「鳴海 名物有松絞」−先頭の女性のポーズのおかげ−『東海道五十三次』
今日は久々に友人と会うことができます。
とは言ってもゼミである資料館に行くのでそこで会うことができます。
とてもお淑やかで性格が透き通っている友人たちなので、この夏で最大まで廃れた私に清い血を輸血してくれるのが楽しみでなりません。
これからの卒論執筆完遂まで共に走り抜けたいと思います、、、!
そんな久々の友人で人見知りしないか心配な今日も広重。今回は『東海道五十三次』の「鳴海 名物有松絞」です。
◼️ファーストインプレッション
まるで御油のような光景。しかしここでは客引きがされていません。
旅籠というより、何かの名産を売っているお店なのかもしれません。
というか、副題に名物有松絞とあるのでそれが売っているのでしょう。
家屋が基本的に暗い色で描かれ、上部が少し明るい色で描かれるだけで色としての個性がありません。
しかし店内の様子に色が付けられていて、そこに明かりがあるようでイキイキとした印象を受けます。
手前の店には人がいることがわかり、売買をしていることがわかります。
そして背後には赤青の絞がいくつも垂れ下がっています。
絞は今でも使われる素材で、特に着物の総絞りは高級な上質なものとされていますね。
ここでも色々な種類の絞が置かれて、どれも魅力的な柄をしていますね。
街道を歩く人々は意外にもそこには目もくれず、黙々と進んでいます。
先頭の女性二人は笠と杖を携えているのでまるで旅人のよう。
彼女たちはどのような目的でここを歩いているのでしょうか。
その後ろに籠に入った女性がいます。
前の二人とは関係があるのでしょうか。
そしてそのまた後ろを通る馬と馬子、上の女性も前の一行と関係がありそう。
女性がどうしてこのように旅のようなことをしているのでしょうか。
確かに江戸時代は意外にも女性の旅行ブームがあったようですが、このように籠や馬も引き連れて行動していたのでしょうか。
今回はこの鳴海の場所と有松絞、そしてこの女性の一行が描かれる効果を見ていきましょう。
◼️ファーストインプレッション
前回の知立からの距離はどれくらいでしょうか。
最近だと前の宿場からおよそ10キロの間隔で宿場が続いています。
御油と赤坂間を除いて。
赤ピンが鳴海高札場や本陣跡など。古い街並みというのはきっと江戸時代の建造物のような建物の並びが再現された場所なのでしょう。
前回の知立は右下の駅名にありますね。
直線距離ではおよそ13、4キロほど。平均的ですね。
◼️有松絞
今回の絵で描かれている有松絞は実際にどのようなものなのでしょうか。
高貴な人に好まれたものだったようですね。
そして戸ごとに布を掛け並べて、とあり、まさに今回の絵のように並べられていたのですね。
まさにその光景を広重は写しているのですね。
ここには浴衣地、手拭地とあり、重い素材ではなく軽めで通気性の良い素材なのですね。
こちらのページでは様々な種類の絞がわかります。
全てをコピーして載せるのも気がひけるのでぜひ飛んでみてください。
非常に上品な柄で、これで浴衣を着たいなあと確かに思ってしまいます。
一番気になるのは折り縫い絞です。
柄がシンプルな分、すっきりとした印象で上品に感じられます。
いいなあ。こういう本物を手にとってその良さがわかる女性になりたいです。
一つ一つ手作業で作り上げているから、一つとして同じ柄はないのですね。
いいお値段がするのも納得ですし、価値あるものですね。
◼️女性たちがいることで、、
今回参考書を読んでいて気になったのが、今回の絵に描かれる女性たちの役割。
参考書にはこう書かれています。
とあります。
この街道を通る女性たちがただの旅人としての役割ではなく、姿形と雰囲気にまでこだわって描きこむことで美人画のようにも見えるのですね。
確かに、先ほどの有松絞をみたところでは非常に上品な作品であることがわかりますのでそれと女性の雰囲気がマッチしているのですね。
確かに、笠に手を翳して白い腕を少しだけ肌見せをしている点が非常に美人画のような雰囲気に感じられますね。
確かに、4人の女性が全員籠に入っていたり、2番目の女性のように腰を曲げていたら有松絞とマッチした雰囲気とは言えないけれど、先頭の女性のように色っぽい雰囲気がまた今回の絵の良さを引き出しているのですね。
ただ一枚の絵を見ただけで自分の力で調べるのは力が付くし、観察力もつくけれど参考書を見ることで研究者の着眼点を盗んで、より深みに共感できますね。
私もいつかこのような着眼点を持てるようになるのでしょうか、、。
今日はここまで!
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