お城EXPO2021に行ってきたよ④【平山先生 三増合戦講義編】
前回まで
前回までのあらすじ
会津若松城ちゃんは
ぜったい風邪をひく
さあ、平山だ。
会場内を廻り終えたちょうどその頃、本イベント2個目の講演の時間が迫っていた。
タイトルは「三増合戦と北条方の諸城」
演者は平山優先生だ。
感染症対策で、自らの手でチケットをもぎらされた私は、決戦の場である本丸御殿会場へと足を踏み入れたのであった…
道すがら手に入れた平山先生のウェビナー広告には、なかなかどうして強気な価格設定がなされていた。
だが考えても見てほしい。
2023年大河ドラマの時代考証が決まった、今を輝く売れっ子学者、平山優先生の講座を受けられるばかりか、あのイケボを堪能できてこの値段なら、
お釣りがくるくらいである。
いや、実質プラスなくらいだ。
本編の感想
正直な感想としては、まあマニアックだった。
導入とオチこそ大変興味深いが、中盤の解説はそのほとんどが三増峠合戦の武田の進軍(撤退)ルートに関するフィールドワークの研究発表会であった。
私のように歴史の諸事象を概念的に捉えている人間としては、
で?結局武田は領国に撤退できたんでしょ?
ザッツオール(q.e.d.)
である。
果たして会場にいた何人があの講演を徹頭徹尾興味を持って聞いていたであろうか?
諏訪間先生がご講演された天守会場と比べると、ゆうに2倍のキャパがあるであろう本丸御殿民の何人が…。
ただし、誤解の無いよう言っておきたい。
平山先生の講演はそのようなマニアックさを補っても余りある素晴らしいモノだった。
まず、喋りがべらぼうに上手い。
落ち着いた口調、聞きやすいペース、カンペに眼を落とすことは少なく淡々と語る。
また、小難しい説明で間伸びしてきた間合いを見計らい、小気味の良いジョークを入れて場の空気を立て直す。
圧倒的場馴れ。
安心する…まるでモーツァルトを聴いているようだ。モーツァルト聴いたことないけど。
小田原市観光課のオジサンとは大違いである。
※どちらも尊敬しています
講演の内容
そもそも三増峠の戦いとは、
いまの神奈川県愛川町から相模原市のあたりで行われたかなり規模デカめの山岳戦である。
くわしくはWikipediaでも個人サイトでも、ググると山ほどヒットするのでそちらをご参照いただきたい。
掻い摘んでしまうと、
①武田、海が欲しいから今川、北条との三国同盟を無視して今川の静岡に攻め込む
②神奈川の北条、キレて静岡の警備を分厚くし、新潟の上杉と組む
③武田、上杉を攻めに新潟行くフリをして北条を攻撃、はるばる小田原まで行く
④北条、小田原城に引きこもって無視
⑤武田、飽きて帰る
⑥北条「今だ!帰り道の武田をぶっ叩けー!」
の⑥が神奈川の三増峠で起きた。というもの。
平山先生は山梨の方なので武田アゲ北条サゲなのは有名。
(北条氏照のことを、おマヌケさんとか言っていて笑った)
三増峠の戦いについても、界隈では怪書と噂の、(でも平山先生たちにはいたくお気に入りの)「甲陽軍鑑」に沿う形で考察していた。
三増峠については、イエヤッス大権現様との絡みがない部分なのでさすがの軍鑑にも江戸時代の忖度とか脚色とかはないんじゃないかな?
とは思いつつも…
そもそも軍鑑作者の高坂弾正ちゃんはこの戦いに参加してないよね?ごめんだけど。
コーサカちゃん、三増峠って知っているかな?行ったことはある?
ふーんないんだー
山梨に帰ってきたヒトたちの言うことまとめて書いたからカオスな内容になっちゃったんだよね?
そうだよね。わかるわかる。
ううん、べつにコーサカちゃんのこと怒ってるわけじゃないんだよ。
想像で適当なこと書きました。ってただ一言謝ってほしくて言ってるの。
言えるよね?
ごめんね、って(強要)
と、心の中のコーサカに静かな怒りをぶつけたくなるくらい甲陽軍鑑では武田軍、北条軍、そして北条方の津久井城が三者三様のキ○ガイムーヴをかましており意味不明なのだ。
残念ながらまだ現地には行けておらず、行った際には改めて妄想記事を書こうと思う。
三増峠の戦いがもたらしたもの
この戦いで北条は
「武田やべぇし、同盟国の上杉頼りにならねーし、静岡にばっかリソース割いてられねーわ」
と、今川を早々に損切りして、領国支配体制の強化を進めていく。
(そのひとつが小田原城の総構え化だったりする)
一方北条のジャマがなくなった武田はケッコー簡単に静岡を侵略し念願の海を得るのだった。
すぐ隣の静岡を力技で獲るより、
山梨から長野→群馬→埼玉→東京→神奈川と旅行して、その後登山ついでに戦って帰ったほうが効率良いって考える武田信玄って…
先を読む能力すごくない?
ギフテッドかなにかなん?
平山先生は三増峠における北条の拙攻について、「寄せ集め衆の統率ができておらず、指揮系統も混乱していたから」と考察していた。
それは確かにそうなんだろうけど…
だからって高所明け渡すか?
不利な低地から攻め直すか?
このあたりは現地に出向いて実際にこの目で戦場を確かめよう。
そのような気持ちにさせてくれる平山先生は生粋の講演巧者である。
諏訪間先生、平山先生、お二方のご講演を選択させてもらいホントによかった…!来年も参加させてもらいます!
年3枚しか販売されていないフリーパス券、入手します!
次回、最終回、ついに退城。
つづく。
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