221 2025年冬アニメ期待の二本『空色ユーティリティ』と『花は咲く、修羅の如く』
今回の輪島ボランティアの最終回、二日目が終わってからのエピソードは明日、アオのハコの二次小説の再開は明後日の月曜日の予定で、連続noteにするには今日が空いてしまいました。なので今日は臨時に今季アニメについて語りたいと思います。しかしさらに一本離脱したあとの継続視聴批評はまたの機会に。
一回休んだ推理カルテはアニメでは実質初めての医療ものと思うけど、やはりコナンという先達がある。エピソードが変わった『火の鳥』はすごいが旧作。推し記事を見かけた『メダリスト』は私も感心して観てるが競技スポーツの新機軸。今のところ異世界ファンタジーのパロディの『全修。』にも『SHIROBAKO』という先駆者がいる。『薬屋のひとりごと』もジャンルの大本は『後宮小説』のアニメ化の『雲のように 風のように』。
前期からを入れればジャンル的に目新しいのは『チ ―地球の運動について―』と『トリリオンゲーム』と思いますが、今季の『空色ユーティリティ』と『花は咲く、修羅の如く』もなかなか新しいことをやってると思ってて。
まず空色。本作が『タッチ』と『ヤマノススメ』を参考に爽やかな青春ものを目指そうとしているのは確かかと。主人公の名前がミナミと第一話で知った時、てっきり苗字と思いました。実は主人公の女の子がゴルフをやる以外、事前情報を殆ど入れずに観たのですが、その名前が下の名前と知って大胆なことをすると吃驚したものです。そしてその子の苗字は青羽。何のひねりもない。『ヤマノススメ』のキャラクター、あおい、ひなた、かえでに次ぐ四番目のパーティー仲間、青羽ここなちゃんの苗字じゃないか。
『タッチ』は言わずと知れた達人や名人の世界だったスポーツ漫画を否定し、恋愛を含めた青春そのものを描いた野球マンガの画期。『ヤマノススメ』もそれまで少数ながらあった山岳マンガ、そのいずれもあったドラマチックを否定して日常に引き込んだ「ゆるふわアウトドアコミック」。といってもゆよるふわは女の子のキャラクターで、山に関する知見と物語は極めて真面目。今週の話しは『ヤマノススメ』にもあった道具選びの回だったし。
だからゴルフも山と同じく大地相手(の競技)で、高校生からでも遅くないというメッセージもあって、『ヤマノススメ』の後継者と思ってて。また爽やかさも青春そのものの爽やかさとともに、風を感じる一打一打のプレーと思うので、やはりヤマノススメからの強烈な残響を感じる。
しかしジャンルが朗読だと実写ドラマでもそうそうない。その意味で、アニメのジャンルを拡大したと、私は『花は咲く、修羅の如く』のロックさを手放しで喜んでるのです。武田綾乃のもう一つの原作『響け!ユーフォニアム』も楽器ものという点では『けいおん!』、そして『涼宮ハルヒの憂鬱』の演奏シーンがある。
でも声で物語を表現する朗読というジャンル、私もラジオで聴く機会があるけど、それをアニメでやるらには劇中劇という難しさを声優に強いるという困難さがあるはずで。しかし今週の三話まで、見事に私の杞憂を振り払ってくれました。今週は春山花奈を放送部に引き込んだ薄頼瑞希の一年前の声があったのですが、まさに成長していると思わせる素人っぽい声だったのです。
場面場面でどんな声が相応しいか、監督と音響監督に相当な知見があり、それを声優に的確に伝えなければ破綻/崩壊するアニメと思うけど、今のところ上手くいっているので恐ろしいと思うのです。(大塩高志)