『金魚屋』−対極の女性とツバメと金魚−『明治風俗十二ヶ月』
今日はつべこべ言わずにちゃっちゃか鏑木清方をやろうと思います!
なんてったって前日に下書きに保存しているからねえ、、笑。
未来予知はできない人種ですので、、。残念、、。
今日は「明治風俗十二ヶ月」の六月、「金魚屋」です。
登場人物みんな可愛すぎる、、。手前の女性は袖をまくって金魚を掬っています。とても涼しそうな色味と素材感がわかりますね。金魚もかなりの数で、奥と手前とでは大きさが違いますね。今もいろんな金魚の種類がありますが、この頃も今ほどではないにしても何種類かあったのでしょう。真ん中の少年は手すりに肘をかけて女性がとっている金魚を見つめています。かなり大きな麦わら帽子をかぶっていますが、この歳で綺麗な服装と小洒落た帽子をかぶっているのを考慮するといいとこのお家のお坊ちゃんなのかなという予測ができます。奥の女性は俗に言うはいからさんですね。袴を着て日傘をさして、大きな青いリボンをつけている様相はまさに「お嬢さん」という感じです。この屋根の中に写る景色の中にツバメが飛んでいるのが密かに描かれています。低く飛んでいるからもうそろそろ雨が降るのかな?と言う江戸時代の屏風絵で見た知識を重ねます笑。
清方の解説にはこうあります。
「家の中に三和土て水槽を作り金魚緋鯉をはなちたる 釣堀といふものにも似た金魚屋の店か 町中にあつた 六月つゆ晴れのひる下り 清方記」
金魚は江戸時代中頃に広く養殖されたようです。そう考えると今もその延長なのでしょうね。
この店では軒下に水槽を臨時で作ったようなもので金魚を売っているようです。
大きな水槽に板を渡して女性がそこで店番をしています。女性は奥のハイカラさんと比べると日に焼けている指摘があります。これが同じ女性だけれども階級的な違いを描き出していますね。
金魚を見ると一匹一匹目までもしっかり描かれています。やはり細かなところまで描写があると生命力がよく表されていますね。
この少年とハイカラさんはおそらく兄弟。本でも裕福な家庭の子達だと指摘されています。
少年は水兵ルックでベルトで留めた長靴下と靴を装い、水兵さんに憧れあの様相になりたいとおねだりした時に買ってもらえたのでしょう。
ハイカラさんは振袖に袴の女学生風であり日傘をしていて日焼けを気にしたりおしゃれをトータルコーデで楽しむ余裕のある家庭であることがよくわかりますね。
ツバメが飛んでいることで雨が降ると言いましたが、清方の解説にもある通り六月の梅雨晴れであるらしいです。
色々記事を探しましが、ツバメが飛ぶのが晴れと連動したり最も飛んでいる時期と連動できるようなものがありませんでした。。
この絵でも清方が市井をどう見ていたのかがわかる絵であると感じます。
今日はここまで!
#鏑木清方 #明治風俗十二 ヶ月 #金魚屋