『万物の黎明』読書ノート その0
このノートは何のために公開されるのか
以下のノートは『万物の黎明 人類史を根底から覆す』(デビッド・グレーバー&デビッド・ウェングロー著、酒井隆史訳、光文社、2023年)の
読書ノートです。グレーバーの著作は面白くて刺激に満ちて居るので私は何冊も読んできましたが、饒舌なぶん話題は多岐に渡り、ときに脱線し、全体の論旨を見失いがちになります。この本もそうでした。そんなとき私は読書メモをとりながら精読することにしています。そのメモをもとにしてレクチャー形式でまとめなおしたものが、ここで公開するノートということになります。
レクチャー形式でまとめた理由は、聞き手を前提とした書き方が個人的に好きだったのと、この本を要約するにはそれが一番最良のやり方のように思えたからです。そして、出来上がった文章を読みながら、これから『万物の黎明』を読み始める人や、いま読んでいる人や、もういちど読み返そうかと考えている人たちの参考になるかもしれないと考え、公開することにしました。
もっとも「公開」を称するにしては、推敲はほとんどやっていませんから、誤字脱字だらけでしょう。また、私の理解が正しいかどうかはまったく保証できません。多分誤解も多いと思いはずです。さらにいうと、著者たちが書いていることと私の解釈との境目がはっきりしていないところも多々あります。以下をお読みになるに人には、あくまでも「ある一人の読者がこう読んだ」という一例に過ぎないことを強調しておきます。
本書の第2章でも書かれていることですが、人間の思考は対話の中で育まれていくものです。不特定他者に向けて、「私はこう読んだ」という投げかけをこのノートで行うことになりますが、それは擬似的な対話と言えなくもありません。それを受け取って「いや、本当にそうなのか」「いや、違うだろう」といった擬似的対話を行い、それを使って『万物の黎明』を読み進めていただければと思います。グレーバーの読者の一人として、グレーバーの著作に親しむ人が少しでも増えることを願ってやみません。
なお、貼り付けてある写真や図で、本書には無いものについては私がネットで探して貼り付けたものです。
本書の構成は、第1章が序論。第2章も序論っぽいのですが、ヨーロッパの啓蒙思想と、北米インディアンの遭遇についてです。第3章は氷期の旧石器時代、第4章が中石器時代、第5章が農耕開始以前の新石器時代が扱われますが、この3つの章は基本的概念の説明にもあてられており第3章が季節変動社会、第4章で平等の概念について検討が行われたり所有権の起源が論じられ、第5章で文化圏や分裂生成について説明が行われます。第6章と7章が農耕の起源について、第8章と9章が都市の起源について、第10章と11章が国家の起源についてですが、第11章は第2章の続きという性格も持ちます。そして第12章がまとめとなります。
『万物の黎明』読書ノート その0
『万物の黎明』読書ノート その1
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