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与える人への道 #1:ハブラシ
とある朝の情報番組で、ハブラシの替え時の話題を取り上げていた。
そんなこといままで考えたことがなかったので、朝ごはんを食べながら珍しくテレビに意識を向けた。
情報番組の美人歯科医曰く「ハブラシは1ヶ月に一度替えるのがおすすめです。1ヶ月を過ぎると歯垢の除去能力が7割ほど減少してしまいます。」とのこと。
なんと。
このかた、ハブラシなんて毛先がばらけてしまわなければいつまででも使い続けられると考えていた僕は衝撃を受けた。
しかも、ハブラシだけだと7割くらいしか歯垢は除去できないと言うではないか。
フロスもしてようやく十分に取り除けるという。
この朝2度目の衝撃。
なんと。
1ヶ月以上同じハブラシを使い続けて、しかもフロスをしていなかったら、いくら一生懸命に歯を磨いていたとしても、5割くらいしか汚れが取れていないということなのか!
それでは指に塩をつけて磨くのとほぼ同じレベルじゃないか。
芸能人は歯が命と東幹久が言っていたが、芸能人だけでなく、口腔衛生が一般人にも大切だと言うことは私でさえも知っている。
これは大変だ。
まだまだ健康に生きたい。
それからというもの、僕は毎月ハブラシを替えている。
毎月替えるたびにいちいち買うのはめんどうなので、ストックしておくことにしている。
先日、ストックが切れそうだったので、ネットで数本パッケージで買い、それが自宅に届いた時のことだ。
僕「ハブラシが届いたみたいなんだけど、どこにあるか知ってる?」
妻「受け取ったよ。そういえば私もこないだドンキでハブラシを買っておこうと思ったんだけど忘れちゃったんだよね。」
僕「ほう、そうか。」
僕は、話が終わったと思い、届いたハブラシのストックを置きに洗面所へ向かおうとした。
すると、
妻「なんで『じゃーハブラシ何本かあげようか』とかないの!?」
私「!?」
なんだなんだ。
話は断定で終わっていたじゃないか。
「ハブラシを買い忘れたのは残念だったね。」と心の中でそっとつぶやくくらいはしたし、今の時代ネットで買えば翌日には自宅に届くし、妻がどんなハブラシを使いたいか知らないし、そもそも欲しいだなんて一言も言っていないじゃないか!
しかし、彼女の発言を紐解くと、どうやらこうだ。
「ドンキでハブラシを買っておこうと思ったんだけど忘れちゃったんだよね。(そんなに何本も買っているんだったら美しい私にも分けてよ。ね、素敵なダーリン。)」
と、私には聞こえなかったが、世の女性陣には聞こえているだろうモノローグが素敵なダーリン宛に発せられていたのであろう。
本件は、件の素敵なダーリンによる華麗な受け交わしにより、ハブラシの献上のみで事は済んだが、案件によっては大炎上は必至だ。
そして、なによりも「与えること」を今年の目標とする私だが、ハブラシがないという口腔衛生上で最大の危機に直面している妻を目前に、その困難を察し、自ら救いの手を差し伸べられなかったとは。
相手の意図を察する、相手の立場に立って物事を視る。
基本的だが重要なことを新しいハブラシたちは教えてくれた。
与える人になる道のりはまだまだ長い。
追伸:ハブラシの効果の割合はうろ覚えのため、いくらか外れているかもしれません。どうぞあしからず。