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「ソウルメイトだと思ってる」男子発言ノート19

(▼エッセイ本文につづき創作大賞2024オールカテゴリ部門応募用の脚本を載せています)

女友だちがまず悪い。……ってことにしたい。

女友だちが不用意に「◯◯さん、おーしまさんのことタイプだと思う! 絶対、イケる! 直感で思った!」 なんてそそのかすものだから、私も「そっかな〜?」なんてノせられてしまったのだ。

私もまぁ、同世代だし気が合うかなー。話題も尽きないし。くらいではありつつ、相手がじぶんに好感を抱いていると思うと俄然気分が良かった。

そうして二人でご飯を食べに行った。美味いうまいねと食べて、街ブラして。バーに入って、2杯お酒を呑んだ。それから終電までにはまだ余裕があるからと、コンビニでアイスを買って道端で座って一緒に食べた。

もうさ、男女が二人でアイス食べたら、付き合ってるってことにしない?

イイ気分だった。そして会話の流れで彼がこう切り出した。

「だって俺、おーしまさんのこともう、勝手に……」

勝手に?

「ソウルメイトだと思ってるから」

え、勝手ーーーーーっ!!!!!

ハハ……そっか。ソウルメイト。涙
んと、なんだっけ……魂の友だち? うん、友だちね。友だち。肉体とか一切触れない、魂の、友だち。……うん、素敵。もちろん喜んで!泣

……。

んにゃろ女友だちめぇ!! 何がイケるだ! どこがお似合いだ! 私たちゃあ、魂で結ばれたソウルメイトだってんだ!!! やましい気持ちで見るんじゃあるめい! 汚れるだろがい崇高な御友情様がってばよぅーっ!

そう、女友だちがまず悪い。ってことにしたかった。

だけど、恋愛はいつだってタイマン勝負だ。
事前情報とか援護射撃とか、そんなのは及ばないところにぽんと一人放り出されて、誰かの心と真っ向勝負しなければならない。

私は負けた。打算的な勝算だけで武器を持たずに出かけて行った私の、完全黒星。

しかし後日、女友だち達の反応は実に様々だった。

「え、何ソレ。ダメダメ。次! 次!」そうバッサリ斬る者もあれば、
「ソウルメイトなんて、やったじゃん! それいい! そこからだよ!」と色めき立つ者も。

もう全く何が本当かわからない。とりあえず、女友だちの「イケる!」は金輪際本気にするべからずだ。

―こうしてまた。新たに、ソウルメイト男子なる〈非・恋愛対象男子〉が一人増えたわけだけど、それにしても私には男友だちが多すぎる。元・恋愛対象男子だった、現・男友だちが。



▼創作大賞2024 オールカテゴリ部門 応募用脚本
エッセイ『男子発言ノート』シリーズの映像作品化を目指し、ひとまず5作品を脚本にしたものです。

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