形だけの主権者教育(逢坂誠二の徒然日記)
【25年1月6日 『逢坂誠二の徒然日記』8041回】
午前5時の函館、多少雲がありますが、今朝も切れ間から星が見えます。1度程度とプラスの気温です。日中は6度まで上がり、雨の予報が出ています。今日から本格的に仕事が開始となる方も多いと思います。改めて新たな1年の始まりです。しっかりと歩みたいと思います。
1)形だけの主権者教育
「あの裁判の判決は、絶対におかしいと私は思う。こんなことを言ったら国に訴えられて教師を首になるかもしれないが」
「どこの党を支持するのかは君たちの自由だが、今回の選挙は野党が勝って先生は良かった思っている」
この二つの発言は、高校の教師の発言です。前者は、私よりも10歳ほど先輩の方が教師から聞いた言葉だといいます。後者は私が高校生の時に教師から実際に聞いたものです。
日本では投票権年齢が18歳に引き下げられ、以前以上に主権者教育の重要性が高まっています。しかし私は、政治的中立性を強調しすぎる日本の主権者教育では、逆に若者の政治離れを引き起こすのではないかと懸念しています。その理由は、授業に現実味がなく面白くないからです。
こんなことを日頃から考えていたのですが、昨日の毎日新聞に「過度な「政治的中立性」が子どもの芽を摘む 日本の主権者教育の現実」との特集記事が掲載されていました。
記事は以下の書き出しで始まります。
「子どもは練習していないと、自転車に乗れない。それと同じようなことが、主権者教育にも言えるそうだ。それなのに、日本では文部科学省が求める「政治的中立性」に過度に配慮し、教育現場での主権者教育が形骸化しているとの声がある。政治や選挙を考える機会が得られなかった子どもは「主権者」になれるのだろうか」
この指摘全く同感です。
記事では、2021年11月に帯広柏葉高校新聞局が全校生徒を対象にした前月の衆院選挙に関するアンケート結果が、教頭らの手で廃棄された経過が紹介されています。
この廃棄を受けて新聞局は、12月に廃棄を批判する論説記事を掲載します。
さらに翌年7月、その月の参院選を題材に、選挙後に再びアンケートを実施します。問いは、主権者教育がテーマで、「政治や選挙などの情報を学校で十分に得られていますか」との内容です。
回答者618人中、「そう思う」「どちらかといえば、そう思う」と答えたのは27%。つまり情報が十分と思う人が4人に1人しかいないことが明らかになったのです。
この活動や新聞が評価され、新聞局は全国高校総合文化祭で23年度の最優秀賞を受賞します。
講評では「形ばかりの日本の主権者教育の限界を冷静に論じ、公教育の頑迷固陋(がんめいころう)さを浮き彫りにした」と高く評価されます。
この生徒たちの取り組み、さらに講評を重く受け止めて形ばかりの日本の主権者教育をもっと現実味のあるものに進化させつ必要があります。
冒頭の教師の発言は、今から半世紀も前のものですが、昔の方が学校内での政治議論は自由闊達でした。
ドイツでは1976年に政治教育に関する基本原則「ボイテルスバッハ・コンセンサス」が定められたといいます。
この原則は、
①教員は生徒を圧倒し、生徒が自らの判断を獲得するのを妨げてはならない
②学問と政治において議論のあることは、授業でも議論のあるものとして扱わなければならない
③生徒は、自らの利害関係を分析し、関心に基づき政治的状況に影響を与える手段を追求できるようにならなければならない
――の3点に要約されるといいます。
この原則を守れば、教員は授業で自身の意見を述べることも可能だといいます。
日本でも、もっと突っ込んで主権者教育のことを考えなければなりません。
【25年1月6日 その6344『逢坂誠二の徒然日記』8041回】
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