『にくらしさう』−名古屋のお嬢さん、やだ〜///って言ってる−『風俗三十二相』
今日は朝ゆっっっくり起きました。
ほぼお昼の太陽を見ながらネットサーフィンをする幸せと怠惰な罪悪感を感じるのも久々には必要ですね。
最近は導入が長いので今日はここらで本題に入ろうとおもいます。
今回は月岡芳年の『風俗三十二相』の「にくらしさう 安政年間 名古屋嬢之風俗」です。
あ、この女性は下唇に笹色紅を塗っていますね。たっけーやつ。
髪の毛には飾りがいっぱいですので副題にもある通り遊女かな?
憎らしい対象は一体なんなのでしょうか。
本の解説を見ると、この女性は遊女ではないらしい。
いいとこの家に生まれた名古屋の娘さんであると言います。
彼女が裕福な家の育ちであることがわかるのは、副題の「名古屋嬢」というフレーズだけでなく、彼女の髪飾りの鹿子絞の布を飾っているところからわかります。
この赤い鹿子絞の髪飾りは先稚児というもので関西の良家の娘たちの中で流行したものであるようです。
意外とスッキリした髪型ですね。
割れ島田に橋の毛をかけた髪型であると記載があります。
橋の毛を調べてみても「これです!」っていう記事がなかったのでいろんな記事の橋の毛に関するコメントを収集すると、多分絵の女性の真ん中に伸びて鹿子絞に挟まれている髪の毛のことなのかな?
この女性は憎らしそうにしていて、手を上げて誰か隣にいる人をバシッと叩いている様子。
口元もにやついていますのでちょっと恥ずかしいことでも暴露されたり指摘されたりしたのでしょうか。
「やめてよ〜〜笑///」とか「もうっ///」みたいなノリかな笑。
うれしくはないけどまんざらでもないみたいな感じかな。
好きな人の前でちょっとお茶目なことを暴露されたとか。
友達の前でお見合い相手のカッコよかったところを一つ言えと言われた後とか。
想像ですけど。
名古屋は今では日本の三大都市として栄えていますが、江戸時代では尾張のある土地ですので経済的にも大変栄えていた場所であったようです。
江戸が100万人、大坂が40万人、京都が30万人、名古屋は次いで10万人が人口といったところでした。
名古屋は日本の本州から見る位置関係からしても江戸と大坂京都の真ん中にあるのでその両方の風土と文化を取り入れていたようです。
名古屋独特の文化やファッションがあるといったことは特にみられなかったようです。
名古屋の女性は、今は通用するかはわかりませんが大阪のファッションをお手本にしている部分もあれば無駄遣いをしない性格は京都に似ているとか、でも気風は江戸に似ているというふうにまとまっていたようです。
名古屋美人という言葉があるように名古屋は美人が多いということで有名でした。しかしそれは明治時代以降に盛んになった言葉なのでこの絵が描かれた時代にはまだ栄えていない言葉かもしれないですね。
しかし江戸時代でも名古屋の女性は美人が多かったそうで、それに加えて腰回りがしっかりしていたという特徴があったようです。
安産型だということでしょうか。
このように日本人の地域性に言及したのは初めてでしたし、なんなら江戸時代の地域性に触れること自体が初めてでした。
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