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「あと40キロあったらな〜♡」男子発言ノート25

こんな私でも男性から"自作の歌"を贈られたことがある。

ギターを片手にその男性は、私への想いをポロロロンと歌い奏で、曲の終わりは確か「好きだよ〜ともちゃん♪」とかで〆られていたと思う。(恥っ! 身に余るありがたみしかないが!)

だけどそのときの私は……さしてトキメくでもなく、まったく違った心地でドキドキしていたのだった。それはそのギター男性が、私と出会ってすぐに、まじまじと私全体を見据えながらこう言ったからだ。

ともちゃんがあと30〜40kgあったらな〜

……はい?

「それくらいあったら最高なんだけどな〜」

いやいやいや、もうすでにわりと結構ボリューム感あるんですけど?
こっからさらに数十キロっていったらもう、100キロ超えて名前の通りビッグアイランド=大きい島になっちゃうんですけど! (いや、もうなってるか)

「それがたまらないんじゃない」

あ、なるほど。この人そういう女性が好みなのね。と、すぐに合点。

いやはや。今から30〜40kgヤセろと言われるのも「非道い!!」と驚愕するだろうけど、太らなきゃならないのもちょっと……。だってまず、健康が心配。今でも階段&坂道キツいんだから。ふぅーっだよ、踊り場で。

それに、こういう男性と付き合ったら絶対に甘やかされてまんまと彼の理想体型に"仕上げ"られるに違いない。おいしいものを自制するより、食べろ食べろとニンマリ薦められる方がなんだか末恐ろしいのはナゼ?

……そんな心地だからして、「絶対にこんな手作りの歌で〈アメとムチ〉ならぬ〈アメと歌とアメ〉的誘惑に堕ちてはならぬ!!」と下っ腹をグッと引っ込め、その自作ソングを聴いていたのだった。

けれど、聞けば彼にはすでにパートナーさんがおり、その女性もやはりかなりのアイランドさん、いやコンチネント=大陸さん(?)らしかった。

なんだよ! その女性とぷにぷにいつまでもお幸せにーっての!!

身構えは徒労に終わった。

が、大好きな人から「あと10kgヤセたら付き合ってもいい」と言われたら「ホント!? ヤセる!!」と飛びつくだろう。
だけど、そんなこと言った時点で彼をキライになると思う。

だってもはや、アイデンティティー化した脂肪っ!!!!!(涙)

……とはいえ、多少はヤセたい。電車で隣に座った人のひじがお腹に当たってくすぐったいんだもの。


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