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石橋湛山に学ぶ自治 /逢坂誠二#7519

【23年8月3日 その5822『逢坂誠二の徒然日記 #7519
夜明け前の函館、空全体に雲が広がっていますが、雨は降っていません。気温23度です。日中の気温は29度の予報で夕方には、多少の雨が降る可能性があります。

1)石橋湛山に学ぶ自治
1995 年、合併特例法の改正が行われ、市町村合併が政府により強力に推進されることになりました。特に合併特例債を中心とした手厚い財政支援と、三位一体改革による地方交付税の大幅な削減です。このアメとムチによる合併推進策について、私は大いに疑問に思っておりました。私は合併を頭から否定するつもりはありません。合併した方が良い地域もあるでしょうし、合併することによって逆に住民にとって不都合が生まれる地域もあると考えていました。地域のあり方は、一律な人口規模で決まるものではなく、人口密度、地形、気候、産業のあり方など、多様な要素によって決まるのです。財政によるアメとムチではなく、もっと虚心坦懐に自治のあり方を議論すべきだというのが私の考えでした。それにも関わらず、アメとムチによって、半ば強制的かつ非論理的に闇雲に合併を進める政府のやり口には、大きな疑問を抱くと同時に、後に禍根を残すと考えていました。結局は、 1999年3月末に3,232あった市町村の数は、現在、1,718にまで減少しました。

こんな思いを持つ中で私は、石橋湛山の自治に関する思いに触れることになります。

==例えば以下です。長いですが引用します。==
地方自治制の発達が、一国の政治ないし国運の消長に至大の関係あることは、古くから漠然と認められ、その論議もなかったではない。しかしいかにして地方自治が、かく重大の働きをなすやは、多くの人に明らかに理解せられておらなんだようである。従って地方と唱えて、その間に府県、郡、市町村の関係のいかなるものなるやを考えず、あるいはこれを考うるも、市町村より郡、郡よりは府県を以て、高等の地方自治体なるかの如く誤解れした。けだしこの思想を推し進むれば、中央政府こそ、国の最も高等なる政治機関であって、これに比すれば、地方自治体の如きは、たとい府県といえども、下級劣等のものに過ぎぬ。こういう考えから、地方自治の発達が期待し得らるるはずはない。

私の見る所によれば、地方自治体にとって肝要なる点は、その一体を成す地域の比較的小なるにある。地域小にして、住民がその政治の善悪に利害を感ずること緊密に、従ってまたそこに住まっている者ならば、誰でも直ちにその政治の可否を判断することが出来、同時にこれに関与し得る機会が多いから、地方自治体の政治は、真に住民自身が、自身のために、自身で行う政治たるを得る。かつてジョン・スチュアート・ミルもいうた通り、政治は一面にそれ自身が仕事であると共に、またその大なる意義は、国民の公共心と聡明とを増進する実際教育の役目をなす点にある。しかるに国の中央政治の如き、大なる地域にわたる政治においては、多数の国民が親しく政治に関与する機会はすこぶる乏しく、数年に一回来る選挙の揚合のほかは、ただ新聞を通じて、遠くからこれを見物するに過ぎざる (而してまた見物しているよりほかなき ) 有様である。のみならずまた仕事も、多数の国民には直接の利害なく、理解し難き事柄が多い。されば政治が、かようの広き地域のもののみに限らるるときは、一般国民のこれに対する興味は、角力見物か、芝居見物以上に出でず、これを以てその公共心と聡明とを増進する教育の役目をつとめしむるが如きは望み得ない。従ってまたこれだけに頼っていたのでは、中央政治そのものも、いつまでたっても進歩しない。

地方自治制の発達を図るの必要は、実にここにあるのである。何となれば地方の政治は、前記の如く小地域の仕事にして、住民の誰でも、直ちに興味をもち、理解し、関与し得る所の事柄だから、彼らの公共心と聡明とを増進する実際教育として、これに勝った適切のものはないからである。果してしからばまた直ちにこの事から推論し得る点は、地方自治体は、その小なれば小なるほど (ただしその相当独立した仕事の出来る限りにおいて)その目的―国民の公共心と聡明とを増進する―を達し得るものだという事である。例えばこれを我が国の現制度についていうならば、市町村が大体においてこれに適当した地域を占むる。府県は今日の形においては、もはや余りに広すぎる。けだし府県会が、いずれの府県においても、中央の衆議院を一層劣等にしたるが如き政争にのみふけり、知事とその下僚とは、中央の諸官衙における役人以上の官僚ぶりを発揮し、自治体としての態を全くなさざる所以 (はここにあろう (市においても、その或るものは地域の広きに過ぎたる感がある、区に一層広範な自治を許す要があろう) 。」

==以上、引用終了==

湛山のこの考えを読んだ瞬間、私の思いが詰まっていると感じ、漠然とした私の考えが固まるような、心からの納得をえることができました。

それ以来、私の合併への思いは確固たるものになったのです。

相当程度独立して仕事ができるなら合併はしない方が良いと。

小国日本も石橋湛山に学んだことの一つですが、また機会を改めて書きます。


さあ今日も、ブレずに曲げずに、確実に前進します。

===2023.8.3===

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