補正が認められるか否かの判断
[令和4(行ケ)10061/特許法/審決取消請求事件/知的財産高等裁判所]
①補正の目的(特許法17条の2第5項各号)についての判断手法
②当初明細書に記載の従来技術の説明を根拠とする補正の可否
(1)補正の目的について
最後の拒絶理由通知に対する補正の目的が特許法17条の2第5項各号に該当するかについて判断している。
a)「特許請求の範囲の減縮」(特許法17条の2第5項2号)について
ある動作を行う条件の記載を削除することは、その条件を満たしても動作を行わない場合を含むことになるから、「特許請求の範囲の減縮」に該当しない。
b)「明りょうでない記載の釈明」(特許法17条の2第5項4号)について
補正後の記載は、補正前の記載の本来の意味内容に含まれるべき事項との対応関係を明らかにするものではなく、本来の意味内容とは異なるものになっているから、明りょうでない記載の釈明に該当しない。
(2)新規事項の追加について
本件の従来技術の説明は補正の根拠にならないとして、新規事項の追加であるとしている。
[理由]
a)当初明細書に記載の従来技術の説明は、それを実施形態の構成が備えることを開示するものではない。
b)従来技術の構成を前提としなければ実施形態の構成が成立しないという事情はない。
c)実施形態の構成が従来技術の構成を前提とするものであることをうかがわせる記載はない。
https://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/936/091936_hanrei.pdf