マンション大規模修繕に群がる "輩"
これは2013年に自宅マンションの2回目の大規模修繕が実施された時の実話です。
どの分譲マンションもおおよそ12年程度を目安に大規模修繕を重ねますが、自宅マンションも長期修繕計画に従って24年目に2回目の修繕工事を行いました。
1棟で300世帯を超えるメガマンションなので、準備期間から工事完了まで2年以上を要します。
この期間に管理組合の理事に当たった区分所有者は大変です。
マンション管理会社のフロントがリードするとは言え、理事はみな素人ですし、大規模修繕を実施するには次のような多くの手順を踏まねばなりません。
責任感の強い理事ほど時間的・精神的な負担は大きいです。
【実施手順】
①大規模修繕委員会の設立
②コンサルタントの選定
③総会での承認(コンサルタント選定、金額)
④建物診断
⑤仕様書および予算書の作成
⑥施工会社選定
⑦総会での承認(施工会社選定、工事内容、金額)
⑧工事説明会
⑨工事着工~完成引き渡し
➉長期修繕計画の見直し
管理組合の理事は1年任期の輪番制で毎年十数人づつ選出され、理事長、副理事長、監事などの役員はその理事の互選で決まります。
加えて大規模修繕期間は管理組合の下部組織として修繕委員会が立ち上がり、これに有志が参加して管理組合とともに進めていきます。
私もこの大規模修繕委員会に参加しました。
メガマンションの大規模修繕の予算がいくらぐらいか想像できますか? 実に3億円を超えていました。
これだけ大きなお金が動くと "良からぬ" 人間が集まってきます。
最初に注目を浴びたのは理事の一人。中年の単身者です。
大規模修繕の前年に競売で2部屋を購入し、輪番制にもかかわらず何故か "偶然にも" 理事に選出されました。
大規模修繕期間中の理事長など誰もなりたがりませんが、その人は立候補して自ら理事長に。
また理事の任期は毎年6月迄ですが、この理事長はそれを待たずに個人的にゼネコンとトンタクトを取っていました。「次期理事長だけど」と言って。
後に発覚しましたが、この理事長は区分所有者ではあるものの、そこで生活している実態が確認できず、理事となる要件を満たしていませんでした。
やることなすこと怪しいのですが、我々素人集団には尻尾をつかむ手立てはありません。結局、任期を全うしました。
自衛手段として管理会社のフロントを管理組合の味方につけたので不正はなかったと信じたいのですが、真実は闇の中です。
「あの人はプロだから」というのが住人の間でもっぱらの噂でした。
フロント曰く、「罵倒され、脅迫されたことも何度もあった」とのこと。体を張って立ち向かってくれたフロントには頭が下がります。
次の登場人物は、大手ゼネコンを定年退職後に個人でコンサルタント会社を立ち上げた区分所有者。工事のコンサルタントに名乗りを上げたようですが、外されました。
その後は修繕委員会のメンバーとして参加し、理事長の良からぬ噂の拡散に勤しんでいました。理事長と「同じ穴の狢」と揶揄されていましたが。
一説によると大規模修繕は食い物にされやすく、悪質な施工会社とコンサルタントの共謀による談合でバックマージンが流れ、その額なんと工事金額の15~20%になることもあるとか。
被害に逢わないための一つの目安として、コンサルタント料が他社よりも安すぎる場合は要注意だそう。なぜなら、受注さえすればあとは業者と談合してバックマージンが取れるので、管理組合との契約料は採算割れでも問題ないからです。
毎月高い管理費と修繕積立金を銀行口座から自動引き落としされている善良な区分所有者はやってられませんよね。
大規模修繕時は人の動きに注意!
被害の最大の原因は何といっても "無関心" です。
マンション共有部分は自分の資産の一部なんだという自覚の無さが、この無関心を引き起こします。
管理組合の理事に当たったメンバーはもちろん、それ以外の区分所有者も、大規模修繕工事中は関係者や業者の動きに常に監視の目を光らせるようにしましょう。