2024.5.2
幾時代かがありまして
茶色い戦争ありました
幾時代かがありまして
冬は疾風吹きました
幾時代かがありまして
今夜此処での一と殷盛り
今夜此処での一と殷盛り
サーカス小屋は高い梁
そこに一つのブランコだ
見えるともないブランコだ
頭倒さに手を垂れて
汚れ木綿の屋蓋のもと
スラーン スローン ポールスローン
ふと、国語の教科書に載っていた中原中也の詩「サーカス」を思い出し、これ以上暇が膨らむと不快な域に達しそうだったので「ゆあーん ゆよーん ゆあゆよん」の部分をオリジナルの言葉に変える遊び事をしていた。そして二番目に出てきたのがこの「スラーン スローン ポールスローン」だ。
そもそもこの遊び事には正解がない。感情が動かされることなんてさらさらなかった。自分としてもここに書いても書かなくてもいいくらいの話、のはずだった。感想戦ではないけれど体感としてややオリジナルを意識し過ぎてしまった節があり、どうでもいいことだが一応チェックしておきたくなる性分で、念のためこの世界にまだないオリジナルの言葉かどうかネットで調べてみたところ、この世界にまだないオリジナルの言葉ではないことがわかった。
驚くべきことに、ポール・スローンという人物がいたのだった。世界有数のIT企業IBMグループのイギリス法人で、トップセールスマンとして活躍した後、会社の国際部長や、これまた別の会社のCEOを務めていたらしく、俺はこの偶然に動揺を隠せないままなんとなくイギリスの方角に敬礼していた。
中原中也とポール・スローンの、この奇跡的な共演の場を彼らに提供できたことを誇りに思い、俺はうっとりした表情で彼のプロフィールの続きを読んでいたのだが、突然知ってる単語が目に飛び込んできてさらに驚いた。
『ウミガメのスープ』
昔DSのCMで聞いたことのある言葉だった。ポールスローンはそのDSソフトの原作者のような立ち位置にあったのだったっーー!!!
『ウミガメのスープ』は別名『水平思考クイズ』と呼ばれる。一見すると不思議な問題文に対して、回答者が「YES」「NO」「わからない」で答えられる質問を繰り返し、状況を絞り込んでいく。そうして問題の真相を突き止めるクイズだ。
なにかの縁だと思い、図書館でポールスローンの水平思考クイズの本を借りた。まだ読み始めたばかりだが、なんとなく傾向は掴めたので、最後に俺からみなさんへオリジナルの水平思考クイズをお送りしたい。
【問題】
ある男は中原中也の詩「サーカス」の一節「ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん」をオリジナルの言葉に変える遊び事をしていた。男はその一節を「スラーン スローン ポールスローン」に変え、そのあと自分のお尻を叩いた。なぜ?
文章なので俺は皆さんの質問には答えられないが、頭をフル回転させてぜひ答えを導き出してみてほしい。正解はたくさんスクロールした先に置いておくとしよう。
【答え】
男は「ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん」をオリジナルの言葉に変える遊び事を、実際はしていなかった。すべて空想の出来事だった。ポールスローンの話に繋げるために嘘をついていたのだった。男は自責の念に駆られて自分のお尻を叩いたのだった。
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