「芝飯倉通り」−ネーデルランドに進出−『江戸名所道戯尽』
昨日から歴代の大河ドラマのオープニングを垂れ流しています。
見ていない作品でも主人公やその時代を想像して、散っていったことを想像して感傷に浸ります。
それだけ含みを持っているけれどそれ以外ではありえないオープニングは一つひとつ傑作ですね。
今日は鎌倉殿の13人のオープニング100分耐久をYouTubeで流しています。笑
しかしあきない!
そんな大河で頭がいっぱいの今日も広景。今回は『江戸名所道戯尽』の「二十七 芝飯倉通り」です。
◼️ファーストインプレッション
初めはお金をばら撒いている鳥を追いかけているのかと思いました。
しかし、右の男性の顔に乗っている黄色いものをよく見ると、重力を持って男性の顔に直撃していることがわかります。
もっと重みのあって、黄色くて、長方形のもの…スポンジ、油揚げ、、。
油揚げ、、?
鳥が足で掴んでいるものも何かよくわかりませんね。人間から奪ったのかなということは何となくわかります。それを奪われたのが下の男性二人組。
後ろの人は草履の鼻緒が切れて、脱げてしまっていますね。
それを見ている一番右の女性は笑っている様子。
他人事なのでしょう笑。
この絵の構図は巧妙で、鳥の飛んでいる位置の高さが誇張されています。
なぜなら奥に海、水平線を置くことで海を凌いで高いところを飛んでいるような印象を与えるからです。
おそらくこの鳥は高さはおよそ3メートル程までしか飛んでいないと思われますが、奥に海が見えることでよりその高さが際立ちます。
しかもこの道が屋根の窪みによって消失点があるかのように見えるので、その消失点と思われるところに鳥と落としている油揚げ(仮)の軌跡が結ばれて、一番長い線が生まれています。
その距離が縦に見えてくることでよりその高さが演出されているのです。
今回は何をテーマにしよう、、!
参考書によると、この絵はまさに「鳶に油揚げをさらわれる」という諺のまんまだと言います。
確かに、油揚げ、ピンポイントですね。
今回は諺や慣用句を絵で表したものを見ていきたいと思います。
そういうジャンルは国芳がとても得意そうなイメージ笑
◼️諺×浮世絵
ネットで調べたところ、このような記事を見つけました。
『諺臍の宿替』という作品は諺を絵にしたものがいくつか乗っているらしい!
新日本古典籍データベースで公開されています。
一荷堂 半水という人が書いたものであるようです。
こちらは「身から出た錆」という諺を図にしたもの。
身からというか、錆から出ていますが、、。笑
この刀から身が出ている人は若干困惑している様子なので何かをしでかして、本来自分がいたはずの魚人のポジションが奪われているのを言っているのでしょう。
右がおそらく…「口がすべる」かな、、?
段差になっている男性たちの頭の上を上から下に滑っているように見えますよね。
誰かを指差している様子がわかるので、「あいつが!」実はこうだったんだ、、みたいな口が滑っている様子なのかもれないと思います。
全員険しい顔をしているのが気になりますけれどね。
左の男性一人は「肩で風を切る」でしょう。
肩でというよりかはコートで、かな笑
でも確かに向かい風を肩を斜に構えて切っている様子ですね。
この絵に書いてある文字をちゃんと読みたいところですが、気が遠くなる作業なのでいつか、。
もう一つ、諺と聞いて浮かんだのが日本画ではないのですが、こちらの作品。
ピーテル・ブリューゲルの「ネーデルランドの諺」です。
北方ルネサンスで16世紀に活動したネーデルランドの画家です。
風俗画や農民の素朴な風景を黄色味ある色で描いているのが特徴です。。
有名なものに「バベルの塔」や「雪中の狩人」があります。
こちらが「バベルの塔」。
こちらは「雪中の狩人」です。
いずれもパキッとした色味というよりかは、どこかくすんだ色味で自然界のリアルなところを描いている。そしてどこかに燻っている不安感をくすぐってきますね。
本題の「ネーデルランドの諺」ですが、この中には100以上の諺を絵にしたものが描きこまれているそう。
こちらの記事に多くの諺の解説とそれを描いたものが掲載されています。
じっくりと見てもその描写が何を表しているのか分からないので、こちらの記事に解説されていたものを二つピックアップしてみます。
一つは日本でもよく聞く諺。
「網なしで魚を捕らえる」という諺。
つまり「漁夫の利」ですね。
網なしでとは言っていますが、自分のかけた網ではなく、という意味なので他の人が用意した仕掛けで自分に利益が棚ぼたしたということですね。
しかしここでは漁夫を埋める争う2人がいないのでやはり日本的なものではなく、ネーデルランド的な諺なのでしょう。
もう一つは面白いなと思ったこちら。
「タルトの敷かれた屋根」です。
意味は「ものすごく金持ちである」ことを示しているということ。
確かに屋根にまでタルトを敷くなんて「もったいない」の極みだけど、それを平気でできてしまうほどお金持ちであることが表されているのですね。
しかしなぜ屋根にタルトを敷こうと思ったのか、そこの感性は日本人には到達できないものですね。
今日は諺を描いた絵をいくつかみていきました。珍しく洋画も見て、新鮮ではありました、、!
今日はここまで!
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