「江尻 三保遠望」−山々を排除した効果−『東海道名所図会』
そうだよね、、トウちゃんも親を善児に殺された身なんだよね、、自分が生かされたとはいえ、親の仇であったんだよね、、。
山本千尋さんという女優さんを今回の大河で初めて知りましたが、善児を刺したときに目に光が全く入っていないのに、見開いて憎い者を見る目をしていたのが非常に印象的。
今回は「修善寺」という題名だったのですが、
頼家が最期だった修善寺というのと、
善児が最期だった修善寺、
善児が蒲殿を殺した修善寺、
トウちゃんの親が殺された修善寺、
終・善児。
というのをTwitterで見ました。
天才。
歴史的に実在しない人物である善児ではありますが、どうしても墓参りに行きたいくらい彼の運命に同情してしまう。。。
殺し屋として遣われていただけなのにいろんな人の恨みを買って行ったなんて不憫の一言ですね。。
このまま善児への憐れみの言葉で1000文字を超えそうなのでここらで中断。
そんな重い日曜夜も広重。今回は『東海道五十三次』の「江尻 三保遠望」です。
◼️ファーストインプレッション
今回は人の気配があまりありません。
目を凝らしたらいるんでしょうけれど、生き生きとした様子は見られません。
その代わり船の数が夥しい。手前の帆の立っていない船の数ももちろん奥に航海をしている船の数も今シリーズ最多ではないかな。
まるで北斎の『富嶽三十六景』を見ている気分。
ここでは富士山は見られませんが、、。
ということは富士山が見えるはずの位置とは正反対の向きを向いているのかな?
三保といえば、三保の松原ですね。
富士山と海岸沿い一気に見ることができる絶景スポットとして今でも有名ですね。
今回は鳥瞰したような構図なので近景から遠望までどこかが欠けていることもなく均一に描かれています。
ここ数日の作品とは違い単調なようにも思えますが、何か工夫がなされているのかもしれませんね。
参考書によると、『東海道名所図会』の同じ場所の挿絵を比較することでいくつか違いが見られるそうです。
今日はこの描かれた場所と『東海道名所図会』との比較をしてみたいと思います。
◼️江尻の三保
三保の松原は一度は行っってみたい場所の一つ。なぜなら三保のあたりは清水と言われる場所で、ちびまる子ちゃんが生まれた町なのです!
ちびまる子ちゃんガチ勢なので清水は聖地です笑。
そんな江尻・三保はどこにあたるのでしょう。
こんな位置関係。
海岸沿いの北の方に昨日の興津があります。
そこから少し下って、画面左下に清水。その沖には三保・江尻と描かれています。
(あ!Google文字の左にちびまる子ちゃんランドの文字が!)
こうしてみると、東海道は海岸沿いにあるのですね。
確かに海岸沿いには漁師町が栄えるし、そこに町ができるので宿場も出来やすいのかな。
こちらは江尻・三保から富士山を眺めた場合の位置関係。その景色こそが三保の松原。
こういう景色が見られるのです。
海と富士山。
けれど今回の絵ではせっかく三保を描いているのに富士山がいないという違和感。
真逆の西を描いているのかな、、、?
◼️『東海道名所図会』との比較
今シリーズで参考にしている本で『東海道名所図会』が模倣元となっている指摘がありました。
見てみましょう。
『東海道名所図会』3巻 です。
挿絵としては三保の松原なのかな?
あれっここでも富士山が描かれていない。
愛鷹山が画面左にあるということは、もう少し左に富士山ですね。映らなかったのか。
ほとんど広重と同じ構図です。
しかし広重は画面左の愛鷹山は描いても、その右にある三つの山々は描かずに水平線で省略しています。
そうすると、海原がもっと広がっているように感じますね。そしていくつも浮かんでいる船がどんどん外に外に航海を初めていく様子が見てとれます。
この『東海道名所図会』を見ると、広重が実際にこの地を訪れていた可能性より、『東海道名所図会』を見てそれに手を加えて描いた可能性の方が高いように感じますね。
しかしそこに広重なりの工夫が見られる。
こうした比較が浮世絵を見る中で好きな瞬間の一つです。
今日はここまで!
#歌川広重 #東海道五十三次 #浮世絵 #東海道名所図会 #江尻 #三保遠望 #三保の松原 #富士山 #愛鷹山 #アート #美術 #芸術 #日本絵画 #江戸時代 #江戸絵画