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マンガを技術革新でアップデートする
マンガ業界は今、非常にエキサイティングな状況だと思います。
戦後の混乱期のように、ピンチと同時に大きなチャンスが訪れているからです。
マンガ業界にこのよう大きなチャンスが訪れたのは、
マンガ雑誌の週刊化以来のことではないかと思います。
マンガをアップデートする方法は、いくつも存在します。
思いつくままに挙げていくと…
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【物語の質の向上】【物語の尺】【著作権管理】【販売チャネル】【スマホネイティブ化】【宣伝】【広報】【グッズ化】【道具】【ファンクラブ化】【縦スクロール化】【電子化】【フルカラー化】【VR化】等々…
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枚挙に暇がありません。
上記の中には、一生を掛けても追いきれない程の深みを持っているテーマも存在します。
個人的にホットなテーマを申し上げると【物語の質の向上】です。
10年単位で俯瞰してみると、1960年代、1970年代、1980年代、1990年代、2000年代、2010年代….と物語の作劇法は着実に進歩を遂げていることがわかります。
と前置きが長くなりましたが…
各テーマについて、膨大に検討すべき項目がありますので、
今回のコラムでは、「道具」というテーマに絞って
考えを進めてみたいと思います。
2001年にコミックスタジオ(以下コミスタ)が登場し、
マンガはパソコンで作画する時代に入りました。
1053年の鳥獣人物戯画から数えると、約1000年間も手書きが当たり前であったマンガの世界に、デジタル化の波が押し寄せたのです。
17年近く経過し、今では90%以上の方々が、
作画過程の一部でパソコンを使用していると思いますので、
劇的な変化(進化)があったのです。
コミスタは、最終的にはバージョン4まで発売されました。
それぞれのリリース時期を見てみると、
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・2001年 ver.1.0
・2002年 ver.1.5
・2003年 ver.2.0
・2004年 ver.3.0
・2007年 ver.4.0
※2011年からはクリスタに移行
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となっており、年を追うごとに使い勝手が良くなっていき、
徐々にパソコンで作画する方が増えて行きました。
2001年や2002年頃は、パソコンでマンガなんて作れねぇよ!!と
言っていらっしゃった方も多かったと思います。
その時々の技術で考えるのではなく、この先10年くらいの時間軸の中で、
どのような変化が訪れるのか?を予測し、自分の行く先を決めなければなりません。
2~3年のスパンではよく見えないことが、17年間という長い時間軸の中では、明確に見えてきます。
パソコンでのマンガ作画は、この先さらに進化していくということです。
コミスタの登場によって、今までカラス口で引いていた枠線が数秒で引けるようになったり、
一瞬でトーンを何枚でも貼れたり、やり直しが何度もできたり等々、
紙の作画ではできなかったことが短時間で簡単にできるようになりました。
2011年のクリスタの登場以降は、フルカラーでの作画も簡単にできるようになっています。
では、この先2020年代に何が起きるのか?
それは…
絵が描けなくても、マンガの作画ができるようになります。
急に話が飛んだように感じられると思いますが、
10年、20年という時間軸を前提に、
ある技術を活用することにより、そのような事が可能になるのです。
その技術とは、3DCGです。
以下は、現在制作中のマンガの一部なのですが、
3DCG技術の活用によって、このような作画が、
絵を描けなくても可能になるのです。
→ → → →ご参照下さい。
2020年代には、絵を描けないマンガ家が登場します。
現に私は、プロとして通用する絵は全く描けません。
普通の方より下手かも知れません。
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● 絵が描けなくても、マンガ家になれる。
↓
● マンガ家を目指す人が増える。
↓
● 多様なバックボーンを持って方がマンガ家に…。
↓
● 今までとは質の異なるマンガの登場。
↓
● 日本のコンテンツ制作の基礎部分(つまりマンガ)が、
大幅にアップデートされる。
↓
● マンガ作画の技術革新によって、日本のコンテンツ産業の未来が変わる!
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世界的に見ても、このような動きはまだ全く現れていません。
日本だから目指せる事業領域と言えます。
やらない手はありません。
これは言い過ぎかも知れませんが、
日本人であれば誰でも、マンガの原作にできるネタを
1本くらいは持っているのではないかと思うのです。
絵が描けなくてもマンガ家になれるというパンドラの箱を解き放ち、
日本発の優れたコンテンツを世界に向けて発信する時が来たのです。
何卒、宜しくお願い致します。
大坪 拝