『おもたさう』−いい器を運ぶ忙しい時間−『風俗三十二相』
明日はお友達との予定があり、今日は夜バイトが入っているので早めの投稿をしちゃいます!!
携帯でやっているのが新鮮でもあり、慣れない…。
とりあえず今日も月岡芳年。
今回は『風俗三十二相』の第十二「おもたさう 天保年間 深川かるこの風ぞく」です。
この女性は芸妓でも遊女でもなく、軽子という者。
深川の遊郭で働く仲居さんのことであるらしいです。
1 《軽籠かるこで荷物を運んだところから》雇われて荷物を運ぶ人。担ぎ人足。
2 江戸深川の遊郭で、仲居のこと。
3 墨壺の仮子かりこのこと。
荷物を運ぶ人足のような役割もあるらしいですが、仲居さんのこともあらわしているようです。
深川では座敷での雑用を女性が行い、客の多い時間は絵のように重たそうなものをせっせと運び込まなければならないのです。
また、この女性の髪型は島田くずしと言われるものです。
ちょっと前に島田髷というのをやりましたね。
それとは違うのでしょうか。
女性の髪の結い方の一つです。「島田髷」の髪の端を笄に巻き付けたものです。江戸時代中期に、町人の若い娘に結われましたが、後期には、下町の粋な40歳以上の女性の髪形となりました。明治時代中期にも流行しました。
おそらくこの作品で描かれた女性は江戸の後期の光景ですのでこの女性も40代であろうと予想します。
粋筋の女性たちが好んで結っていたといいます。
またこの作品で重要なのは女性の持つ料理を入れている器です。
本には器の美しさも食材の良し悪しと同様に非常に大事な要素であると記載があります。
絵の赤い方の大鉢はそのまま赤絵って言われます。
左の熊笹を添えた刺身の大皿は蛸唐草文が施された藍色の染付と言われるものです。
唐草文様の一種。渦状に巻く蔓(つる)の外側に、葉を簡略化してつける。それがちょうど蛸の足の吸盤をおもわせるところから俗に蛸唐草文様とよばれる。
有田皿山では江戸時代中頃から、写真に示すような皿の縁どり文様として描かれ、壺の肩の部分、あるいは徳利や猪口の胴全面に描かれて以来、今日まで愛用されている文様である。
タコの吸盤みたいなのでも綺麗な模様になるのですね…。
それを題材にしようとしたのがすごい、、、!
そしてこの柄が器に施されるようになったのは江戸中期ということらしい。
これらの磁器は有田や瀬戸で作られ、高価なものであったようです。
江戸後期、明治に入っても裕福な武家や商人の家庭や高級料理店で用いられたということで、絵の女性が働く遊郭もお高いところなのでしょう。
昨日深川の特に岡場所ですが、江戸の中でも超高級歓楽街であるとありましたね。
働く遊女でも芸妓でもない女性も身なりをきちんと整えて、それでもあくせく働く必要がある。
遊廓の中にも表舞台を支える仕事がまだまだあるのかもしれません。
今日はここまで!
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