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『のみたさう』−上方からのお酒でほろ酔い〜−『風俗三十二相』

今日はなんとも一人を満喫した一日を過ごせたのです。最高。
朝は近所のスーパー銭湯に行き、温泉にいくつも入って血行を最高潮に良くしました。
昼からは太田記念美術館「河鍋暁斎」の展示の後期を見に行きました。その後新宿の損保ジャパンの美術館にて川瀬巴水の展示を見に行き、癒しと趣味を充実させた一日となりました。

温泉は非常に癒しとなりますね。おばあちゃんばっかりだったので静かで周りの目を気にせずゆったりとした時間を過ごしました。

河鍋暁斎の展示では、一番印象に残ったのが幽霊画。尾上家のために書いたという幽霊は、一見怖くて不気味で気持ち悪いものです。
しかし解説をよく見るとこの幽霊は難産のときに亡くなってしまった女性の霊。2枚目には霊の女性は赤子を抱えている絵がありました。その経緯を知ると、この女性に対して同情するとともに赤子を抱える女性が神妙に見えてきました。


川瀬巴水の絵は実際初めて見た気がします。
私の最推しの鏑木清方の弟子であったようで、そんな解説を見てしまったら見入ってしまいますよね。
全体的な感想しか言えませんが線がくっきり描かれていますので陰影がはっきりした印象です。
年を経るにつれて今のアニメのような彩色や縁の取り方が垣間見られます。これまで浮世絵などの江戸時代の絵画ばかりを見てきましたが、明治に入っての作品たちはかなり新鮮な展示でした。
図録を買ったので熟読したいと思います。

非常に充実した今日も月岡芳年

今回は『風俗三十二相』第二十二「のみたさう 安政年間 町芸者俗ニ酌人之風俗」です。

もうこの女性は飲みたそうにしている段階ではないくらいに顔は紅潮しちゃっています。

彼女は町芸者ということが副題からわかりますので、吉原遊廓意外で働く芸者のことであることがわかります。

彼女たちは芸をするものですので、三味線や踊りを客の前で披露します。それを
見て楽しむ客はお酒を飲みますね。それに伴い芸者も一緒にお酒を飲むことがあったようですね。

だからなのか、絵の彼女も顔が赤らむほどにまでお酒を飲んで飲みたそうにしているのです。
「俗に酌人」というほど、客と酌を交わして盛り上がっていたのでしょう。

この江戸の人々が飲むお酒は江戸のものではありませんでした。
というのも、彼女たちのような酒飲みに人気だったのは上方から輸送された下り酒というものでした。

江戸で作られるお酒は濁酒と言って濁った酒であったようです。そこで、上方の洗練された「諸白」という酒は江戸の人々には人気だったようです。

主に灘や伊丹から輸送されてきたことから「灘酒」≒「灘の生一本」「伊丹酒」というブランドが出来上がり、江戸に出回る八割を占めるものとなりました。

これらの酒は樽廻船という酒のための船を使って江戸に入ってきました。

樽廻船の対比としてよく出るのが菱垣廻船ですね。
菱垣廻船はよく乗る!多く乗る!
ファーストペンギンとして江戸に船を出していた船でした。
多くを載せられるから重宝されていましたが、多く載せられたところで速さが大したこのがなかったので腐ってしょうがないこともありました。

なのでそこで出たのが樽廻船
これは速さがピカイチでした。前者よりも早く江戸に届くのでこっちの方がもっと重宝されたりもしたようです。

そんなお酒を江戸の人たちは好んで、日本の経済をぐるぐる回していたのでしょう。

今日はここまで!
#月岡芳年 #風俗三十二相 #のみたさう

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