「虎の御門外の景」−本当に必要なものだけ倣うポリシー?−『江戸名所道戯尽』
今日は昼に近所のラーメンを食べにいくので、早めに書き上げます(?)
昨日はオムライスを食べたので相当な糖質が蓄積されるなとビビっております。
そんな糖質にビビる今日も広景。今回は『江戸名所道戯尽』の「三十四 虎の御門外の景」です。
◼️ファーストインプレッション
もうこれは誰が悪いんだ、、。
多分この3人のうちの誰もこの凧を持っていたわけではなくて、どこからか飛んできた凧に絡まれたという状況でしょう。
3人まとめて絡まるなんてかなり大きな風が吹いたんでしょうね。
左の人は慌てふためく二人に「落ち着け!」と言っているかのように目つきはすわっている。
真ん中の人は一番動揺していますね。目線が天の方に昇っちゃっています。
地にも足がついていないので一番情けない感じが出ています。
右の人が一番絡まれている様子ですね。凧の帆の部分が頭に絡まって首がもげているかのようにも見えますね。
全員帯刀しているので武士であるようです。
けれどその威厳も見られずに情けなく、凧ごときに慌てふためいている様子が滑稽です。
この地を描いた作品は広重の江戸百に限らず、意外とたくさんあるみたいです。
以前も見て行った記憶はありますが、いくつか見ていきたいと思います。
ちなみにこの凧に絡まる人たちのイメージが『北斎漫画』にあるかなあっと思って探して見ました。初編から三体画譜、早学も全て見ていきましたが、見当たりませんでした、、。
◼️虎の御門近辺と葵坂
実は3ヶ月前くらいにこの葵坂近辺と思われるエリアを歩いて見たことがありました。
確か聖地巡礼VOL1と称して記事にしました。
その時はこれが葵坂!言えるような坂には出会えなかったけれど、これかなああ?という坂はあった気がします。
今回の絵を見て真っ先に思ったのが、「広重の江戸百の絵に全く同じ構図であったな」ということです。
広重の『名所江戸百景』の「虎の門外あふひ坂」です。
遠近の距離感は微妙に違えど、左の蔵を少しだけ描いてるところも含めてほとんど合同ですね。
もしかしたら広景の三人組は少し大きく描かれすぎているのかもしれませんし、広重の二人は小さく描かれているのかもしれません。
やはり広景は広重の門人であっただけあって、風景画の構図や定型は倣っている部分が多いですね。
しかしここの葵ヶ丘の滝の描写は広重の絵よりも忠実な気がしますね。実際の滝はやはり広景のように滝自体の白さ、滝が落ちてくるところの飛沫の細やかな様子はとても写実的です。
広重の『広重東都坂尽』「葵阪之図」です。
ここでの滝の様子は広景の描くものに似ています。
似ているというか、広景がこれを参照していた可能性はありますね。
構図は江戸百を、滝に関しては東都坂尽を参照したということになるのかな。
坂尽なのに坂ではなく滝の方が模倣されているなんて少し皮肉ですね。
今回は何度も見てきた場所なだけにあまり言及できるネタを掘り下げることができませんでした、、。
ラーメン食べてまた勉強頑張らないと!
今日はここまで!
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