自治体への指示権強化ではなく医療体制の見直しなどを/逢坂誠二 #7638
夜明け前の都内、薄雲が広がり金星も木星も見えません。月だけが薄い雲を突き破って、鈍く光を放っています。朝の気温は5度。日中は晴れ、16度の見込みです。
1)自治体への指示権強化ではなく医療体制の見直しなどを
地方制度調査会が自治体に対する国の指示権を拡大する答申を準備しています。
現在の自治体の仕事は、法定受託事務と自治事務の2種類です。
法定受託事務とは、国または都道府県が本来果たすべき事務なのですが、利便性や効率性を考えて自治体に委託された事務です。
これには「国から都道府県・市町村」(1号)と「都道府県から市町村」(2号)に委託された事務の2種類があります。
法定受託事務は、法律や政令によって事務処理が義務付けられるもので、是正の指示や代執行など、国の強い関与が認められています。
自治事務は、法定受託事務以外の事務で法律や政令に義務付けられた事務と自治体が任意で行う事務があります。
自治事務での国の関与は、原則として是正の要求まです。(個別法で関与が設けられているものもありますが、できる限り設けないのが基本です。)
以前、国と自治体は上下主従の関係にあるとの批判があったのですが、2000年の分権一括法で、それまでの機関委任事務を廃止して設けられたのが、この2つの事務です。これによって、国と地方は対等協力の関係になったと言われています。
ところが今回の答申案は、個別法に規定がなくても「非常時」であれば。国が指示できるようにし、その範囲を自治体が責任を持つ自治事務にまで広げる内容です。
この30年あまり議論を重ねてきた分権の考え方をくつがえす内容に思われます。
この答申案は、コロナ禍の際の対策が上手く進まなかったことが背景にありますが、国の権限を強化すれば、問題が解決すると考えるのはあまりに短絡的です。コロナ対策の問題点をもっと深掘りし、何が課題だったのかを検証した上で、再仕切りすべきです。
しかも自治法を変えるのではなく、まずは厚労省で、医療機関や保健所のあり方なども含め今回の対応の課題を洗い出し、まずは個別法で対応すべき案件です。国から自治体への指示権の強化以前にやるべきことがありますし、今の医療体制のままでは、自治体への指示権を強化しても問題解決にはなりません。
2012年の安倍政権以降、自治体をあたかも国の手足のように使う事例が頻発していますが、今回の答申は、その不都合な取り扱いを後追いで合法化するものに思われます。
さあ今日も、ブレずに曲げずに、確実に前進します。
===2023.11.30===
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