「ちょっと、好きになりました!」男子発言ノート17
最近、遠方から異動になってきた若い男子が、私のそばを行ったり来たりして何か視線感じるな―と思っていたら、ついに立ち止まって向き直り、
「ちょっと嬉しいことあったんで、言ってもいいスか?」
え? あぁ、それでそわそわしていたのね。どうぞどうぞ青年。
「家の窓が開いたんです!」
い? 家の窓が、開いた……?
「取っ手もなくて、開かないと思ってた窓が、でもちょっと今日は頑張ろうって思ってガッてやったら、開いたんです!」
……そか。良かったね。
でも、もっと前から頑張ってみても良かったかもね。だって、引っ越して来てそろそろもう一ヶ月だよね? その間、窓が開かない家でキミは一体?
てか、その窓、どんな窓?
「網戸のカーテンがあって、それを開けるとブラインドで、それを開けると窓で……」
何言ってんのか全然分からなかった。
それが彼が若いからなのか? 地域差なのか? 網戸のカーテンって何なのか?
とにかく引っ掛かったけど、嬉しさがじゅうぶん伝わってきた。
「ちょっと、好きになりました!」
へ!?
分かってる。分かってるよ。
その家が、この街が、好きになったってことだよね。
でもちょっとドキっとしたじゃんか。
「おーしまさんのこと、ちょっと、好きになりました!」
なんて、そう直立不動でキリッと言われたら……なんて想像してみたとして、そんなの悪い気するわけないじゃんか。
この街の、この私のことも、好きになってくれないものかなぁ。
私の心の窓も、ガッと開けてくれて構わないんですけど……?
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