値を考えるべきだろうか?
講義では、フレームワークとして3つの領域が紹介された。1つ目は、自分が活躍する場所をどこにするのかという、地理的な領域だ。グローバルとローカルという対比で、自分の立ち位置を明らかにする。2つ目は、専門性の発揮の仕方だ。自分がスペシャリストとして専門性を開発していくのか、プロデューサーとして多様なスペシャリストの持つ専門性を活用するのか、自分の立ち位置を決める。3つ目は、組織との関係性だ。組織の構成員として雇われるのか、自主独立で起業やフリーランスを選ぶのか。人生100年時代では、雇われるのか、自営として生きるのかという境界線は薄くなると言われている。自分の人生のステージや状況に応じて変化することのできる柔軟性が重要となる。

働く環境と働くことの常識が大きく変化している
・ワークシフト
イノベーションは、コラボレーション的・ソーシャル的な性格が強くなる。ビジネスでは収益や企業価値を優先した企業が、ビジョンとSDGsを意識した企業に置き換わる。また、大企業の優先性はなくなり、ミニ起業家が活躍するようになる。
私の住んでいる壱岐市ではSDGsの未来都市に指定されているため、早くからSGDsを意識した講演会やアイディア作りを行っていたことを思いだし、身近に感じ取れる社会になってきたなと感じた。
・ライフシフト
お金に換算出来ない資産(生産性資産、活力資産、変身資産)が重要度を増す。また、人生はマルチステージになる。 
リンダ・グラットン教授によると、現代は100年時代と言われている。「教育→仕事→引退」という人生から「マルチステージ」の人生へと変わって行く。それに伴い、引退後の資金問題にとどまらず、健康や人間関係などの「見えない資産」をどうしていくのかという問題に直面する。
また、マイケル・オズボーン准教授によると、今後10~20年で47%の仕事が機械にとって代わられると述べている。これからの未来を担っていく私たちにとって、人間だからこそできるスキルや能力を活かした新たなことをイノベーターとして考える必要があるなと思った。


アートの存在価値が向上する
Z世代のキャリア=社会のアップデートと夢を達成する当事者であること
食べ物などは文化の違いがあるが、アートは世界共通である。
現代ではyoutuberやinstagramerなど様々な形でアートを仕事とすることが出来るようになった。どのような社会がワクワクするのか。それこそが仲間を集める。


「付加価値の出し方」を定義する
イノベーターとしてのキャリアを考えたとき、「自分の在り方」、「付加価値の出し方」を定義することが第一歩となる。言い換えると、何のプロフェッショナルとなって、イノベーションを起こしたいのかを決める必要がある。
まず、自分の好きなこと、やりたいこと、大事にしたいことを分析してみることが役に立つ。
そこで、「自分の好きなキャラクター」を分析し、そのキャラクターがキャリアの上で大切にしている価値観はなにか、そのキャラクターが価値を発揮する領域はどこか考えた。次に、キャラクターが現実世界にいるとしたら、社会に対してどのようなイノベーションをもたらすのか分析した。こうすることで、次は自分に置き換えて想像することができ、その価値観を軸にしたとき、自分が活躍する領域はどこなのかについて改めて考えることができる。
私の班では、仮面ライダーについて考えた。大切にしている価値観は社会貢献で、価値を発揮する領域は、ローカル、専門性、自主独立である。もし仮面ライダーが現実世界にいるとしたら、悪は仮面ライダーがやっつけるので国民の安心安全な生活は守られ、子供にも大人気であるため、子育てライダーとしても活躍してくれるだろう。


最後に
今回の講演で私は“自分”について深く考えることが出来た。好きなキャラクターについて考えた際には、好きなものだからこそ、たくさんのアイディアをだすことができた。難しく考えずに頭を柔らかくすることで、楽しくイノベーションを起こすことができるのだと感じた。結局は、「好きなキャラクター=なりたい自分」であることに気づき、それを目標として大切にしていることを忘れずに、これからも励んでいきたい。

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