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仙厓義梵のゆるふわアニマルズ『竜虎図』『犬図』『指月布袋図』

昨日『かわいい 江戸の絵画史』という本を紹介した時にこの人の絵もかわいいと名前を挙げた仙厓義梵、今日はこの方の絵を見ていきたいと思います。

仙厓義梵の絵は昨日見た伊藤若冲とはテイストが全く違うというのが初めの印象。正直落書きみたいなヘニョヘニョな曲線で、例えば緻密な構図で圧倒される絵であるとかすごく繊細な筆感で触った時の感触さえ想像できるというような印象はない。

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上の絵は『竜虎図』の左部分。絵の題名を聞いてやっと「あ、虎なのね君。」と思うような、猫とも取れる決して強そうではない風貌。牙とかなさそう。

本書では「ケツアゴ」のような輪郭と評されています笑

この本の仙厓義梵の特集されているページの一部を抜粋させてもらうと、

「虚白院には、絵を求める人が絶えず訪れ、仙厓は誰にでも気軽に絵を描いたと言います。その求めの多さに時に辟易し、83歳の時には自ら「絶筆宣言」したこともありました。けれども、頼まれれば断れなかったのでしょう。その後も、88歳で亡くなるまで、絵を描き続けました。」

やっぱりあんなゆるふわな絵からは性格がひねくれているような影は全く見られません笑

誰にでも絵を描くってほんとにお人好ししかできないことですね、有名になればなるほど欲しいと願う人から高額な価値を提示したり権威者に近づきに行ったりといった卑しい心を持ってないんだと、こっちまで微笑を漏らしそうな、、、。

上の「竜虎図」の竜と虎は禅画を描くときの定番の題材で、人間を超越する存在の奥深い世界を表現しているにもかかわらず、このトラちゃんは本書によると「破壊力抜群の「イカれた」描写」でひょっこり笹の影から顔を出してますね。

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この『犬図』のワンちゃんはまたぽてっとしてますねえ、、笑かわいい、、ゆるい、、。

そしてこのワンちゃんは「きゃふんきゃふん」と鳴いているらしい、、。

飼いたい、、。

何を運んでいるのかな、ちみは、、お手紙運ぶの頼まれたのかな、、。

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そして最後はこちら『指月布袋図』。

全員の足の短さ、目尻の垂れ具合、手なんかどうしちゃったの!

上の文字(賛?)には「あの月が落ちたら 誰にやろふかひ」って書いてあるんですって、布袋さんが下の二人の子供たちに言っているのかな。「僕が欲しい!」って二人とも騒いでいるのかもしれないねえ。

子供はすっぽんぽん、布袋さんは半裸、全員が原始的な格好していることと顔の柔和な感じあいまってほぼ天国。禅の世界では天国ってあるのかな、?笑

禅画って一見すごく深くて知識ないと門前払いされてしまうようんな印象だったけど、こんなにゆるい入り口を与えてくれる仙厓さんの絵があるなら浮世絵ももちろん、禅画もちゃんとまとめられているものを読んでみたいと思えました!

あ〜いい時間だった!笑


#かわいい江戸の絵画史 #仙厓義梵 #竜虎図 #犬図 #指月布袋図 #禅画


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