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木曜のビヨンド

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僕と定春と未来のはなし
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2022年11月の記事一覧

【短編小説】木曜のビヨンド ver.7

(もう春は来ない。僕らはどこにもいない。) (最盛期は今、だ。いちばんしあわせ) (どうし…

【短編小説】木曜のビヨンド ver.6

演習落とした? 詰みゲーじゃん。馬鹿か、おまえ。 教職引っかけてたろ、そっちがもう駄目じゃ…

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【短編小説】木曜のビヨンド ver.5

書けなくなった。 言葉が書けなくなったのだ。僕は真っ黒のコートを着て街を歩く。すれ違う人…

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【短編小説】木曜のビヨンド ver.4

おまえは愚かだ。男として云々じゃあない。ヒトとして愚かだ。僕は言った。僕は昔からシングル…

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【短編小説】木曜のビヨンド ver.3

ある秋、定春にカノジョが出来た。聞いたのは昼下がりの噴水横。狭いキャンパスの中央、ささや…

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【短編小説】木曜のビヨンド ver.2

僕の自殺願望は昔からだが、より強くなったのは学生時代だ。僕が定春と出逢う頃には、僕らの両…

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【短編小説】木曜のビヨンド ver.1

――親愛なる我が友に捧ぐ レンブラントはいいよね。格好良い名前で呼ばれるし。誰もレインって呼ばない。ゴッホとかモネとか、変な名前じゃん。フィンセントとかクロードって呼ばれないじゃん。あれ、何でなのかな?  2限終わりの昼食どき、定春の寝癖が跳ねる。マトモに講義を受けているため、この時間の食堂の席は獲れない。今日は鯛茶漬けの気分だと言っていた定春の願いは叶わないだろう。僕は机に散らばったシャーペンとノートを回収し、教室を後にした。 日差しがあつい。 (モラトリアムは三度あ