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『さむさう』−寒くても嫌な顔しない心意気−『風俗三十二相』
iPhoneのアップデートをしました。
なんだかいくつかの使える昨日が搭載されていましたね。
一番気になったのは集中モードというものがあること。
おやすみモードと睡眠、パーソナル、仕事の四つからモードが選べます。
一番気になるパーソナルは通知相手に自分が対抗不可能であることが伝わるそうです。今まさにそのモードにしています。笑
そのモードにしているとなんかできる女になった気分。笑。
そのモードとその気持ちだけを利用して勉強に励みたいと思います。
そんなモードの日も月岡芳年。
今回は『風俗三十二相』の第十一「さむさう 天保年間 深川仲町芸者風俗」です。
![](https://assets.st-note.com/img/1638795918619-nnTA4If45G.jpg)
最近足首と手首と首を温めるように意識している私にとっては、この女性は寒そうでならない、、、。
この女性は笄を髷に刺している量が多いですが遊女ではなく、芸者であるようです。
副題にもあるように深川の仲町の芸者の女性。
深川は岡場所という幕府非公認の遊廓が散在していた場所であるようです。
深川岡場所の芸者が江戸の東南の方角に位置していたことから「辰巳芸者」と言われていることなど大変詳しく記載のあるサイトを見つけました。
辰己芸者の始祖である「菊弥」という女性は料理屋で歌を歌ったり三味線を弾いたりと、客引きに評判だったようです。
元々日本橋にいましたが、それまで芸者には男性が多かったので女性の台頭に男性芸者から非難されてしまい菊弥は日本橋を離れて深川に移ったのです。
そのため他の芸者とは違い何よりも「いき」を尊び、薄化粧で身なりは地味な鼠色系統、冬でも足袋を履かず素足のまま。当時男のものだった羽織を着て“羽織芸者”や“お羽織さん”とも呼ばれ、テンポの良い男っぽい喋り方をしました。
それに加えて遊女と違い、芸をするだけなのが芸者なので色は男性客には与えません。
だから「芸は売っても心は売らない」という気風の良さで知られているらしいです。これぞ粋な心意気とされています。
![](https://assets.st-note.com/img/1638797774137-QC2qci95UA.jpg?width=1200)
喜多川歌麿の「高名美人六歌撰 辰己路考」です。
![](https://assets.st-note.com/img/1638797998481-zhZept5Y88.jpg?width=1200)
喜多川歌麿の「深川の雪」です。
雪のよく積もる場所だったのでしょうか。
確かに絵を見ると男性客と会話を交わしたり、私情を持ち込んだりといったような絡みは見られません。
芸を極めることで深川に生きる芸者としてのプライドがあったのでしょう。
深川の中でも副題にある通り、仲町という場所は高級な歓楽街だったようです。
今もなお歓楽街として栄えていますが、当時はブランドとして独立していたのでしょう。
この芸者は例えば吉原の遊郭へも赴いて歌舞音曲を遊女の代わりに行うプロとして働いていたそうです。
絵の女性は首も手首も晒して寒さを凌ぎ、雪を防いでいますが、なんだか口角は上がっているように感じます。
仕事終わりなのか雪と寒さにうんざりしている様子ではなさそうなのがまた、芸者の印象を良くしているように感じます。