2024.6.3

知り合いに招かれて渋谷のユーロライブでおこなわれた関係者上映試写会に行った。

みんな知らないと思う。自主制作映画だから。

社会に馴染めない主人公が、今の自分自身を表現するために脚本コンクールに応募しようとするが、街のミニシアターでたまたま映画監督と知り合い、その映画監督に原稿を渡して、映画にしてもらいたいとお願いする。途中で主人公が自信を失くして現場から逃げ出すけれど、なんやかんやあり、最後に戻ってきて、やってやりますよと言いたげにニヤッと笑って幕を閉じる。基本的にはメイクや映画監督、照明などの映画制作に携わる人たちの愉快痛烈な会話劇がメインで、ときたま長い詩をバッと放り込まれて自分は困惑させられた。

自主制作って自分のやりたいことをただ表現しているだけだから、すごく先鋭的なんだけど、その分伝わりづらくなっていて、ド派手なことやりたいなら細部までこだわらないと難しいんだなと勉強になった。勉強とか言っている。勘弁してくれよ。寺山修司とか前衛的なやつらてたぶんその辺の絶妙なバランス感覚を持ち合わせていたんだろうな。そういう塩梅がわからなくても数打ってればみんながわかってくれるもの出来上がるだろうけど、ラッキーパンチが繰り出されるか、先に寿命が尽きるかの賭けになるから、よほどのバカか、狂信的な思想を持つ人でない限りは、成功しなければ途中で貫くことを諦める。でも、バカよりも地頭が良くて成功確率が高い人が、早々に離脱するのはもったいないとバカだからこそ自分は思う。賢い人は、賢く生きたつもりになっているんじゃないか。寺山修司になれなくても、やればいいのに。ただやるだけなのにさ。きっと自分には見えない世界が見えてるんだろうなと価値観の違いの話に落ち着かせる。まあ実際そうだし。でも、貫くことは傲慢で、諦めることは自己犠牲で、過ぎてく日々には鈍感なきみへ。結局、話は飛躍するけれど、貫かない謙虚さがあってバランスよく世を渡れるくらいの賢い人がさ、一番楽しく生きていけるから羨ましいな。ここまでの全てが書いたらおしまいな気がする内容で最悪。多くの人に見てもらいたくない。

知り合いは映画監督の役で出演していた。ずっとマスクを付けていて、あとからセリフを録り編集でうまいこと喋ってるように見せていた。映画を見終わったあと「すごく良かった、面白かった」と声を弾ませて楽しげだった。なんかずるいな。




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大里
銭ズラ