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言葉のキャッチボールを考える (会話体験をつくる vol.6)

ひとくちに「会話」と言っても、そのなかには、おもしろい会話とつまらない会話がある。

おもしろい会話ってなんだろう……。

今回はそんなお話。


シナリオ設計とは

シナリオ設計とは、ユーザーとロボットとの言葉のキャッチボールを考えること。

おもしろい会話を設計するうえで、この「キャッチボール」を考えることがとても大切だ。ここをしっかり作らないと体験がポンコツになってしまう。


言葉のキャッチボールの考え方

基本は、相手に「質問」を投げかけることで、会話が展開していく。

質問の種類は、大きくこの2つ。

・クローズドクエスチョン(択一回答)
・オープンクエスチョン(自由回答)

この2つをバランスよく使うことが、言葉のキャッチボールの基本だ。


例えば、クローズドクエスチョンばかりだとこうなる。

このように、やたら圧力高めのキャッチボールが成立する。選択肢を選ばされ続けるので、とてもつまらない会話だ。


一方で、オープンクエスチョンばかりだとこうなる。

こいつは結局、なにが言いたいんだ……となる。質問のひとつひとつが重くて、回答するのがしんどい。ケンカをおっぱじめるには、十分な会話内容だ。


ちなみに、クローズドクエスチョンとオープンクエスチョンをバランスよく使うと……。

というふうに、ユーザー自ら、とんでもない夢を打ち明けてくれるくらいには、楽しい会話が成立する。


クローズドクエスチョンとオープンクエスチョンをバランスよく使うためのポイントをまとめてみた。こういう場面で使うと効果を発揮する。

◆クローズドクエスチョン
・選択肢を与えたほうが、ユーザーが答えやすくなるとき
・ユーザーとの会話の道筋を、明確にしたいとき

→以上の理由から、タスク志向型の会話で使われがち


◆オープンクエスチョン
・ユーザーの考えを聞き出したいとき
・会話の道筋を、ユーザーに委ねたいとき

→以上の理由から、雑談型の会話で使われがち


逆に、相手を煽りたいときは、バランスを考えずに質問を投げかけてみよう。すぐにケンカが勃発するはずだ。


質問以外で投げかけてみる

でも実際、質問ばかり投げかけられてもウザいよね。

クローズドクエスチョンとオープンクエスチョンだけで、おもしろい会話を設計するのは、とても難しい。

そんなとき感性デザイン部では、いろいろなテクニックを使ってシナリオ設計を行なっているのだけど、手っ取り早いのがこれ。

・報告
・独り言

この2つを、シナリオ設計に用いるだけで、グッと会話が自然になる。


例えば「報告」を使うとこんな感じ。

やったね!協力者ができちゃったよ!!


さらに「独り言」も使ってみると……。

ほら!!もはや2人は、大・親・友!!!

「報告」と「独り言」を使うだけで、2人の距離はここまで縮まるんだね!!すごいね!!!すごいよね!!!!


このように、バランスを考えてシナリオ設計することで、ユーザーとの距離を縮めることが可能だ。すなわち、おもしろい会話体験が成立するといえる。


まとめ

他にも伝えたいテクニックが、たくさんあるのだけれど、ちょっと疲れてきたので、今回はこのへんで終わることにする。

今回、伝えたかったことはこれ。

・シナリオ設計とは、言葉のキャッチボールを考えること
・言葉の投げ方の基本は、クローズドクエスチョンとオープンクエスチョン
・質問だけにならないように、報告と独り言も用いて、バランスを考える


会話体験のおもしろさは、トピックの内容よりも、言葉のキャッチボールに依る割合が大きいので、シナリオ設計はマジで重要!!

……て、思ってもらえたら嬉しいな!!!


では、2週間後くらいにお会いしましょう。

(文:大島 康平)