ネット上の著作権侵害に対する発信者情報の開示
[令和4(ネ)10102/著作権法/発信者情報開示請求控訴事件/知的財産高等裁判所]
(1)事案の概要
ツイッターにログイン1をした後、ログイン2をして投稿したものが明らかに著作権侵害であり、そのログイン1のユーザーIDが投稿のユーザーIDと同じである場合に、ログイン1についてのプロバイダに発信者情報の開示を求めた事案である。
地裁では、ログイン1が、ツイートを投稿するためのログイン2と同程度に、投稿と密接に関連しているとはいえないとして、開示請求が棄却されたが、その後、プロバイダ責任制限法(特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律)の改正法が施行され、知財高裁で、改正法の適用を前提として開示請求が認められた。
(2)理由
プロバイダ責任制限法施行規則では、情報開示を認めるべきログインについて、その送信と侵害情報の送信との間に「相当の関連性」があるという幅のある文言を用いていることから、諸事情を総合勘案して「相当の関連性」を判断すべきであり、ログイン情報の送信が侵害情報の送信の直近のものでないことで、直ちに関連性を否定すべきではない。
ログイン2のアイ・ピー・アドレスが発信者の特定が困難な変動型アドレスで、ログイン情報の送信と侵害情報の送信とが同一発信者によるという高度の蓋然性を担保できない一方、ツイートを投稿した者とログイン1をした者の同一性は明らかである。
https://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/992/091992_point.pdf